一歩前進!

杖は知っている @ 

2017年08月03日 ナビトモブログ記事
テーマ:日常

        < よく頑張った! >

 7月7日午後、いつものようにフィットネスクラブに行こうと立ち上がると、腰が伸びず、右膝の激痛でしっかり歩けなくなった。杖を突いても普通に歩けない。さぁ大変だ!頭を真っ先に過ったのは10日後に迫った定期演奏会に出るか、出れるのかの問題だった。

 
 確かに前兆はあった。3月30日午前中に隣の市で群生しているかたくりの花を撮りに行く途中、最寄りの駅で下車し、改札口を出てエレベータで外へ出た際に、腰と右膝に激痛が走り青ざめた。ここまで来て直ぐ帰る選択肢はない、ここから歩いて15分は掛かる現地まで何としても行かねばと執念深さがまだ勝っていた。
 もともと、軽い脊柱管狭窄症を患っていた。その特徴の中に暫く休めば歩ける様になるとのことを思い出し、その場に佇んで様子を見た。案の定、少し落ち着いたので、途中の休みを繰り返し腰の痛みを我慢しつつ、右足を引き摺りながらなんとか群生地に到着した。
 斜面一杯に咲いていた昨年と同じ日に来たのだが、運が悪いというか神に見放されたのだろうか、折角来たのに数個しか咲いていない。帰路の足取りは、言うまでもなくいつも以上に重い。時間に縛られないので、何とかなるだろうと覚悟を決めて歩きやっと駅に届いた。

 乗り換え駅の連絡通路の階段等に苦労しながら、やっと我が家の最寄り駅に着いた。安心感か、昼時なのか、腹が減っては戦ができぬが頭をよぎる。駅前のタクシー乗り場の向こう側に行きつけの日高屋がある。いつもの野菜たっぷりタンメンを食べ帰路に就いた。腹ごしらえもでき、休んだせいかタクシー乗り場に戻らずいつものコースで歩き始めた。家までは約2qある。歩き始めて5分位、腰と右膝の痛みが激しくなった。どうしよう・・・。
 家には妻は仕事でいない、杖は持っていない、リュックの中は折りたたみ傘。頼りになる人や支えになる物もない。5〜6分歩いては数分休むの繰り返しで、脂汗を出しため息をつきながら我が家が途方もなく遠くに感じた。いつもの3倍の時間が掛かっていただろうか。
 この時間、人通りがない。みっともない歩き姿を見られることも無いほっと感と、全く動けなくなった時に頼れる他人(ひと)もいない不安を感じながら、やっと我が家の見える曲がり角に近づいた。悪いことに尿意を催してきた。20m先に我が家があるのに歩く速度はアリ並み、股間を抑えながらしのぎの脂汗が出て来る。我慢できず5m先にある電柱の陰で立ちションした。往来者に会わずホッとした。歩く速度が遅くなった。今後は行動の基本に尿意のことを最優先しなければと痛感した。

 翌週の月曜日、近くの総合病院の整形外科に受診した。レントゲン写真を診ながら、膝・踵は異状ない静かにしておれば治まると所見はあっさりしたもので、2W分の痛み止めとシップを処方された。これまでやって来たウォーキングや写真撮影やフィットネスクラブへの往復は歩きを継続した。確かに痛みは落ち着いてきたが、杖と右膝にはサポーターが欠かせなくなった。
 歩いていると途中で腰が痛くなる。以前は反り返すマッケンジー体操で直ぐ改善していたが、今回は中々改善しない。たまたま使っている畳式ベッドの足元の端に腰を当てて反り返すと背筋が伸びる。膝の痛さはサポーターの位置をずらしたりすると歩きやすくなり、日常の生活習慣(買い物・ウォーキング・写真撮影・フィットネスクラブ・合唱等)への影響は歩く速度が遅くなった程度に少しホッとした。心配事は、定期演奏会で1時間程度を立ったままいれるかだ。そこで、週に一度ある合唱で確かめるため終始立って練習した。何とか我慢できる状態だった。

 しかし、きりっとした姿勢で出たい期待とは裏腹に7月7日(金)の午後から急に背筋を伸ばせず、右膝の擦り合うような痛さが再び激しくなった。マッケンジー体操も効果が無く腰は少し曲がった状態のままだ。8日(土)は練習終了後最後の定演実行委員会がある。委員だし出ざるを得ない。気が重い。
 4月1日に行った総合病院に再び行ってもどうせ経過観察だろうし、前より悪化しているから近くの病院にしようと10日(月)に受診した。今度の先生はさっぱりした点は同じだが、はっきりしていた。「軟骨が出てるねぇ、これが神経を抑えているんだよ」、手術で治るんですか?「この程度で手術したら怒られるよ」、治るんですか?治らなければどうすればいいんですか?「薬しかない」、1週間後に演奏会があって1〜2時間立つことになるが大丈夫ですかね?「厳しいね!?」と明快ではあったが落ち込む。


 さて、どうするか?
 1W後に迫った定演に出るかでないかを早めに決断しないと周りに迷惑を掛けることになる。気持ちに揺れ動く要因がいくつもある。
 @ 前回の定演から1年3ヶ月強、随分と練習してきたし、今更約1500名の来場者の前で発表できないのは情けないし残念至極だ。何としても出たい。
 A 無理して出て、本番中に不測事態が起きれば演奏が台無しになる。
 B 友人知人約40人を呼んでいる。彼らに腰が曲がり、痛々しい姿を見せられない。
 C 直前に出ないとなると、ステージ上での並び順等を急遽変更することになり混乱を起こる。
 D 周りの人は椅子に座っても良いからと優しい言葉をくれるが、他人は良くても今の自分の臨む姿勢に合わない。

 そして決めた。出ることに。
 観客、特に友人知人に、杖を突き少し腰の曲がった痛々しい姿に見えようが、合唱を楽しみながら頑張ってる様子の今を伝えられれば、それもありかなと思うことにした。
 3部構成の内、1・2STとアンコールは暗譜なので杖を持てる。2STの1曲に振付で両手を挙げる場面と3STの楽譜のページめくりの時に杖を床に倒さないようにさえ注意すれば良い。そしてベルトループに紐の片方を縛り、片方の先端を輪っかにして杖のグリップ部を挿入できるようにして臨んだ。
 全ての対処がイメージ通りで終わった。
 妻や友人から「違和感は無かった」と聞いた。

 杖はよく頑張ったことを知っている。


 



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