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パトラッシュが駆ける!

食って行けるなら 

2017年02月11日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「六十過ぎの男には、警備員くらいしか、ありませんでね」
Cさんは、再就職の難しさを、語っている。
「ほら、道路工事の現場で、旗振って、交通整理してる、あれです」
ハローワークに行けば、他にも求人はあるけれど、
いずれも、楽な仕事ではない。
もちろん、高給であるはずもない。

Cさんは、長く、上場会社で、働いていた。
営業をやり、管理職の地位にも、就いた。
パソコンのスキルも、相当なものだ。
にも拘らず、それらの経歴を活かす、仕事はない。
企業が求めるのは、将来のある、若者だからだ。

「六十五で、会社を完全リタイアしました」
Cさんには、今さら、アルバイトをやる気はなく、
働くことを、卒業することにした。
持ち家があり、妻が居る。
子供は自立している。
贅沢を言わなければ、年金で食って行ける。
現実を直視し、素早く頭を切り替えたと見える。

お金よりも、余生を楽しみたい。
それで、カメラを肩に、東京の町を、歩き回っている。
神社仏閣、公園、ビル、坂など、テーマを定めては、写真を撮る。
それを、SNSに発表する。
それが今や、膨大な量の、写真となり、蓄積されている。
Cさんの、人生記録であり、財産でもあろう。

「会社の、元同僚が、嘆くんですよ。やることがないって」
そんなもの、いくらでもありますよと、Cさんは、笑っている。
要は、やる気の問題だ。
目的を持つことだと、こう言っている。

Cさんとは、初対面ながら、話していて、とても気分がいい。
過去に連綿とせず、細部に拘泥せず、
人生を、大きな視点で、捉えておられる。
それは、私の願うところでもある。
余生あっての、人生ではないか。
働き詰めに終わる人生、それは、余韻のない、
詩歌のようなものではないか。
未完成交響曲ではないのか……
ということを、頻りに思っている。
Cさんという、生きた見本が、思わせてくれている。

 * * *

文部科学省のOBが、組織ぐるみで、天下りをやっていたそうだ。
外郭団体を設け、そこに、まとめ役を置き、退官者を次々に、
民間の法人に送り込む。
それに、人事課長までもが、関与していたという。
当然ながら、それは、脱法行為とされている。

そうまでして、再就職したいか……
私の関心は、法令違反より、むしろ、そこにある。
中央官庁で、定年まで勤めた人が、職を退いた後、
食って行けないのであろうか。
受け取る退職金は、少なくない額と聞いている。

私は長いこと、商店経営をやっていた。
休みもろくに取らず、働いた。
休日増は、即ち、収入減。
だから、収入増を図るなら、休日返上で働く。
そういう、そろばん勘定の上に、あり続けていた。

今にして、その執着を、悔いている。
何も、あれほど、目の色を変え、働くことはなかった。
世間並みに、週休とし、一日八時間労働としても、やっていけたはずだ。
それなのに、欲を掻き、人生を楽しむことを、後回しにしてしまった。

若い頃なら、出来たことが、もはや出来なくなっている。
例えば、海外旅行だ。
旅に出るからには、事前に、現地の歴史や文化を、調べたい。
片言でもいい、その国の言葉も、喋りたい。
それらを準備することが、億劫になっている。

パスポートも失効したままだ。
それを取り直すことすら、面倒になっている。
こんなことなら、若い頃に、もっと遊んでおくのだった……
という思いが強い。

「サンデー毎日」と言う言葉がある。
世の多くの人が、これを恐れている。
為すこともなく、日々を過ごす。
その空疎と倦怠を、懸念しているのだと思う。

私の場合は、逆だ。
毎日が休日であったら、どんなにいいだろう……
と言うことを、長く思い続けて来た。
そして、先頃やっと、その望みが、叶った。

食って行けるなら、何もあくせく働くことは、ないじゃないか。
さながら、咎人のように、前非を悔いている。
もう後戻りはしない。
同じ轍は踏まない。

歳を取ったって、出来る遊びは、いくらでもある。
海外には行かないが、国内の旅なら、のべつやっている。
安宿に泊まる、気ままな旅であるけれど。

「足るを知れよ」
元官僚の皆さんに、言ってやりたい。
「働くこと、金を稼ぐこと、それだけが人生じゃないぞ」
柄にもなく、説教を垂れたくなっている。

「それでも、まだ働きたい」
と仰るなら、自力でお探しなされよ。
ハローワークが、各地にあるではないか。
警備員だって、社会に必要な、立派な職業ではないか。

これだけ言っても、まだ聞かない? 
頑固だね、あなたも。
なら、本当のことを、言ってやろう。
「あんた、現役時代に、よほど働かなかったんだね」



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人生いろいろ

パトラッシュさん

彩々さん、

サラリーマンと、自営業者の、意識の差というものを、しばしば感じます。

サラリーマンは、↓おっしゃる通りであり、

>「お金が無いのは首が無いのと同じ」という意識が低い人が多く、

一方で、自営業者は、金銭への執着が強いようです。(妄執といわれるくらいに)

これ収入形態の違いによるのでしょうね。
黙っていても、月々給料が振り込まれる。
だから、貯蓄への意欲が低い。
借金することにも、抵抗がない。

そこへ行くと、自営業者は、明日をもしれぬ身、備えをせずには、居られないというわけです。

これが、公務員ともなると、さらに違います。
つぶれる恐れがない。
これは、大いなる安心感です。
大過なく務めていれば……という気になるのでしょうね。
そこで、進取の気が薄れるということは、あるかもしれません。

2017/02/13 08:29:18

官民いずれにしても

彩々さん

根の深い問題を含んだタイトルですね。

私の姉夫婦も公務員生活を経て、既に
二人分の年金受給生活で、悠々自適な
シニア生活を送っています。
義兄も県庁退職後、一度の天下りの恩恵(?)を受け、再就職の経験もありです。
でも、今、あまり現金を蓄えていないのです。
私にはそれが不思議なのですが…。

パトさんが吾喰楽さんへのコメで
書かれている↓

>若い時から「その日」のために、備えをしておく。これに尽きると…

私もそれに尽きると思いますが、色々な方の
生活の仕方をみていて、「お金が無いのは首が無いのと同じ」という意識が低い人が多く、
その成れの果てを目の当たりにしています。

国民年金、厚生年金、共済年金受給額の
差も歴然とあり、歳と共に生きるって
大変なことだと、改めて複雑な思いを
しているところです。(-_-#)

2017/02/13 06:32:15

三浦半島へと

パトラッシュさん

喜美さん、
ありがとうございます。
今年もきっと、伺わせて頂きます。

2017/02/12 17:04:19

来て下さい

喜美さん

壜担いで来て下さい
お待ちしています

2017/02/12 14:21:26

いえいえ

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
ややもすると、表面的に眺め、決めつけてしまいがちな私達に「実は……」を語って下さることは、
大変ありがたいことです。
公務員もさまざま。
一括りに、その非をあげつらうのは、公平ではありませんでしたね。
より深い、洞察が求められると、自戒を新たにした次第です。

2017/02/12 08:47:52

それがいい

パトラッシュさん

Reiさん、
貴女は、お母様の血を受け継ぎ「美」に対する、感性の鋭い人。
それを、作品に表すことに、力を注いでください。
暮して行けるなら、仕事に連綿とする必要は、ないと思います。
好きなことをやって、暮らしましょう。

力作を、今年も見せて下さい。

2017/02/12 08:42:06

愚痴っぽかったですね

シシーマニアさん

ちょっと、公務員家族の遠吠え、でしたね。

考えてみれば、官僚はある意味権力を手にしているわけですから、お給料が低い事で、バランスがとれているんだ、と一応納得していました。

権力に見合った恰好付けで、苦労していた人達も居たのではと、思ったりもしていました。

子供達を私立の名門校に入れたり、等など。

2017/02/11 20:30:00

今年は…

Reiさん

還暦の今年、実は、仕事をリタイアしようと思っています。それでも、ぜいたくしなければ、何とか暮していけますから(^_^;)
やりたいことがいっぱいあり過ぎて、時間が足りないほどです。
天下りしてまで働きたい人は…もしかして、家に居場所がないとか…??…失礼しました(-_-;)

2017/02/11 18:14:11

ここに幸あり

パトラッシュさん

喜美さん、
楽しく暮らす……
一度きりの人生、あれこれ思い煩うより、
これに尽きると思います。

喜美さんは、よき旦那さんに、出会われましたね。
そして、息子さん、娘さん、はては、お孫さんにも恵まれ、絵に描いたように、幸せな人生だと思います。
それは結局、人徳によるところが、大きいのだと思われます。

それがあるから、今もなお、その膝下に、人が集まって来るのだと思います。

2017/02/11 14:52:44

他人の芝生でして

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
公務員は、天国在住者だとばかり、思っていましたが、必ずしも、そうではないのですね。
認識を、改めねばなりません。

私達自営業者は、浮き沈みが激しいので、浮いている時は良いのですが、沈みかけている時は、公務員の安定した身分というものが、うらやましくなるのです。

2017/02/11 14:46:41

あちら親方日の丸、こちら孤立無援

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
役人の世界にも、慣習があり、難しい面もあるのですね。
しかし、だからと言って、関連業界に天下りしては、官と民との間で、癒着を起こし、その弊害は、大きいと思われます。
若い時から「その日」のために、備えをしておく。
これに尽きると思います。

私達自営業者は、自力で人生を切り開いて行かなければならず、リタイア後への備えは、サラリーマン以上に万全を期さねばなりませんでした。

2017/02/11 14:40:26

楽しみ

喜美さん

本当食べるだけあれば何もいらない
主人が60歳の時 風邪をこじらせ
癌ではないかと 築地のがんセンター
迄行き調べた その時 昔は(私の無知か)癌は死ぬと思い込み
私が 手伝った事もない仕事を継げない 其れならやめた方が良いと
仕事辞めました 結果癌ではなかったの 道でよそのトラック見るたび
後悔しました唯仕事が趣味の様な人の
仕事辞めさせて 其れから海外旅行
仕事思い出さないように 二人
言葉も解らない 知り合いの観光会社にお願いして2〜3組で慌てないシニア向けの旅行計画してもらい楽しみました お陰様であちこち行きました
今皆忘れました
昔のない時代に生まれていますから年金で足りた有り難い毎日で楽しく暮らしています 

2017/02/11 11:02:30

土曜日は師匠の日

シシーマニアさん

とっくにリタイヤ生活に入っている私など、曜日も次第に関係が無くなっています。

「火曜日と金曜日は、可燃物を出す日」
「日曜日は、中々教会へ行けない日」位で・・。

その中で毎週楽しみなのが、土曜日の午前中です!

ところで、
主人は官僚ではありませんでしたが、国立の機関に勤めていたので、ずっと公務員でした。
実際、そのお給料の低さには、当人もさることながら数字を聞いた私の友人達も驚いていた程です。
好きな仕事に就いているのだから、不満はありませんでしたが、理不尽な気は、ちょっとしていました。

2017/02/11 09:49:13

天下り

吾喰楽さん

おはようございます。

Cさんの生き方は、私と相通じる所が多いように感じました。
私はカメラではなく、歌舞伎と落語に向かいましたが。

役人の世界には、同期が事務次官に就任すると、後輩に局長などのポストを譲るために、勇退する慣例があるとか。
「天下りをなくすのには、その対策を考えないといけない」という、説があります。
勿論、そのことで、天下りが許される訳ではありません。

2017/02/11 09:42:03

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