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パトラッシュが駆ける!

対岸の火事 此岸の閑事 

2016年03月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

火事は近かった。
直線距離、二百メートルほどでしかなかった。
にも拘らず、私は気付かなかった。
三階にいた妻も知らなかった。
困ったボケ夫婦だ。

出火は午後七時三十分。
確かにその頃、サイレンの音を聞いた。
しかしその響きには、切迫感、あるいは威迫感というものがなかった。
後で現場に行ってみたら、至るところに、消防車が停まっている。
十数台あったろう。
これらが一斉に鳴動したら、さぞ大音響を発したと思われる。
しかし、聞えなかった。
いや、聞えたのだが、ああまたか、どうせ大したことはあるまいと、
私が聞き流したに違いない。

これについて、解説してくれた人が居る。
煎餅屋のSだ。
消防車のサイレンは、前途を急ぐためにあるのです。
現場近くに達したら、もうサイレンは不要です。
というより、むしろ邪魔になるのです。
その音響が、消防隊員同士の伝達を妨げ、消火活動を阻害する原因になるからです。

なるほど、一理ある。
それで私の不覚も、説明が出来る。
私は元々、野次馬なのである。
近くでサイレンが鳴り続けたなら、何をさておき、飛び出していたはずだ。

残念無念。
私が駆け付けた時には、炎はおろか、もう煙さえも見えなかった。
但し、消防の活動が終ったわけではない。
余燼がなお、くすぶっている。
非常線も張られていた。
それが、せめてもの慰めだ。
事後ながら、いささかの緊迫感を味わった。
これで私は、満足しなければならない。
サイレンを軽視し、世の動きに鈍感であった、私自身が悪いのである。

 * * *

火事は、テレビでも報じられたらしい。
そう言えば、ヘリコプターが上空を旋回していた。
現場からの、映像を流していたに違いない。
しかし、それすらも、私は見ていない。

遠くの友人らから、メールが入っていた。
テレビで知っての、火事見舞いだ。
しかし情けない。
私自身は、炎も煙も見ていない。
電話も入った。
「ご無事でしたか?」
「ええ、まあ」
実にもう、意気が上がらない。

 * * *

翌日、口コミにより、新たな事実を知った。
死者が出たらしい。
火元は理髪店で、死んだのは、その主らしい。

それを確かめようと、新聞を開いた。
そうしたら、出ていない。
いくら探しても、ない。
私は現場に行ってみた。
そうしたらどうだ。
火元の理髪店ばかりでなく、近隣の多くの店が、類焼してしまっている。

こんな大事件を、報じないとはおかしい。
私は、購読しているA新聞の、東京支局にメールを送った。
「天下国家を論じるばかりが、新聞の使命とも思われません」
市井の小事件を、ないがしろにするのは、いかがなものか。
昨今の、若者の新聞離れは、こんなところにも原因があるのではないか。
と言うところにまで、踏み込んで言った。

他にも、そんな声が寄せられたのではあるまいか。
翌々日の朝刊に、やっと記事が載った。
しかし、地方版の下段に、小さくだ。
これを「べた記事」という。

大いに不満だ。
私はまたしても、メールを送った。
「速報性に問題ありです。これでは“遅報”です。新聞でなく“旧聞”になってしまいます」
自分の緩慢は棚に上げ、新聞のそれを責めている。

「貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。
頂戴したご意見は今後の紙面づくりの参考とさせていただきます」
A新聞東京総局から、返信が来た。
新聞も、いざとなると、お役所張りの、紋切り答弁をする。
それでもって、逃げ切りを図る。
腹は立つけれど、仕方ない。
一読者に出来ることなんて、限られている。

次の機会には……と思う。
即応に問題があったのは、この私も同じだ。
今後はもっと、敏感でいよう。
サイレンが鳴ったら、飛び出してみよう。
しかし、来ないんだなあ、これが。
待っていると、火事なんてものは、そうそう起きるものではない。



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落語的人生です

パトラッシュさん

山すみれさん、
そうなのです。
私達の会話は、常に落語のようなものです。
お近くなら、山すみれさんも、是非お招きしたいところです。

2016/03/12 20:49:20

落語かと〜♪

山すみれさん

師匠の本文は去ることながら〜

此処での

問答^^がもっと

可笑しいですねぇ。

久しぶりに腹を抱えて

笑わせて頂きました^^♪

2016/03/12 19:45:12

No problem

パトラッシュさん

SOYOKSZEさん、
もうすぐお彼岸、コタツもぼちぼち終わりでしょう。

この十年、シーズン中に、コタツ回りを掃除したことはないのです。

2016/03/12 19:05:55

出火さえ気をつければ

パトラッシュさん

喜美さん、
サイレンにも、強弱があるようで・・・
住宅街では、控えめに、国道などでは、思い切り響かせるようです。
夜中に、近所に救急車が止まると、びっくりしますね。
喜美さんのところは、隣家から離れて、類焼の恐れはないですね。
その点は、安心でしょう。

2016/03/12 19:00:57

その前に

さん

師匠、掃除をして下さい。
なんなら、今度、私が致しましょうか?
師匠の家屋敷より、私は師匠のお体が大切です。
どうか、火元にならないで下さい!!!

2016/03/12 18:59:39

用心用心

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
そのコタツが危ないのです。
昨年十一月以来、掃除と言うものをしていないので、(布団敷きっぱなし)
中は埃だらけだと思います。
上には書類が山積みだし・・・
酔っぱらって寝ていると、そのまま発火元となり、あの世へ直行・・・なんてことにもなりかねません。
それで不在の時は、必ずコンセントを抜くようにしております。
また、酔っぱらってコタツで寝ない。
これを厳守しております。

2016/03/12 18:29:40

火事も

喜美さん

近くになるとサイレン止めるのですか
知りませんでした 夜中にそんなことあったら焼け死にます
救急車はサイレンは大きな道(県道 市道)は鳴らしても団地や細道は鳴らないらしいですご近所迷惑で。 主人の時聞きました
病院の近くに行くと鳴りました

2016/03/12 15:06:58

大丈夫

さん

漏電の原因は、そもそもの施設の老朽化。
そして、コンセントに積もった埃です。
師匠の炬燵さえ気をつければ、案じる事はないと思っております。(笑)

2016/03/12 14:01:19

出来れば一生乗りたくないけど

パトラッシュさん

Reiさん
サイレンを心待ちにしているわけでは、ありません。
救急車も乗りたくないです。
幸いに、これまで乗らずに済んでいます。
私がそれに乗るのは、おそらく最後の時だろうと思います。

2016/03/12 13:58:21

漏電注意

パトラッシュさん

SOYOKAZEさん、
火災を待望しているわけではありません。
不幸にして起きた、その時、機敏に動けるようにと、
そういう意味であります。
防災無線と言う手があるのですね。
それは便利です。
こちらでは、口コミが頼りです。

私自身は、タバコも吸わない関係で、出火元となる可能性は少ないです。
でも、気付かぬうちの、漏電というのが怖いです。
留守にするときは、冷蔵庫以外の電気器具は、皆コンセントを抜くようにしています。

2016/03/12 13:53:44

灰塵

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
そうでしたね。お兄さんは長年に亘る消防団活動が認められ、褒章を受けたのでしたね。
火事にはことのほか、敏感だったことでしょう。

確かに、泥棒の方が、まだましとも言えます。
今回焼けたのは、六棟。
その家の人々の苦労たるや、察するに余りあるものがあります。

2016/03/12 13:46:03

だめですよ

Reiさん

サイレンを心待ちにしたりしては!

もし、自分の家に救急車が来たりしたらどうするんですか・・・。

私は、サイレンの音は嫌いです。もし、近くで停まったりしたらゾッとします。
野次馬根性はいけません(>_<)

2016/03/12 10:16:01

待ってちゃいけませんよ

さん

パトラッシュ師匠 おはようございます。

縁起でもない。
火事なんぞ、待たないで下さい。

新築なった我が家に越して間もない頃です。
向い側、農協のすぐ裏手の大工さんの資材置き場から出火しました。
距離は200m、時間は真夜中です。
夜中の火事は近く見えます。
農協の駐車場越しなので、ダイレクトに炎が見えました。
爆発も何回かあって、鎮火後も夜明けまで化学消防車が街道に何台も待機しているのも不気味で・・・
幸い風も無かったし、人的被害はなかったけれど、隣の家の方は怖かったでしょう。
そちらを守ったので、反対側の栗の林が焼けました。
(因みに、我が市は防災無線で、夜中でも火事のお知らせがあります)

今は犯罪が多発していますから、余程死傷者が多い火事でないと、新聞には載らないかもしれませんね?

2016/03/12 09:29:21

消防団

吾喰楽さん

おはようございます。

兄は、消防団に所属していました。
現役時代、家には消防無線機が置いてありました。
兄と一緒に飲んでいると、次から次へと火事の情報が入りました。
その数の多さに、驚いたことにを思い出しました。

泥棒は家まで持って行きません。
火事は恐いです。
お互い、気をつけましょう。

2016/03/12 09:24:48

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