OB忘年会(2)

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吾喰楽家の食卓

2015年11月30日ナビトモブログ記事
テーマ：生活

事前に公表された終演は四時だったので、日本橋へ五時までに行くのは楽勝かと思った。
国立演芸場に着くと、壁に貼られた時間表の終演は四時五分に替わっていた。
公演が始まると、少しずつ時間が伸びて行った。
トリの神田阿久鯉（講談・天明白浪伝むささびの三次召捕り）も、大熱演だった。
結局、演芸場を出たのは、四時半になっていた。
前日、路線を調べたら、地下鉄・半蔵門線で三越前へ行くのが、乗り換えがなく、所要時間も短いようだった。
ところが、半蔵門線の三越前で降りるのは初めてのことだ。
まごまごしながら集合場所へ向かったが、銀座線に比べると、長い距離を歩かないといけなかった。
会社に着いたのは、集合時間の五分前だった。
寒い日だったのに、額には汗を掻いていた。
前々日のことを、思い出した。

その日、生家の最寄り駅、阿佐ヶ谷からＪＲに乗った。
前の日は、生家に泊まったのだ。
通勤ラッシュのピークは過ぎていたが、結構、電車は混んでいた。
中野を過ぎたとき、外国人の女性から、「六本木へ行くのは、新宿で乗り換えですか？」と、訊かれた。
きれいな日本語だった。
新宿から行けるはずだが、何線に乗り換えるのか判らなかった。
混雑と手荷物で、スマホが使えなかったから、目の前に居た男性に助けを求めた。
彼も、「新宿で乗り換えだが、何線か判らない」と、云った。
別の女性が、「四ツ谷の方が、良いのでは」と、云い始めた。
すると、外国人の後ろに居た男性が、「新宿で大江戸線に乗り換えるのが早いです。私も六本木へ行くので、案内します」と、申し出た。
これで、決まりだ。
辺り一帯が、安堵に包まれた。
その外国人の女性は、周囲に笑顔を振りまいて、新宿で降りた。
東京の地下鉄網は、文字通り網目なので、大概の所へ行けるが、実に難しい。

幹事は、『〇〇社OB忘年会』とタイトルが付いた、リストを寄越した。
それによると、メンバーは九人で、今回、七人が出席だ。
会場は、最近、開店した店なので、会社集合にしたそうだ。
想像した通りだった。
ところが、一人だけ、少し遅れて来た。
ＪＲの神田で降りたが、出る改札口を間違えたという。
彼は、中途退職をしていたが、十年以上も勤めた会社だ。
皆に笑われた。
帰路、神田からＪＲに乗ったが、工事が終わり、少し様子が変わっていた。
笑って悪いことをした。

出席者七人のことを説明しておく。
年齢は、亥年から卯年まで、最大で四歳違う。
若い二人は、定年後、再雇用された。
中途退職した二人は、会社を興し、今でも現役の社長だ。
私を含め二人は、年金生活をしている。
そして、一人は、定年退職後、技術系の資格を取得し、総合病院で設備管理の仕事に替わった。
久し振り顔を合わせ、話題は青春時代のことに終始した。
大いに盛り上がった。
私はと云えば、只管、聞き役に徹した。

完

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写真
１１月２８日（土）の宴席