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船賃…　

2012年05月14日
テーマ：テーマ無し

そのせいか
三途の河を渡る夢を見た。

渡し船の料金は六文だと言う。
ポケットをあちこち探した挙句
出てきたのは五文。

何とか一文まけてくれないかと頼みこむも
にべもなくあしらわれた。

早くしろと
列の後ろから罵声が飛ぶ。

奪衣婆が
それなら身ぐるみ脱いで行けと
しわがれ声で指を指す。

どうしたものかうろたえていると
船を出すぞう、の鬼の声。

ちょっと待ってくれえ、の叫び声がカスれて
思うように出ない。

…そこで目が覚めた。

ああ
三途の川も渡れない文足らずの身は
もう笑っちゃうしかない。

確かに
一文足らずの人生だったような…

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