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パトラッシュが駆ける!
最後の旅は
2012年03月16日
テーマ:テーマ無し
「ガンが転移していてね」
Kが死んだ後、その親しい友人であった、Sが言った。
「当人も、分かってたんでしょうね。
奥さんと二人で、ヨーロッパ旅行に、行ったりしてましたから」
今から、20年も前の話である。
当時の医者が、患者本人に対し、どの程度の告知をしたのか・・・
私には、知る由もない。
医療のことには、とんと疎いのである。
私の数少ない経験から言えば、海外旅行では、ちょっとした緊張を強いられる。
例え、ツアーに加わったとしても、国内とは訳が違う。
死の半年前のKに、よくそんな、気力と体力が残っていたものだ。
「ねぇ、厄落としに、ヨーロッパでも行ってみない」
奥さんが、Kを誘ったものと思われる。
その気持も、分からないでもない。
問題は、Kだ。
病状を何処まで知っていたか。
そして彼が、外国への旅を、望んだかどうかだ。
今だって、海外旅行は、一定の価値を保っている。
時代を遡れば、なおさらのことだ。
Kは、愛妻家であった。
世話をかけた女房に対し、せめてもの、感謝の意を表したかったとして、不思議はない。
今生の別れに臨んで、笑顔を装いつつ、必死の努力をしたのではあるまいか。
翻って、私自身が同じ立場に置かれたら、どうか。
正直、ヨーロッパまでは、ご勘弁願いたい。
今は、病状をはっきりと、告知すると聞いている。
残り時間を聞いて、身辺整理をし、それでもまだ時間があったら、
そこで何が出来るかを考えたい。
* * *
海外旅行は、行き出すと“はまる”そうだ。
北米やヨーロッパの先進国に始まり、さらには、開発途上国にも及んで来る。
そうなれば、もう「通」であろう。
何処そこで飛行機が落ちたと伝えられると、その中に、日本人が居るかどうか、
テレビのアナウンスでも、必ず言う。
まさか、そんなローカル線に・・・と思うところにも、日本人が搭乗していて、
驚かされる。
知人のYも、通と呼ぶべき一人だ。
年に4〜5回なのだが、受ける印象としては、のべつ海外に行っているように、見える。
帰って来ると、旅行記をそのホームページに載せる(写真ばかりだが)。
見てくれとメールが入るから、ざっと見回して、感想を送る。
実を言えば、興味津々たる光景は、ほとんどない。
例えば、エジプトのピラミッドや、中国の万里の長城にしても、
既にして、プロの手による写真などで、お馴染みだから、格別に目新しいものはない。
あ、写ってらぁ・・・
当の本人が、その景色の中に見えれば、それがご愛敬であるくらいだ。
「Yのヤツ、金があると見えて、いいご身分だ」
「いいや、今時の海外旅行なんて、他の遊びに比べれば、安いもんさ」
共通の知人であるUに言ったら、笑われた。
確かに今は、ろくな稼ぎもない若者まで、気軽に海外へ飛ぶ時代である。
「それよりもな・・・」
Uが、眉を曇らせつつ言った。
「Yには、病気があってな・・・」
「何処だ?」
「言わないんだ、それをはっきりとは」
「それで旅行かい?」
「そうだ。思い残すことのないようにだろう」
ここでも海外旅行が、人生の締めくくりに使われている。
好きなことをやって死ぬのも、一つの満足であろう。
結構だと思う。
しかし、私はどうも、真似する気になれない。
* * *
旅で締めくくるとすれば、私は国内の方がよい。
温泉に長逗留なんてのがいい。
古いお寺で、一日、仏像と向き合っているなんてことも、悪くない。
だから、ツアーなんぞ、とてもダメだ。
しかも、余命を告げられてから、慌てて行うというのは、いかがなものか。
宿題と同じように、早目にやってしまうのが、よいのではないか。
「命短し」である。
「恋せよ、乙女」である。
私は、せっせと旅に出るつもりで居る。
「最近はあまり、飛行機落ちないわね」
傍らで、テレビを見ながら、妻が言った。
イタリアの豪華客船が、岩礁に乗り上げ、横たわっている。
ああ、そう言う手があったか・・・
開発途上国のローカル線に乗る。
あるいは、危なさそうな船に乗る。
それで死ぬのも、悪くないかなと思ったりもする。
日本は安全すぎる。
海外も、捨てたものではない。
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きっと・・・
最近、死について考えることが、多くなりました。
「汝、うろたえるなかれ」
そればかりを思っております。
私なんかより、ずっと身近な死を見つめていらっしゃった、
しあわせさがしさん。
その思うところは、深いと想像しております。
2012/03/17 10:52:31