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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(30) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(30)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/03/24 14:03:55

+++二割の側に入りたいものだね」
「ふうーん、成る程ねえーーー。梱包一つから世の中
の仕組みが判るってのは、面白いわ」

30.偉人のレシピ

「そんな風だからーーー、社長になれたのかしら?」
「ウフフーーーいいや、そうじゃないと思うな。真剣
勝負みたいに一所懸命にやっていたから出世して社長
に成れたというより、社長になったから自然そう成っ
てしまった、というのが正しいと思うな。順序が逆
だよ」

「ーーーー? じゃあ、元々怠け者だったのに社長の
立場になったから、そのせいで本腰を入れて何でも真
剣にやるようになったーーーという意味? そうかし
らーー?」
「そう思うね。立場が人を作るんだ」
「ーーーー」

「同じだよ、貴方もさっき言ったじゃないか。美しい
と言われたら、美しい人の立場になって、そんな風に
身を振舞うだろ? そう振舞うと、本当に美しくな
るーーーじゃないか?」
「嫌だ、一本取られた!」

「そうしないと会社が潰れる、という脅迫観念が大な
り小なり経営者にはあるものだよ。いい加減な梱包で
製品が壊れたら、会社は大損するでしょう? そう思
うと、心配でおちおち手抜き工事が出来ない」
「そうねえーーー」

「社員の場合は梱包が破損しても失業する事はない。
仮に失業しても会社を変われば良いだけ。そんな立場
の違いが、仕事への真剣度に繋がる気がする。たかが
梱包にまで命を掛けるみたいーーー、それが零細企業
の社長だよ」

「立場の違いが梱包のプロを作るってーーー?」
「内幕を知ったら、プロだと威張っても、大して偉く
はないだろ? ただ心配性なだけ。そんな事を繰り返
す内にクセになってね、身に染み付く。そうすると、
はたから見ると実に偉く見えるようになる」

「アハハ、偉く見えるようになるーーーなんて、まる
で偉人をこしらえるレシピみたい」
「世の偉人とは、大概周りが勝手に思い込む誤解で出
来上がるものさ。リボンを付けて、ラッピングされ
てね。そうすると、本人も「自分は偉いもんだ」と錯
覚するようになる。周りの誤解と本人の錯覚で、嘘に
輪が掛かるだ」

「ウフフ、貴方に掛かると、偉人もまるで形無しね。
傑作!」
「ウチの社員も、社長は偉い男だと勝手に勘違いして
いる。その方が都合が良いから、彼らの誤解を解かな
いようにしているんだ」

「アハハ、おかしい。貴方は少しも威張らないのね」
「褒めたってだめだよ、僕はーーー」
「ウフフ、妻子が居るから結婚は出来ない、って訳な
のよねえ!」
「君は頭がいいねえ!」
「社長さんの話は、面白いわーーー」
「いやあ、こんな話は面白くないよ。もっとバレエと
ベッドの話をしようよ」

(つづく)

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