筆さんぽ

男の理想の生き方 

2024年03月05日 ナビトモブログ記事
テーマ:エッセイ

「男の理想の生きかたは荷風ですよ」
作家、詩人の伊藤整がどこかに書いていた。
図書館の書棚の永井荷風の本の前にくると思い出す。
書棚で、大正8、9年ころの永井荷風のエッセイを読んでいると、例によって眼にふれるものことごとくに白眼を剥いて、あざけりののしりまくるのだが、花鳥風月にたいしては、まるで人が変わったような口調で崇めたてるのである。

それと、書物と酒である。ひとり暮らしに欠かせない無二の伴侶は書物と酒だけだとして賛美の言葉を書きつらねているのである。
うれしいことがあったときに、いっしょに喜んでくれるのは酒で、書物は喜びをふくらませてくれると、いわんばかりである。

荷風流儀を会得したいと、本と酒を用意したが、
荷風さんは日本酒で、ぼくはウイスキーにしたものだから
「絵になって」いないのだろう。
それに、ウイスキーに合う本を読みたいなと、ディケンズなどを用意したものだから、ウイスキーを飲み過ぎて酔っ払ってしまった。

そもそも荷風先生になりきりたいという根性がよくないようだ。
自分のスタイルで行こう。
ぼくは、酒を飲みながら本を読めない。
作家に、そして酒にも失礼だろうと思うからである。

やはり、「男の生き方の理想は、自分自身の生き方だよ」と思うことにしよう。
ぼくを知る知人たちは、荷風さんのように「白眼を剥いて、あざけりののしりまくる」だろうが、花鳥風月がなだめてれくれるだろう。

日本気象協会は、東京の桜開花予想を3月18日と発表した。
今年の花見は、荷風さんのように日本酒をたのしみましょうか。



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