読書日記

『霜月記』 読書日記340 

2024年03月02日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記


砂原浩太朗『霜月記』講談社(図書館)

昨年の9月初めに図書館に予約してNo13であった。それが5か月たった2月中旬に順番がきたのであるから、予想外に早く読めたとも言える。とは言え、待っている間に新作『夜露がたり』が出版されてしまったけれど。

内容紹介では
『高瀬庄左衛門御留書』『黛家の兄弟』に続く、「神山藩シリーズ」(*)最新作。
名判官だった祖父・失踪した父・重責に戸惑う息子――町奉行を家職とする三代それぞれの葛藤を描く。

18歳の草壁総次郎は、何の前触れもなく致仕して失踪した父・藤右衛門に代わり、町奉行となる。名判官と謳われた祖父・左太夫は、毎日暇を持て余す隠居後の屈託を抱えつつ、若さにあふれた総次郎を眩しく思って過ごしている。ある日、遊里・柳町で殺人が起こる。総次郎は遺体のそばに、父のものと似た根付が落ちているのを見つけ、また、遺体の傷跡の太刀筋が草壁家が代々通う道場の流派のものではないかと疑いを持つ。
さまざまな曲折を経て、総次郎と左太夫はともにこの殺人を追うことになるが、果たして事件の真相と藤右衛門失踪の理由とは。

(*)〜「神山藩シリーズ」とは〜
架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された世界観で物語が紡がれる。

ただ、著者には藩名の違った武家物である『藩邸差配役日日控』という1冊もあるのだが、何故、これも神山藩シリーズの中の一冊としなかったのかは私には不明である。

さて、話はゆったりと進む。前作では多かった派手な剣戟もほとんどない・・・読書メーターを読むと、なんと言うか、前作に比べて詰まらないとかがっかりしたとか言ったり、難しい漢字の使用が多すぎるという感想も見受けられたがこういう事を書く読者はまだ若いのだろうなと思う。

この話の中でいぶかしいのは総次郎の父・藤右衛門がなぜいきなり致仕し、行方をくらましたのかであったが、それもまあまあ納得のいく形で答えが示される。いずれにしろ、祖父・父・息子の3人が並んで居酒屋に入るというラストは心温まるものがあった。
(2024年2月12日読了)



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