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読書日記
『サエズリ図書館のワルツさん 1』 読書日記315
2024年01月04日
テーマ:読書日記
紅玉いづき『サエズリ図書館のワルツさん 1』創元推理文庫
書店の店頭で見つけ、『金曜日の本屋さん』と煮た雰囲気を持っていたので、少し迷ったのであるが購入した本(発見してから1週間ほど経っての購入)。外見の雰囲気は軽そうであったが、意外と手こずった。正確には読みかけたところで図書館に予約していた本が続々と準備が整ったのでそちらを借りて読むことを優先したのである(このような場合、購入した本は期限が無いので後回しにされがち)。
裏表紙の内容紹介によると
世界情勢の変化と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる──。書籍初収録短編を含む、本と人の奇跡を描いた伝説のシリーズ第1弾、待望の文庫化。著者あとがき(単行本版、文庫版)=紅玉いづき
となっているのだが、ろくろくこの紹介を読まなかった(と言うかこの日記を書くために初めて読んだ)私は読み始めて驚いた。つまり読み始めてみるとこれは近未来を舞台にしたSFであったからだ。なるほどそれで創元推理文庫だったのかと膝を打った。
■目次
第一話「サエズリ図書館のカミオさん」
第二話「サエズリ図書館のコトウさん」
第三話「サエズリ図書館のモリヤさん」
第四話「サエズリ図書館のワルツさん」
番外編「ナイト・ライブラリ・ナイト 真夜中の図書館のこどもたち」
はじめの20ページほどで示されるように、普通に街角に建ち、身分証をもって利用者登録を済ませれば図書館の規約に同意したとみなし、誰でも利用出来て貸出期限は2週間とか、というのは現在の我々が持つ図書館のシステムとほぼ同じ。しかし、読んでいくうちに少しずつ示されてくることが違和感が生じさせてくる。さりげなく書かれる<ピリオド>と呼ばれる事実上の第三次大戦(「36時間の戦争」とも呼ばれている)。いわゆる本のほとんどは失われ電子化されたデータとして存在し、(実物としての)本は博物館に収められ、ケース越しでしか見られないような貴重な文化財になっていた。
「貴重な」本を無料で貸し出すというある意味で浮世離れしているこの図書館のシステム…いや、こうした背景は否応なく電子化されたデータと現物としての本、この2つの違いや対比を改めて考えさせられる。本当に本は不滅なのであろうか?
(2023年12月21日読了)
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