モノローグ

「深い河」 

2023年10月22日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書

遠藤周作の「深い河」を久しぶりに読んだ。
老眼も進んで読書自体あまりしなくなっているけれど、今年は遠藤周作の生誕100年という事で先月TVでも取り上げられていたので、「深い河」を再読したくなったのだ。
遠藤周作は、私にとって最も影響を受けた作家の1人だ。

神を玉ねぎと表現するのには違和感があったけれど、登場人物の一人である神父が、教会と自身の信念の狭間で悩む時、ガンジー語録集の「全ての宗教は同じ神から発している。しかしどの宗教も不完全である。なぜならそれは不完全な人間によって我々に伝えられてきたからだ」、「様々な宗教があるが、それはみな同一の地点に集まり通ずる様々な道である。同じ目的地に到達する限り、我々がそれぞれ異なった道をたどろうとかまわないではないか」の言葉に共感した記述があり、ここを読んだ時、私もキリスト教にも仏教徒にも踏み込めなかった違和感を、この言葉が一気に解消してくれたのだ。
弱い心の支えになるなら、何も形に囚われる事はないのだ。
それぞれが信じるものに縋り、それによって救われるのであれば。

「深い河」には戦時中ビルマのジャングルで凄惨な体験し、心に深い傷を持ち続けている登場人物も書かれている。
今ウクライナやガザ地区の惨状を目にする度、歴史は我々の教訓となっていない虚しさを感じる。
人間の欲と弱さも。

一冊の本から得るものは多い。



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難しいことはわかりませんが

fossileさん

現況は空しいよね、でもじっさい何もできないし

「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」
ってことか
「今が一番いいと思える人生」、いいよなぁ

遠藤氏は共感と違和感が相半ば。

2023/10/22 20:10:49

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