メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

吾喰楽家の食卓

令和2年 新春国立名人会 千穐楽 

2020年01月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日、2日目と4日目に続き、今年3回目の落語を楽しんだ。
7公演の全てに、「大入満員」の立て看板が出たらしい。
小三治がトリを務める千穐楽は、チケットを発売開始してから数分で売り切れた。
あぜくら会の会員特権である先行発売日のことだから、会員でないと買えなかったことになる。
千穐楽の噺家は、白酒(はくしゅ)、馬生、正蔵、一朝、小さん、小三治の6人で、落語協会の人気者が揃った。

今回の席は、8列13番で前後左右、ほぼ、場内の中央に位置する。
私が補聴器の愛用者でなければ、上々の席なのだろう。
これ以上、後ろの席だったら、この公演を諦めるつもりでいた。
公演の前夜、4列目の下手側に空席が出たが、私の席と、どちらが聞きやすいのだろう。
あぜくら会でチケットを取ると、キャンセルできないのに、何故、今頃になって空席が出るのか、その仕組みが分からない。

幕開けの太神楽曲芸協会による『寿獅子』は良く見え、歌舞伎で言えば特等席だった。
白酒の『ざるや』は、噺自体は良く聞こえたが、マクラでは語尾が分からず、周囲の笑いに取り残された。
小三治は、マクラが長い噺家なので、嫌な予感がした。
ものまねの子猫に続き、高座に上がった馬生は、15分という短い持ち時間ながら、『安兵衛狐』を上手くまとめた。
中入り前の正蔵は、珍しい『一眼国』を口演した。
持ち時間が20分あったので、馬生より長いマクラを入れ、高座を下りたばかりの同じ一門のペーをいじった。
「高級な料理屋のご馳走が並ぶ中に、チキンラーメンが混ざった」と、ペーの余談漫談を評した。
「言い得て妙」とは、このことだ。

クイツキの一朝は、『芝居の喧嘩』で、見事な江戸弁を聞かせてくれた。
マクラで、「講談は、いい所で話を切ってしまう」と批判しながら、自らそれをやったのは、大いに笑えた。
ヒザ前の小さんは、『つぼ算』を無難にこなした。
ヒザの正楽は、少し酔っていたようだが、見事な紙切りを見せてくれた。
通常、客から同じ注文を受けないが、敢えて三種類のネズミを切ったのは、持ちネタが多いからこそできる技だ。

トリの小三治が登場すると、客席は盛り上がり、期待を込めた静寂と、拍手喝采を繰り返した。
しかし、不安は当たり、白酒ほどではないが、くすぐりは三回に二回程度しか分からなかった。
マクラは、年末に歯医者へ行ったことから始まり、ベートーヴェンの交響曲第九番の話題が中心になった。
「ブラボー」という掛け声のタイミングについて、歌舞伎や落語と比較しながら、持論を披露した。
最後は、フランク永井の『公演の手品師』について、本人との思い出を語った。
そして、三番まで歌ったが、きちんと歌えたのは一番だけだった。
意外なことに、結構、綺麗な声だ。
持ち時間の20分は、40分ほどに伸びたが、結局、落語はやらなかった。
それでも、場内をあれだけ沸かすのだから、「流石、人間国宝」ということなのだろう。

   *****

写真
2020年1月7日(火)撮影:国立演芸場の玄関と演題



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

PR





上部へ