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サイレント映画の魅力を気づかせる「カツベン!」 

2020年01月04日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


「カツベン!」 2019年 日本 傑作映画「Shall we ダンス?」の周防正行監督が、4年ぶりとなる新作「カツベン!」という映画を撮った。主演は、本作が初主演となる成田凌(なりた りょう)が演じ、ヒロイン役を黒島結菜(くろしま ゆいな)が演じている。● 映画スターよりも人気を博しカツベンと聞くと、なんだか「カツ」の弁当みたいに聞こえてしまうけど、今から約100年前の映画がまだサイレントでモノクロだったころの活動弁士を夢見る青年が、主人公になっている。その活動弁士を省略してのタイトルになっている。 活動弁士は、明治から大正時代にかけて、無声映画の上映の際、楽士の演奏する音楽とともに独特の語りで内容を説明し、身振り手振りの派手なパフォーマンスで観客を熱狂させた。時には映画スターよりも人気を博し、最盛期には全国で数千人もの活動弁士が活躍していたという。 活動弁士として、ぼくが聞いたことのある人物は徳川夢声、故人でがあるが、2年前に新潮社から「話術」という文庫本が出ている。また、現代でも、活動弁士付きのサイレント映画の上映を行っている映画館が少なからず存在し、活動弁士も存在するという。 その日本独特な文化を映画にしていることもあり、当映画を観たいと思った。また、あの不思議な面白さを体から滲み出している竹中直人も「Shall we ダンス?」と同様に出ているし、色々な個性的な俳優も勢ぞろいしている……と、いうことで期待に胸を膨らませて観に行った。結論、面白さに関しては、やはり「Shall we ダンス?」には及ばなかった。 物語は、コメディドラマなんでリアリティに関してあまり細かく言うのはなんだけれど、主人公・染谷俊太郎(成田凌)の一流活動弁士としての技術が、最初から彼の身にできあがっているかのような前提で話が進んでいるので、主人公に、今一つ思い入れができない。 一流の活動弁士となる為の自分なりの練習、もしくは新たな映画館(木館)に入って活躍する先輩たちの活躍を尻目に雑用している自分の悔しさ、そのような葛藤の心情描写がない。プロになる為の活動弁士としての苦労をカットして描いてしまっている印象を持った。● 僕はなんて勘違いをしていたのだろう但し、活動弁士の世界の面白さ、及びサイレント映画に関する新たな興味を引き起こすところに、「カツベン!」という映画の力を感じた。周防正行監督が当映画を作成するきっかけを黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」でこのように語っている。 黒木)『カツベン!』はオリジナルの作品ですが、どうしてこれを映画にしようと思われたのですか?周防)僕が浅はかにも、ずっと無視をして来たから。黒木)え?周防)大学生のときに、サイレント映画をたくさん観ていました。そのときはサイレント映画だから音がない状態で、活動弁士の説明も音楽もない、まさに無音の動く画を観るというのが、サイレント映画の見方だと思っていました。活動弁士がいることも、音楽があることも知っていたのですが、それを無視していたのです。サイレント映画なのだから、サイレントで観ないと監督の意図は伝わらないのだと、ずっと思って生きて来た。でもつい最近、僕の助監督をして下さっていた片島章三さんが「こんな本を書きました」と、この映画の元になる台本を読ませてくれたのですね。黒木)いつも周防監督は、ご自分でシナリオをお書きになりますよね。周防)自分のシナリオではないのは、今回が初めてです。黒木)そのシナリオを読まれてどうだったのですか? 周防)「僕はなんて勘違いをしていたのだろう」と思いました。当時、明治の終わりから大正昭和の始まりにかけて、無声映画をサイレントで観ていた人はいなかったのです。当然、映画監督は自分の作ったものが上映されるときに、生演奏があり、誰かの説明が入るとわかって撮っていたのですね。要するに、監督がサイレントで観てもらうことを前提に撮っていなかった。それを僕はサイレントで観ていたのですよ。「これはいけない」と。それも僕は映画監督なのに、なぜ日本映画史の重要なことを無視して来たのだと思って、大反省です。音がない状態で物語をつくり上げるというのは、映像を作る人間としての最高のテクニックだ、技術だと思っていたのです。それこそが映画の基本と言うか、映画の本質だろうと。黒木)それが180度変わったわけですね。周防)変わりました。黒木)活動弁士という方々がいて、初めてサイレント映画は成り立つのだと。● 娯楽のスタイルを現代と過去とで・・・この映画を観て、活動弁士の世界というのは映画にする題材としてとても向いていると思った。映画という娯楽のスタイルを現代と過去とで見比べてみる楽しさがある。一人の弁士が男の声も女の声も出すので、完成度の高い一人芝居をみているような面白さも感じた。活動弁士としての一番のショックな出来事は、映画技術が発達し、音声が入る映画・トーキーが普及するようになって以後、活動弁士が不要となってしまったことであろう。このときに、徳川夢声のように漫談や演劇、ラジオ朗読者などに転身した人もいたが、なかには須田貞明(黒澤明の実兄)のように転身を図ることもできず、自ら命を絶った者もいたという。このような歴史も映画的な物語にすることができるのではないか。映画「カツベン!」の場面で、興味が惹かれたのは活動弁士がバラバラのフイルムをつなぎ合わせて、そこで面白おかしく映画を物語りにしてしまっていたこと。ここはなかなかのアイデアと語りの技術を感じさせた。また、劇中で上映される1ダースほどのサイレント映画が、ラストで流れる二川文太郎監督で阪東妻三郎主演の『雄呂血』(おろち)を除き、すべてこの映画のためにオリジナルで撮影されたものだとのこと。たとえば「椿姫」(1921)は、幾度となく映画化されオペラとしても知られる不朽の名作のひとつだが、城田優や、監督の奥さんの草刈民代が出演し再現している。どのサイレント映画を、どこに誰が出演しているかを探し当てるのも一つの楽しみになるかもしれない。参照:周防正行「サイレント映画について大変な勘違いをしていました」    活動弁士PR:Shall we ダンス? 4K Scanning Blu-ray   

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