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吾喰楽家の食卓

国立劇場 

2018年10月26日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

中村芝翫は、国立劇場十月公演『平家女護島』で、時の権力者である清盛と、平家打倒の企てが露見し流罪になった俊寛の二役を演じた。
長男の橋之助も、清盛の甥である教経と、赦免使の丹左衛門の二役である。
次男の福之助は、主人である俊寛の赦免を待つ有王丸を演じた。
座頭の芝翫は当然ながら、二人の息子も重要な役を担った。
芝翫親子のファンには、堪らない公演だと思う。
ところが、客席に、千穐楽に特有の盛り上がりを感じなかった。
客の入りは、七割ほどにすぎない。
特に、二階と三階の両サイドは、空席が目立った。

国立劇場に於ける歌舞伎の通し狂言では、毎回、国立劇場賞を選定している。
誰が受賞するかを予想し、結構、今までは当てて来た。
ところが、今回は、皆目、見当がつかない。
帰宅早々、国立劇場のHPにアクセスして驚いた。
優秀賞を中村亀鶴が受賞していた。
橋之助と共に赦免使の瀬尾を演じたのだが、これが敵役の典型なのだ。
憎らしさに隠れ、演技の上手さを見抜けないのは、私が歌舞伎の初心者だからだろう。
今、考えると、憎らしければ憎らしいほど、名演技なのかも知れない。

橋之助は、奨励賞を受賞した。
親子四人が同時に襲名披露してから、初めて見る舞台である。
それを機に、成長しているように、素人ながら感じた。
橋之助と共に奨励賞を受賞した、中村橋吾は、今回、初めて見る役者かも知れない。
俊寛と共に流罪になった康頼を演じたが、自然な演技が印象に残った。
前述の役者より格下らしいが、実力はあるのだろう。
島の娘の千鳥を演じた坂東新悟は、純朴な可愛らしさを感じたが、賞から外れたのは残念だった。
今回、国立劇場賞を予想できなかったのは、芝翫の演技が際立っていたからかも知れない。

   *****

写真
10月25日(木)の国立劇場



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ぼてふりさんへ

吾喰楽さん

こんにちは。

亀鶴丈は、カタログに、「『俊寛がいじめられてかわいそう』と思って頂ければ嬉しいです」と、書いています。
その意味でも、大成功だったのでしょう。

芝居と分かっていても、敵役が憎らしくなります。
千鳥は男が演じているのを知っていても、可愛らしく感じるのと同じですね。

2018/10/26 13:23:28

敵役

ぼてふりさん

私の知る限り、これまで多くの主演級の役者さんのコメントでは「敵役」を演じるのは楽しい、そして、難しいといったものが頭に残っています。
特に「悪役」を演じるのは役者冥利に尽きると大昔の映画スターが語っていました。
今回ご覧になられた公演の役者さんの敵役も素晴らしい演技だったのでしょうね。
吾喰楽さんも感情移入して演技を楽しまれたのだとご推察します。賞の選考はそれなりの基準があるのかも知れませんね。

2018/10/26 09:45:29

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