詩(short poems)

赤毛のアン-18 

2018年10月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

第4回講義(最終回)
今回で茂木健一郎先生の講義も最終回。私のはネタバレ記事の可能性があっても私はちっとも気にしませんが、ネタバレがお嫌な方は飛ばしてくださいね。

さて、マリラはアンに大学進学を勧めます。マリラとアンはなんでも語り合える良好な関係を築いている。それで先生になりたいアンの気持ちに気づいて、マリラはその夢を叶えてあげたいってことでしょう。マシューとアンの仲の好さはもちろん推して知るべし。アンの学業が秀でていることも誇らしくてならないマシュー兄妹。アンの大学進学を勧めたいのも当然かもね。

大学へ入るにはクイーン学院へ進学しなければならず、そのためにアンはグリーンゲイブルズを離れて寄宿舎生活か何かをしていた。クイーンで猛勉強して大学の奨学金の資格まで勝ち取った。こう見てきて、アンの才能は優れていると分る。努力家であり、理解ある保護者に恵まれ、運にも恵まれていたって分る。希望に溢れる明るい未来は今やアンの頭上に降り注がれた。

特別に優秀なアンは大成功を収めて当然でしょ?そんなサクセスストーリーなら私はすこしも面白くない。「幸運なアンだね」でお終い。家を転々としながら育った作者のモンゴメリーには、苦労のなかで学んだ記憶が伴なっていて、安らかに暮せる家庭を子供に用意してあげたい。それでアンをクイーン学院卒業まではマシュー兄妹の保護下に置いて過ごさせた。

真っ当な大人は誰でも我が子の幸せを願うが現実と理想のギャップは大きい。優れた才能に恵まれるとは限らない。幸運に恵まれる人ばかりでもない。虚弱な人、飢える人、差別される人、どこにも居場所がない人もいる。不遇に苦しみ泣いて過ごす人は現に多い。病院に診てもらえず亡くなる人も多い。明日の夢や希望とは無縁の人が現実に多い文明社会だ。

モンゴメリーは何よりも先ず、アンを悲しい目に遭わせてはならないと思った。そしてアンには正直さを求めた。一生涯の友だちも必要だ。外に飛出す勇気や努力する勇気も欠かせない。そうやってモンゴメリーの才能は花開いたし、理想の環境に当人の資質と努力が加わることでアンは成功の道を歩むことができた。ここまではアンを健康に育てる環境・世界の問題なのです。

モンゴメリーが最後に用意したのは大人のアンが自分の道を自分で探して切り拓いていく人生だ。保護される時代を卒業したアンは、これからは保護する側に立って大人として生きるべきだ。それは誰も、生みの親であっても、育ての親であっても、アンに提供してあげられない。作者としてのモンゴメリーでさえもアンに提供できる立場にはない。大人は一人立つのです。

マシュー、マリラ兄妹の保護や援助を当てにしないで一人立つ地点に到達したのをアンは知った。様々の問題・課題が次々に起こる度に大人のアンは解決策を探して前へ前へ進まなければならない。その自覚がアンに育った今、保護者マシューは全ての責任を果たしたと言える。責任を果たすということは身をすり減らす作業だとマシューの身体の老化は教えている。

身はすり減って弱ったマシューだが、問題・課題をやりおおせた満足にマシューの心は愈々愉快で頑健であればこそ、先行きに何の不安があるものか。死は疲れ衰えた身体を一時の眠りの褥(しとね)に就かせる日常の作業ですから、マシューは明日の目覚めを楽しむがいい。今日を充実して過したマシューに楽しい夢は約束されている。夢から覚めたら起きて生活を愉しむがいい。

マリラにはアンとの暮らしをもう少し楽しんでから夢の世界へ向かって次の目覚めを設定してもいいが、作者モンゴメリーもそこまでは述べない。もしか、女性を大人とみるモンゴメリーの女性観の顕われかも‥ね!? 女心が私に分る筈もないが‥支えあう女同士として?ライバルたる女同士として?女心を想像して楽しむのは男にのみ与えられた特権なの‥かなあ。笑

親世代へ向けた「赤毛のアン」の物語り。アンが親世代の仲間入りを果たすまでのストーリーだったようですね。いやいや、私は「赤毛のアン」を知らないで来たのです。今回の茂木健一郎氏の講義で私もしっかり味わうことが出来たツモリになっています。じっさいに本を読んでてもココまで理解が進んでなかった気のする。物語は女性(モンゴメリー)のがやっぱりやさしい!? (*´ω`*)

ありがとうございました。( ´∀` )



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