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むぅびぃ・とりっぷ
大人のファンタジー「シェイプ・オブ・ウォーター」
2018年03月11日
テーマ:テーマ無し
◎ 「シェイプ・オブ・ウォーター」2017年 アメリカ原題:The Shape of Water監督:ギレルモ・デル・トロ出演者:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ 年をとるにつれて本当に涙腺が弱くなった。 「シェイプ・オブ・ウォーター」の予告編で主人公の中年女性を演じているサリー・ホーキンスが、「彼を助けなければ、私達も人間じゃないわ」と、手話で抗議する場面で涙が出た。映画の本編を見て、そのストリーの中に入り込んで泣くのはともかく予告編だけで涙ぐんでしまうなんて。「ぼくは、どんだけ泣き虫男になってしまったんだ・・・・・・・」と、自分で自分にあきれはてた。 一つ奇妙なことに主人公のサリー・ホーキンスがどうにも気になってしょうがない。そんなにきれいでもないのに、なぜこんなに印象的な女優なのか、確認したくなった。 物語はシンプルに言えば、実験用のアマゾンからもってきた半魚人に恋してしまった中年女性の話。1962年、政府の極秘研究所の清掃員として働く、口がきけないイライザ(サリー・ホーキンス)はある日、アマゾンから連れられてきたというクリーチャー(異形の生物)に遭遇する。音楽を聞かせたり、ゆで卵を彼に与えたりしているうちに、アセットと呼ばれるクリーチャーと心を通わせてゆき、彼女は、彼に恋してしまう。しかし、そのアセットを研究所では安楽死させようとしていることを知り、彼を助けることを計画する。 孤独な清掃員の中年女性を演じたホーキンスがどんどん魅力的に見えてくる。手話というのは感情を手のパフォーマンスで見せられているようで、とても美しい。声が出せない分、指と手の動きが空間を切り取るダンスのようにも見えてくる。また、サリー・ホーキンスのヌードが「え!?」と、驚くほど美しい。とくに、ヒップの形がすばらしく、後ろから撮った彼女の全身像はバランスが見事。40歳以上の女性が、こんなに綺麗に見えたのはひさしぶりの事。ぼくは、この映画で初めてホーキンスを見たと思っていたのだが、いろんな映画に出たベテランだということがわかった。自分も過去に見た「ブルージャスミン」にも出演した女性だったことを知り、驚く。さらに、彼女はその映画でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされていて、今回の作品でも同じ助演女優賞にノミネートされていた。2008年に主演した『ハッピー・ゴー・ラッキー』では、ゴールデン・グローブ賞コメディ/ミュージカル部門主演女優賞を受賞している。 当映画の脚本の初期段階から携わってきたホーキンスはこのようにコメントしている。「トロントで監督と初めて会ったとき、脚本は草稿段階だったの。まだ推こう中だというのに、出演を強く望んでいた。耳を疑ったわ。夢じゃないかと思った。まさかこんな素敵な役が舞い込むなんて、感謝感激よ。脚本の冒頭をその場で読ませてもらったの。とにかくシビれたわ。圧倒されたの。美の極致よ。最高に美しい脚本だわ」。 また、ホーキンスの友人の清掃員の役で出ている丸々太った黒人のおばちゃん(オクタビア・スペンサー)も、劇中の会話がユーモラスで楽しい。とくに、自分のダンナに対するボヤキ話しが面白い。「どんな料理を作ってもおいしいともなんとも感想がなくて、本当に作り甲斐がない。」「あまりいいところがないのだけれど、絶倫なところだけが良かったのだけど、今ではそれすらなくてずいぶんご無沙汰になっている」。等々・・・・ この映画はホーキンスの友人を含め、登場人物の特徴がそれぞれきっちりと描かれている。悪役のリチャード・ストリックランド大佐(マイケル・シャノン)もまるでプロレスラーのような体格といかつい顔つきで、役にピッタシの憎まれキャラ。強力な電気が通じるこん棒を常に持っていて、地獄の閻魔様みたいで迫力満点。そのいかつい顔で、家庭に居たときは子供にまとわりつかれて、なんとも居心地悪そうな表情。そして奥さんとのベッドでは、まるで機械のように腰が乱暴に動いていて情緒も何もあったものではない。 映画にはゆで卵が何回も出てきて、思わずぼくも食べたくなってくるから映画の影響はすごい。何だったら、『この映画の上映中は映画館でゆで卵を販売していてもいいのでは?』と思ったほど。 また、ゆで卵といえば、ポールニューマンの「暴力脱獄(1967)」という映画を思い出した。「ゆで卵を50個食べれるぜ」と大口叩いて、それが賭けの対象になり、途中で食べ過ぎでひっくり返ってしまう。僕はなつかしくなり、DVDをレンタルしてしまった。映画の一つの選択が次の映画の選択に繋がるきっかけを作り出し連鎖していくので、なかなか映画を見ることは、やめられないものだ。参照:「シェイプ・オブ・ウォーター」主役を“当て書き”されたS・ホーキンス「夢かと思った」
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