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吾喰楽家の食卓

不器用な坂崎と純情な時次郎 

2017年11月06日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日の歌舞伎は、私にとって、色々な意味で異例なものだった。
国立劇場は、通し狂言を原則としている。
見せ場を選りすぐって、幾つかの演目を上演する、歌舞伎座とは異なる。
ところが、十一月の国立劇場は、二つの異なる演目を上演するというのは異例である。
それぞれ、明治末期から昭和初期に作られた、新歌舞伎の名作というのも異例だ。

山本有三=作『坂崎出羽守』と、長谷川伸=作『沓掛時次郎』の二つである。
勉強不足を露呈させるが、山本有三が歌舞伎を書いていたのを、私は知らなかった。
今回は、三十六年ぶりの上演である。
『沓掛時次郎』は、長谷川伸は書いたのは知っているが、新国劇だけのことかと思っていた。
初演は新国劇だが、六年遅れて、歌舞伎でも上演されていた。
今回は、四十一年ぶりの上演だ。

『坂崎出羽守』は、大坂夏の陣で、家康の孫である千姫を猛火の大坂城から救いだした、坂崎の苦悩をテーマにしている。
救い出した者は千姫を嫁がせるという、家康の言葉を信じたことが、この男の不幸の始まりだ。
“不器用にしか生きられない、真っすぐな男”を見ているのは、同じ男として、何とも切なかった。
『沓掛時次郎』は、人生の裏街道を行く男の真心とでも、云ったら良いのだろうか。
“愛する女に思いを打ち明けられない、純情な男”時次郎にも、坂崎とは違った切なさを感じた。

古典落語でも、人情噺などに客を泣かせるものがある。
演者が泣いてはいけないと云われているが、鳳楽師匠のように自ら泣く噺家もいる。
ところが、多くのそれは、熱い涙である。
涙を流しても、ほっこりする。
ところが、今回の歌舞伎は違った。
「切ない涙」と、云ってよい。
興奮冷めやらぬ思いで、この拙文をまとめたが、私の思いが表現できただろうか。

   *****

写真
11月5日(日)の昼餉(海鮮丼)と、国立劇場の玄関



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NOVAさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

私は、歌舞伎を観始めて3年目の初心者です。
先ずは観ることです。
台詞の全ては、理解出来ないですが、舞台の美しさだけでも、楽しめます。

外国の方も、多く来ています。

2017/11/06 08:27:02

歌舞伎

さん

おはようございます、吾喰楽さん。
歌舞伎は一度も観たことがないんですよ。
何も知らないので、やはり敷居が高いのです。
出雲は歌舞伎踊りを創設したと言われる出雲阿国がいたのですね。
帰国したらもう一度故郷を学び直そうと思っています。

2017/11/06 07:59:48

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