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吾喰楽家の食卓

雛祭の演芸場 

2017年03月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

雛祭の昨日、久し振りに国立演芸場へ行った。
先月、鹿芝居を観て以来だから、半月が経っている。
落語や歌舞伎を観る日、昼餉に何を食べるか思案するのは、食いしん坊には楽しみの一つだ。
隼町に通い始めた頃は、池袋のデパ地下で弁当を買い、持ち込んでいた。
当初は、ワンカップの清酒を付けていたが、その内、お茶に替わった。
その後、下車する永田町駅ではなく、半蔵門駅周辺に色々な店があると判った。

都合七軒の蕎麦屋へ行ったが、その中の二軒は、立ち食い蕎麦の店である。
平河町にあるこの二軒は、何れも注文を受けてから生麺を茹でる店だ。
値段を考えると、高望みは出来ないが、先ず先ずの味だと思っていた。
最近、阿佐ヶ谷の駅前に、椅子席ではあるが、セルフサービスの店が新規開店した。
その店のコストパフォーマンスを知ってしまうと、平河町にある立ち食い蕎麦屋が色あせて来た。
とはいえ、十一時前だと開いている店は少ないので、昨日もこの店で昼餉を食べた。

花形演芸会や国立名人会と違って、定席は当日券でも観られることが多い。
ところが、昨日の上席は、珍しいことに満席だった。
今のところ、満席は十日間十一公演の中で、昨日の昼席だけである。
観客全員に雛あられが配られるから、それに釣られてかと思ったが、そうでもないらしい。
開場前の一階ロビーは、団体客でごった返していた。
満席だと、中入りのトイレが混む難点もあるが、場内の熱気は悪くない。

お目当ての中トリ春風亭一朝は、古典落語の『岸流島』を、“イッチョウ懸命”に口演した。
“イッチョウ懸命”は、一朝師のキャッチフレーズだ。
『岸流島』は、『岸柳島』とも書き、明治時代の新聞小説を元にしている。
騒ぎの相手を騙して岸に上げる筋書は、二月の風流寄席の『夢金』と同じだ。
巌流島の佐々木小次郎に、似た逸話が残っているのが、演題の『岸流島』の謂れかも知れない。
見るからに江戸っ子の風情がある、一朝師に相応しい演題を楽しめた雛祭だった。

   *****

写真
3月3日(金)の昼餉(冷やしかき揚げ蕎麦)と上席の演題



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