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たかが一人、されど一人

読後感「激走!日本アルプス大縦断」 NHKスペシャル取材班著 

2013年06月08日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

久し振りに面白いノンフィクションだ。昨年放送された番組を見て感動したので手にした。読後改めて番組を見たかったが、既にオンディマンドでは見ることが出来ない。DVDが発売されているのだ。NHKもすることがセコイ。この点だけが少し不満である。書き手は番組の構成を担当した名古屋放送局勤務の斉藤さんと言いう方。スタッフリストにはディレクターの一人として名前が載っている。本の内容以前に、少し番組制作に関わった経験を持つ者として、NHKの人材の厚さに驚いてしまう。制作と演出サイドが14人、撮影サイド(音声を含む)に51人の名前が連なっている。他にプロの山岳ガイドや車両担当の名前も明記されているが、ポーターについてはスタッフとして勘定していない可能性もある。取材は8日間のレースと前後を合わせると膨大な量になるのだろう。特に丸8日間昼夜を分かたず繰り広げられたレース中の取材は、山岳技術も半端な者では勤まらない。過去5回のレース経験者が多数採用されたようだ。番組も見応えあったが、この著作はアマチュアの出来を遥かに超えた本格的ノンフィクションとなっている。そもそもテレビ番組の良し悪しは、その大半を構成作家の腕によるものだから当たり前かもしれない。内容は勿論昨年8月の半ばに行われた『トランス ジャパン アルプス レース2012』(第6回TJAR)の取材者レポートの形を取っている。このレースについては、番組の放送まで全く知らなかったが、2002年から隔年で実行されていた。コース全長が415キロで制限時間は8日間、富山湾から駿河湾まで、間に横たわる北、中央、南の3大アルプスの峰々を踏破しながら日本を横断する過酷極まりないものである。第1回目の参加者は5名、6回目の今回は参加者が28名で完走者が18名。もちろん事前に厳しい資格審査があり、エントリーできるだけでも、最近流行のトレールランナーにとっては名誉なこととは頷ける。トップランナーは5日と6時間24分でゴールしている。本書に於いても狂言回しとして主役的な立場を演じているが、この人が得たものの中にメダルとか賞金とか賞品すら何も無いのが素晴らしい。走ること、山を愛することが好きな人が集まって、自分たちの為に自分たちの手で作り上げているレースなのだ。トップランナーもリタイアした選手も含めた連帯意識には取材者側も理解し、現場スタッフはかなりのめり込んだのではないだろうか。先にも少し触れたが、取材する側の危険度も選手と変わらないこともよく分かった。これまでに事故を起こしていないことも素晴らしい。誰かに何かの縁があって、三重放送局に持ち込まれたこの企画の実現で、来年の(第7回TJAR)の参加者は急激に増加するのではないだろうか。そのことでこれまで大事に育ってきた山屋の精神が、変な商業主義に穢されないこと、無事故で回を重ねることを祈ってやまない。

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