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流老記

五月の終わりに… 

2012年05月30日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

朝のうち晴れ、
午後になり曇り。

最近では付き合いも途絶えていた
古い仲間を見舞いに行く。

何度行っても
病院は苦手な所。
それでも最近の病院は
昔より明るく機能的で
ちょっとしたホテル並みのイメージ。

面会手続きを済ませ
バッジを付けて病室へ。

仕切りのカーテンの隙間から顔を入れ
よう、と声を掛けたが
相手の顔を見て言葉をのむ。

そこまでなるかと思うほど
顔がやせ細り
あの精悍だったイメージは微塵もない。

そばにいたカミさんが
お久しぶりです、と頭を下げ椅子を勧める。

ゆっくりと片手を上げ
ほほ笑んだつもりの瞳は深く沈み
次にかける言葉が思いつかない。

大変だったな、だけど元気そうじゃないか…

高ぶる感情を押さえたつもりでも
かけた声が上ずる。

ずいぶん御無沙汰してしまい
すまなかったネ、と顔を近づける。

カミさんが
何か飲み物を…と言い小走りに出て行く。

いよいよアウトだ、
こっちの目を見て喘ぎながら言い
力なく笑った彼の眼に光るものが…

それから30分ほど話したが
帰ってきたいま
その内容が思い出せない。

廊下でカミさんから
あと2〜3カ月ぐらいだと聞かされたのが
遠い日の出来事のよう。

この歳になると
風の便りは哀しいものばかりだ。

明日で五月も終わる。



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