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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(18) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(18)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/03/11 09:44:58

+++最悪の場合でも後方から眺めて美人で無かった
女は一人もいない。美女に恵まれ続けた私の人生は、
つくづく男冥利に尽きる。そう感謝しながら、駐車場
を歩いた。

18/60.味が良い

 バレエの練習とはどんな事をするのか、と尋ねて
みた。未知の世界に興味があった。白鳥らしく小首を
伸ばし気味にかしげて、女は悪戯っぽく笑った:
「ウフフ、きっと直ぐに判るわーーー」

 若い女とのデートは作りたてのサラダのようにシャ
キシャキと新鮮で、仕事漬けだった私の心に長く忘れ
ていた情感を呼び覚ました。

 日差しは明るいし、六十七の干物のくせに湿り気を
取り戻して気持がうきうきした。幾つになっても人は
恋が出来るようで、目に入るものが何でも楽しく、女
の笑い方、話し方、軽やかな足取り、すんなり伸ばし
た背筋の全てが芸術品に見えた。

「貴女を見ていると、芸術が服を着て歩いているみた
いだーー」と、正直に気持ちを言うと、
「あら、芸術が服を着るなんて、そんな言い方を聞い
たのは初めてよ。どう言う意味?」

 車の中で仕掛けた黒魔術が効いていて、物言いは親
しげで女はもう充分柔らかくなっている。私の先祖は
元食人種だったから、ワサビを利かせて醤油さえ掛け
れば、何時でも食べてしまえる。けれども、食べたら
味が良さそうだなんて言えば、相手が怖がるから絶対
に言わない。

 女のお尻を眺めてゴクッと生ツバを飲み込んでか
ら、私は正反対な応えを作った:
「貴女は綺麗だし軽やかで、一緒に居ると楽しくなる
よーーー」
「あら、楽しくなるのはいいわ。芸術は元々人を楽し
ませる為のものだもの」
「成る程。僕は楽しんでいるよ。 いや貴女に会えて嬉
しいのかな?」

「ウフフ、それだったら、人を楽しませる目的を果し
たんですから、初期段階で私の芸術は既に成功したも
同じね」
 自信があって、なかなか賢い受け答えである。

(つづく)

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