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作品名 アカンタレの話(38) 評価 評価(1)
タイトル アカンタレの話(38)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/02/02 08:10:08

+++けれども、「忘れない」という
のと「好き」とは別物で、むしろ
「好き」と言ってしまうのは安直過ぎ
るように思うのである。何故なら:

38.対抗手段

 先に書いたように、小二当時私は病
気の問屋みたいに腺病質で、苛められ
っ子であり、医院でカルシウムの注射
にベソをかいた。これより劣った子供
は余り居なかったろう。

 けれども、そこまでなら子供の都合
の良い論理を用いて、私は何とか言い
訳を取り繕ろい、プライドを保てた。

 それだのに、クラスで一番温和しく
弱くみえたあの高倉町の女は、どうだ!

 山道に連れ込んで、辛うじて残って
いた私のプライドを木っ端微塵にし、
「お前は、アカンタレ!」を突き付け
た事になる。これが何よりこたえた。
好きだったからである。

 加えて親でさえ、「このアカンタレ
は、原料の配合を間違えた失敗作だっ
たかーーー」と、私の製造品質に薄々
感付いて、ため息を付く始末であった。

 一層許し難かったのは学校の女先生
で、私の学業の不成績を実際より大袈
裟に通知簿に記入しただけでなく、帰
り際に「お母さんに見せなさい」と封
筒をくれたが、その中に私の悪口を書
き倒したのである。

 情けない事に、親は親でそれを真に
受けた。漢語を混ぜて子供に読めない
ように暗号化して書いてあったが、な
に、こっちは鼻が利くから匂いで全部
意味が判った。帰り道で破いて捨てれ
ば良かったーーー。

 相手が苛めっ子にせよ一緒に加担し
た大人達にせよ、周りは意地悪と敵だ
らけで、こっちには味方が居なかった。
四面どころか五面楚歌で、私が悔しか
ったのは、週イチのカルシウム注射に
頼る力量では、五面の敵に対抗出来な
かった事である。
(つづく)

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