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作品名 アカンタレの話(27) 評価 評価(1)
タイトル アカンタレの話(27)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/01/22 09:18:28

+++見晴台の根元にーーー「在る筈の茶店」まで、
昔の登山口からきっと三十もあれば歩き抜けたに違い
ない。彼女の速足は生活の知恵であって、私への当て
付けでも意地悪でもなかったようである。女のもう一
つの謎が解けた。

27/50.数式の解法
 これだけでも大きな発見であったが、未だ釈然とし
ない不審が残った。数式の中に解けない部分がある気
がした。

 それは:見晴台の山が仮に鉄拐山の背後に隠れて下
界の登山口辺りから見えなかったにしても、その山は
少なくとも小さなものではない。それだのに、潮見台
に住んでいた頃、あれほど克明に茶店の場所を探索し
たのに、見晴台がある山の存在に、どうして気付かな
かったのかである。これこそ不審。

 南側に縦に並んだ鉄拐山の登山口や中腹からなら、
背後に位置する北側の見晴台の山の存在は見えない。
これは当然としても、鉄拐山の頂上まで私は過去に何
度か登っていたのである。標高の高い鉄拐山の頂上か
らなら、隣接する見晴台のある山が眼下に必ず見えて
いた筈で、見えなかったなんて有り得ない。

 或いは、目に入っていたのに、注意を払わなかった
だけなのか? じゃあそれなら、どうして「払うべき
注意」を払わなかったか? 木が茂っていて、鉄拐山
の頂上からの見晴らし利かず、その山が見えなかった
という可能性も有り得る。これならば、理屈として納
得が行く。しかし本当にそうだったろうか? 記憶が
いまいちはっきりしない。

 もう一度車窓から目をやって、この不思議を解決
した:当の見晴台はその山の本当の山頂には無くて、
何故か九合目辺りに位置しているのに改めて気づいた
のである。しかも山頂の北側にある! 

 南に位置する鉄拐山の山頂から、やや低いその山の
山頂は良く見えたとしても、見晴台の姿は頂上の向こ
うに隠れて、目に入らないのだと気付いた。鉄拐山側
から尾根伝いに行くとすれば、その山の頂上に辿り着
くぎりぎりまで、見晴台はずっと目隠しされたままな
のである。小ニの当時、幾ら歩いても茶店の影が見え
なかったのは、どうもこの理由によるらしい。二番目
の謎が氷解した。
(つづく)

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