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作品名 クワバラの話(3) 評価 評価(1)
タイトル クワバラの話(3)
投稿者 比呂よし 投稿日 2013/12/21 14:09:27

+++男女で、字の書き方に自然にそんな違いが
滲み出るのは、一体何故なのかと考えると、これは
不思議の一つではある。

3.アンバランス

 高知に住んでいた30年以上も昔、仕事上の付き
合いで筒井さん(男性仮名)という人がいた。私よ
り四つ五つ年上であったが、私が足元にも及ばぬ位
英語が上手で、頭も良く、人柄が涼しげだったから、
私は好きであった。

 そんな中で、筒井さんの手書きした文章をたまた
ま目にしたことがあった。見事な達筆であった。字
を眺めて「流石に!」と思った。書いている字と人
柄が、一分の隙も無くぴったり合致するように感じ
たからである。字は人なりと感じて、違和感が無か
った。

 反対に、日頃何となく敬愛の念を抱いていた先輩
だったのに、書いた字を初めて見て、ガッカリする
事もある。人柄とのアンバランスを感じるのだ。
 不思議な事だが、その後その人と何年かの長い付
き合いがあったりすると、最初に文字を見た時に受
けた印象の方が、案外正しかったと知るのは、私の
生涯に一度や二度ではない。

 そう思うと、字は人柄を隠せない気がする。怖い
と思う。これが意識にあるせいか、自信がまるで無
い悪筆の私は、怖じけ付いて滅多に(社員以外へ)
手書き文章をよう書かない。
 「ヘエ!これが、あのXXX社の社長の字ーー
ー? 一体、歳は幾つなんだい?」そんな風に言わ
れそうだから、想像するだけで恥ずかしくなってし
まう。

 若い時分なら言い訳で未だ誤魔化せる。が、いい
歳こいての悪筆の恥ずかしさは格別で、長く生きて
来た人生の内容まで問われそうな気がするから、真
に嫌なのである。

(つづく)

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