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大飯食い(私の作品です。以前書いたものに手を加えてみました) 

2023年06月25日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

   大飯食い
「おら人殺しになりたくねえがら、逃げて来たんだ」大柄な娘が村外れの山裾にある小さな庵に駆け込んできました。
おら女相撲で大関はってた。だからちっちぇえおっか様ぶん投げたら死んじまう。うちでは姑おっか様が絶対で、おらの扱いは乞食以下なんだ。今日も十五夜の餅亭主とおっかさまは餡子つけて食べてて、おらは臼洗わされてた。そこへこじきが来たら見栄はって大きな丸い餅をやれと言う.おら腹減ってるから、こじきにやる分半分くすねてやろうとしたがバレちまって睨まれて、おらにはほんの少ししか餅残しといてくれなかった。乞食の半分も食わしてもらえね。おら腹減らしたままこき使われてる。
腹減ってしゃあないんで飛び出してきた。まだ十八だから町さいけば女中奉公だって出来るべし。あの家出て働き口探してえ.どうしたらよかんべ。
「まあまあ話は明日にしておかゆ食べて今夜は泊まりなさい」五十がらみの尼さんは、優しく中に上げてくれました。娘はお粥を鍋の底までこそげてすっかり食べた。
明日になったら、お前がおっか様殺さないで済む様にしてあげるから、今夜は寝なさい。でも夜具がないんだわ。一枚の布団で一緒に寝よう。それにしてもお前さんでっかいね。今じぶんは寒くないから背中出てもいいな。尼さんは一つ布団に潜り込ませると赤ん坊にする様に娘の背中を叩いて寝かしつけてくれました。娘はヒクヒクと肩を震わせていたましたが、涙の中でとうに死んだ実家のおっか様を思っていました.
朝になると二人で大量のお粥を炊いた。味噌汁は菜っぱ。糠漬けのきゅうりと茄子。もう古漬けで塩からいがうまい。
「女相撲の大関か。里じゃあ丼飯食べてたろうに」「はい、嫁は飯もろくに食えないと初めて知りました」「で、亭主に未練はないんだね」「あんな意気地なしに未練なんかありません。「亭主は字が書けるかね」「いいえ」「それでは三行半(みくだりはん・離縁状)を書いて行って母印だけ押させよう」離縁状貰ってきてやるまで、ここで待ってなさい」「お掃除して待ってますので雑巾など貸して下さい」「まずは自分の顔と髪の毛を洗って、綺麗になっていな」
尼さんが娘の婚家に離縁状を求めると、ぐずぐず言われたので、「女相撲の大関におっかさま殺されてもいいのかい」と脅して拇印を押させました。この尼様、ドスの効いた江戸弁で捲し立てる。頭を丸める前はどう言う人だったのだろう。
尼さんは戻ってくると三行半を渡して「お前さんはもうどこへでも嫁に行かれるよ。さてこれからどうする?」「嫁に行くのは懲り懲りなんで、町で働きたいです」では町の米屋の旦那に紹介状を書いてやる。米屋がダメでもどこかに奉公口を見つけてくれるだろう。力持ちだし仕事はあると思うよ。大飯を食うとも書いといてあげよう」
娘は米屋に、大飯を食べても良いと言う約束で奉公しました。三日と経たないうちに娘の顔は一変!地獄から極楽に救い出されたかのように何もかもが嬉しくて、どんぶりに好きなだけご飯をよそうときの笑顔は周り中を笑わせるのでした。
ふっくらした姿で、一日中楽しそうに働く様子に、たちまち米屋の息子が惚れてしまいました。「出戻りだってこと、この街じゃ誰も知らないんだから、問題ないでしょう」息子は言うが、お父っつあまは「半年待て、性根を見極めたら許してやる」息子は化粧したことのない娘を小間物屋に連れて行って、化粧の仕方を教えてもらい、ますます可愛くなったのを、半年間手出しできないでいました。娘は何しろ力持ちで男以上に働く、しかも笑顔が絶えません。一日中、どの瞬間も嬉しくってたまらない様子なのでした。
やがて米屋にふさわしい嫁だと認められて。隣の薬種屋夫婦の養女として、立派に祝言をあげ米屋の若女将となりました。
助けてくれた尼さんへの感謝をわすれず、庵を建て替えて、尼さんの暮らしに心を配りました。子供達を連れて里帰りするのはいつも尼さんの庵でした。
若女将は次々と7人もの子を産み、一生幸せに暮らしたということです。おしまい。
いかがでしょうか?私の作品。コメント頂きたいです。

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