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映画「怪物」よりは本の「でっちあげ」に軍配 

2023年06月17日 外部ブログ記事
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「怪物」 2023年製作 日本 是枝裕和(これえだ ひろかず)監督の「怪物」を見た。ぼくにとっては本当にひさびさの劇場に足を運んでの鑑賞となった。● 坂本龍一の音楽と脚本「坂元 裕二」是枝監督の作品では「そして父になる」(2013年)が面白かった。でも、「万引き家族」(2018年)や「ベイビー・ブローカー」(2022年)はみんなが言うほど見応えのある映画とは思えず、自分には合わない監督なのではなかろうかと、思っていた。それでも懲りずに「怪物」を観に行ったのは、亡くなった坂本龍一が音楽を担当していたこと。脚本が監督ではなく「花束みたいな恋をした」(2021年)の脚本家である「坂元 裕二」が担当したことなどが、期待を盛り上げてくれた。またカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で「怪物」は脚本賞を受賞している。『「怪物」は、「羅生門」構造を持った作品』との映画評論も読んで、なおさら興味を持った。「羅生門」構造とは、同じ出来事を複数の視点から描くもので、映画の物語手法として定着しているとのこと。「怪物」では、子どもたちの諍いが、息子を溺愛するシングルマザー、担任の学校教師、そして当人たちの3つの視点で描かれる。それで、結論から言うとやはり心に響かなかったのだ。前作の「ベイビー・ブローカー」よりは良かったが、これは決定的に是枝監督の映画の創り方が、自分には合わないことを確信した。● ”死にたい願望”ではなかったこの映画は細かい部分が雑で、物語に心が気持ちよく入っていけない。シングルマザーである早織が子供を乗せて運転中に、子供がドアから急に車の外へ飛び出して怪我をする。咄嗟の行動とは思うが、あまりに唐突で疑問。映画の説明不足の為、子供が生活に対する不満から来る”死にたい願望”の現れにも見える。この行動は、別の意味があることが後からわかってくるのだが、気がつかなければただの気まぐれの自殺行為としか見えない。親が子供の事で担任教師を学校に訪ねに行く。親がクレームを言いに来ているのに、頭を下げた直後に親の目の前で飴玉をほうばる担任教師というのはキャラを作りすぎ。そんな行動を取るのも納得の、普段からどんな場面でも人の感情に鈍感な教師という設定ならわかるが、そうではない。そして担任教師のみならず、学校側のメンバー全員が浮きすぎていた。母親が学校に息子の怪我で出向いたときに、雁首そろえて「申し訳ありません」と、誠意のないロボットのような謝り方では、もめるのがあたりまえだ。とても不自然な謝罪の場面で、脱力感だけが残る珍場面になっている。それに猫の死骸が唐突に物語に登場するが、これも中途半端に感じる。猫を虐待してどうこうというのであれば、もう少しその事が物語の他の事件とリンクしているのなら納得する。しかし、そもそも猫の死骸と結び付く事件が映画の中で起きていない。● 福岡「殺人教師」事件の真相この物語の内容は、あるノンフィクションの作品をおもいださせた。参考にしていると思う。それは福田ますみ著作の「でっちあげ」、副題に『福岡「殺人教師」事件の真相』とある。「でっちあげ」は、とても面白い内容で当時、評判になった。第六回新潮ドキュメント賞を受賞している。同書は文庫で17.5万部(2021年11月)とベストセラーになっており、コミック版も発売されてる。この本はある教師が地元の新聞報道をきっかけに濡れ衣を着せられて「史上最悪の殺人教師」とまで呼ばれるようになる。全国ネットのワイドショーが一斉に飛びつき連日、報道合戦を繰り広げる騒ぎとなった。やがて教師は停職処分になる。発端は担任の家庭訪問から始まる。そして9歳の子供の説明を信じた両親は学校と担任教師に対しモンスターと呼ばれるクレーマーに近い形になっていく。男児の両親は、福岡市と教諭個人を被告とし、民事訴訟を起こす。地元の新聞報道がきっかけで、週刊文春もこの事件を取り上げ、さらに誤情報が広まっていくのだった。いかに週刊誌の情報を鵜呑みにするのが危険な事かということがよくわかる。(その割には性懲りもなくぼくは週刊文春を読んでいるが・・・・)頭で考えた子供をめぐる話より、むしろこの本をベースに問題となる事を再構築して映画のテーマ―にしたほうがよかったのでは?と、ぼくには思えてしまった。 参照:「怪物」がカンヌ脚本賞 他視点で描かれる「羅生門」構造の映画 

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