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『坊さん、父になる』 <旧>読書日記1332 

2023年02月05日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記

白川密成『坊さん、父になる』ミシマ社(図書館)

著者による「坊さん」シリーズ(?)の2作目。前著は2010年に出版され、著者が2001年に24歳で祖父の死により栄福寺を継ぐ所からはじまっている。前著は2015年に映画化され、本書も同じ2015年に出版されている。実はこの本の存在を知る前に第3作である『坊さん、ぼーっとする』を知ってそれを先に図書館に予約したため、出版順に読めるかどうか心配した。幸か不幸か、図書館が休館されたために順番通りに読めた。

で、いきなり、「はじめての子どもの出産予定日にお葬式の予定が入った」と始まる(*)。まあ、題名から半ばは予想出来る展開であるが、著者はいつの間にか結婚し子供もできた訳である。まあ、普通の読者としては結婚相手とどのようにして出会ったのか、結婚に至る話の展開などを詳しく知りたいと想うものだが、その記述は割とあっさりしている。

妻となる人とは高野山で「密教の伝授会」で出会った。と言っても二人が初めて話したのは伝授会が終わって高野山から下山する日、高野山から大阪までのバスと電車の中だったという。

本書は
T 坊さん、結婚する(第1話〜第3話)
U 坊さん、仕事で悩む(第4話〜第6話)
V 坊さん、寺を作る(第7話〜第9話)
W 坊さん、父になる(第10話〜第13話)
と、全体が4部に分かれていて第1話から第13話までのエッセイ集であり、そのほとんどは著者による「仏教ではこういう風に考える(のではないか)」という話であるが、結婚と子供の出産については第1話と第13話のみであり、あとはあとがきに執筆が遅れたので第2子も出来たと書かれているだけである。

著者の「仏教(真言密教)ではこう考える」というのはまとまった著作と言うより日々の折々のことについて「こうではないか」とか「こんな反省をした」という話なので、ある意味分かりやすいのであるが、寺の運営をしている宗教者という立場からのものでもあり、そんなものかとも感じてしまう。

その中には栄福寺の演仏堂という新しい施設を作る話もあるのだが、どんなものか知りたく思いネット検索をした。そして、その設計者白川在氏は著者の実兄であることを読み終えてから知った。この建物はユニークなものであり建築界でいくつもの賞をとり、中には世界的な賞であるリーフ賞(英)の若手建築家部門賞ももらったそうだ。
https://architecturephoto.net/27020/

(*)この子どもは2018年に幼稚園を卒園しているのでその6年前の2012年の出来事だと推定できる。
(2020年5月30日読了)
ダウンロード/eifukuji-演仏堂.jpg



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