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吾喰楽家の食卓

初めて尽くしの中席 

2019年06月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

■三遊亭あんぱん
開口一番、前座の“あんぱん”は、年齢の割には芸歴が短く感じた。
後で調べると、笑遊に入門して四年目の三十七歳である。
この業界は、年齢よりも芸歴を優先するから、順調に昇進しても、真打になるのは五十歳を超えてしまう。
お馴染みの古典落語である『寿限無』を口演したが、新作落語と言っても良いような内容だった。
寿限無という縁起が良い名前が幸いし、二百数十歳で亡くなる設定だった。
噺の筋書きは、面白い。

■春風亭昇也
二ツ目の“昇也”は、昇太の弟子で、公式の若手大喜利では最古参らしい。
マクラでは、笑点レギュラーの高齢化を話題にした。
小遊三、好楽、木久扇は、この先十年ほどで引退、円楽も長くないかもと言った。
三人はともかく、病を得た円楽まで含めるのは、いい気持がしない。
マクラが長めだったので、古典落語の『寄合酒』は、サラッと流した。
真打までは、もう少し歳月を要するだろうが、手慣れた語り口を感じた。

■林家喜之輔
紙切りの“喜之輔”は、後で調べたら、三遊亭右左喜(うさぎ)の息子だった。
今丸の弟子なのは、芸風で想像出来た。
今までに、今丸(初代正楽の弟子・現在、今輔門下)、花(今丸の弟子)、三代目正楽(二代目正楽の弟子)、楽一(三代目正楽の弟子)、二楽(二代目正楽の弟子・息子)、八楽(二楽の弟子)を見て来たから、喜之輔は七人目になる。
誰だったか、「現在、紙切り芸人は、八人の生存が確認されている」と、高座で言っていた。
講談以上に、紙切りは絶滅危惧職のようだ。

■古今亭今輔
この日の真打一番手“今輔”は、新作落語の『五人男』を口演した。
先代の今輔と、随分と芸風は違った。
勿論、名跡を襲名したからと言って、芸風が同じとは限らない。
下手とは思わないが、インパクトに欠けているように感じた。

■桂小文治
中入りの“小文治”は、この日唯一の人情噺『小間物屋政談』を、じっくりと聞かせてくれた。
その語り口は、協会も一門も異なる、柳家小団治に似ているように感じた。
好みの噺家で、納得の一席だった。

■玉川太福(だいふく)
クイツキ(中入り後の一人目)は、浪曲の“太福”だった。
浪曲の実演を見るのは、初めてだ。
三遊亭白鳥が作った新作落語『豆腐屋ジョニー』に、太福が曲を付けたそうだ。
結構、楽しめたが、落語でも聞いてみたい。
また、曲師の“沢村美舟”が、実にいい。
三日後、満三十歳を迎えるらしいから、曲師の中で一番の若手かもしれない。
三味線の立花家橘之助、講談の神田蘭などと並び、ビジュアル系の存在は、絶滅危惧職からの脱出に寄与するのではないかと思う。

■三遊亭右左喜
ヒザ前(トリの二人前)の“右左喜”は、初めて見る噺家で、予備知識は皆無だった。
演題の『五人男』も、新作落語である。
爆笑系の噺家で、程々に面白かったが、余り印象に残らなかった。

■古今亭寿輔
トリを勤めた“寿輔”は、新作落語専門だが、漫談のような落語である。
難しい事は考えずに見ていれば、結構、笑える。
くだらない事を言っていると思いながらも、何時しか噺に引き込まれ、笑わせられているのは、芸の成せる業なのだろう。

   *****

当初、国立演芸場六月中席は、パスしようと思った。
見たことがある噺家は、二人(小文治・寿輔)だけだった事が、主な理由だ。
代わりに、花形演芸会(&スペシャル)、国立名人会、特別企画公演などを考えたが、何れも日程調整が出来なかった。
ところが、今回、中席を見たら、期待以上に楽しむことが出来た。
定席(上席・中席)は、コストパフォーマンスがいい。
これからは、定席に重点を置こうと思っている。

   *****

写真
6月17日(月)の国立演芸場(玄関・演題)



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かめきちさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

小遊三は、持ちネタの多い噺家です。
とはいえ、その日の体調、持ち時間、選んだ演目などで、出来不出来は、あるはずです。

独断と偏見で、笑点メンバーを二組に分けると、上手な組に入ると思います。

機会があったら、再度、聞いてみてください。
以前よりは上達し、見直すかもしれませんよ。

2019/06/20 08:43:54

小遊三

かめきちさん

かなり前ですが、彼の落語を聞いたことがありましたが、話が取り留めのない内容で、語りも上手とは思えず、あまり好感はもてませんでした。笑点で見る限りは好きなタイプですが噺を聞く気にはなれません。

2019/06/20 08:26:37

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