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吾喰楽家の食卓

夢金 

2019年01月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

先週の土曜日、第338回風流寄席へ行った。
第301回から通い始めたので、38ヶ月が経ったと簡単に分かる。
その間、8回休んでいるから、行くのは30回目ということになる。
今回の演題『夢金』を見るのは、2回目だが、何れも演者は鳳楽である。
第315回でも遣っているのだ。
前回は2月だったが、噺は雪の降る夜のことだから、今の時季に相応しいのだろう。
『夢金』は、主人公別の分類だと、武家、大名噺になる。
現役の噺家では、小満ん、馬生、白鳥、王楽なども遣るらしいが、見たことがない。
古くは、今輔(2)、金馬(3)、圓生(6)が、得意にしていたらしい。
馬生(10)、志ん朝(3)、談志(7)のYouTubeを見付けたが、詳細は後に譲る。

定刻、鳳楽は、紋付袴姿で高座に上がった。
衣裳選びに拘りがある師匠だから、この種の噺だとそうしている。
マクラは、“さんぼう”の説明から始まった。
落語業界では、けちんぼう・つんぼう・どろぼうの噺だと、客からクレームが付かないと云われている。
『夢金』に登場する船頭は、けちんぼうではあるが、強欲と云った方が良いかも知れない。
マクラでは何回か云い違いがあったが、本題に入るとエンジンが掛かった。
侍、船宿の亭主、船頭を、見事に演じ分けた。
雪が降る大川の様子も、目に浮かんだ。
如何にオチを遣るかも、この噺のポイントである。
それまでの噺が、全て夢だったのだ。

昨日、『夢金』の余韻に浸りながら、YouTubeで他の噺家のオチだけを聞くことにした。
志ん朝は、「てめえの急所を握っていた」と、直接的な表現で落とした。
先代の馬生は、「あっ、夢か」と、夢を見た船頭の言葉だった。
談志は、「おい、静かにしないか、熊五郎」と、亭主に云わせた。
各々、味わいがある遣り方であり、何れも下品さは感じなかった。
鳳楽は、馬生の遣り方に近かった。
二人とも、圓生の遣り方を踏襲したのかも知れない。
機会があれば、他の噺家の実演を見たいものだ。
来月の風流寄席は、『火事息子』を予定している。
どんな噺を聞かせてくれるか、楽しみだ。
(亭号・敬称略)

『夢金』のあらすじ
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2004/12/post_5.html

   *****

写真
1月19日(土)の風流寄席(前菜・焼物)



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