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老いてなお
*アモーレの鐘
2018年12月21日
テーマ:テーマ無し
アモーレ(〈イタリア〉amore)愛。恋愛。
また、愛する人。
信州、美ヶ原。
松本龍一は、遠くアモーレの鐘が鳴り響く高原にたたずみ、
初めて愛した年上の女性、厳本陵子のことを思い出していた。
初めて出会った日から、龍一は都会的で
美しい陵子のとりことなってしまった。
陵子は行方不明になった弟を探しにこの美ヶ原に来たのだ。
ここは弟の好きだった所で、彼が大切にしていた、
弁慶の作ったオルゴールを彼女は龍一に見せた。
龍一は「弟さんはきっと生きている」としか言えなかった。
陵子の中には悲しみが満ちているようだった。
その晩、二人は白樺林をあてもなくさまよい、
いつしか固く抱き合った。
そして、
陵子は「私を忘れないで」という言葉を残して
姿を消してしまった。慶子を忘れられないまま一年が過ぎた。
陵子の面影を求めて、龍一は美術館の
ミロのビーナスの前にたたずんでいた。
その彼の前に、一人の男が現われ、
永久に陵子が去ったことを告げた。
信じられない龍一の耳に、陵子の囁きが聞こえる。
「私を忘れないで」。
龍一はもう悲しんでいなかった。
大人への階段を一つ登った
龍一を包むように、アモーレの鐘が響き渡っていた。
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