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シニアの放課後
<心に成功の炎を>84
2018年07月13日
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>
ついでだから言うが さっきも言ったとおり 科学の方では心というものは大脳だといってる。大脳の働きが心の働きを表現する場合の一つの作用をおこなうもんだから 科学の方じゃ 他にとっつかまえどころがないから 大脳だといってますが 哲学は大脳が心だとはいわないんであります。
あなた方の考え方はどうでもいいんだよ。私の学問のほうからいくと 大脳というのは 心というもののお働きをあらわす直接の道具なんです。ちょうど 左官や大工のもつノミやカンナやこてと同じようなものなんだ。絵描きの持つ絵筆だ。どんなあわてもんだって 絵筆が転がってるのに 絵描きがここで寝てるというやつもなかろうし ノミが転がってるとき 大工がサボりやがったとはいわないじゃないか。
ただ 科学の方じゃ 空なものは考えられないから 便宜上 大脳をもってきたんだ。
だから理論はそういう点から分かれてるのだから それを何も私は どっちを信じろとはいわないけれども ただ信じてもらいたいのは 何もかもすべて<気>がもとなんだということだ。心というのに特別な名をつけちまうからいけないんだ。心の働きは<気>が働いてんだ。
お互いしょっちゅう会話のときは言ってるでしょ。<どうも私はそういう気になれないよ>とか<どうもあんたの気持ちがわからないよ><何か気分が悪いよ>とか<あいつはいいんだよ あれは気が張ってるから>なんて言うじゃねえか。<いやあ あいつは気にいらねえ>みんな<気>じゃねえか。
それでいながら その<気>の働く場合に生ずる現象 事実を心といって それでその心が働く場所を大脳といって そしてその心だけは時と所によって手前勝手にいろいろに変えちまうということは 何のことはない <気>というものを粗末にしたことことになりゃしないか。
私だって人間だからね。腹の立つこともあるよ。悲しいこともあるよ。おっかないことはないけど ときどきヒョイと思ったとき あっ <気>を汚しちゃいけないと すぐ思いますよ。
いずれにしても 造物主の作った人間の生命なるものを考える場合 ただ単なる肉体組織だけをもって人間だと思うような軽率な考え方をしてはならないと同時に また一方において ただ心というものだけを人間の全部のように思っちゃいけない。人間の生命の全部はただもう<気>ひとつだ。
そして その<気>の動きが幽玄微妙に働いて心にあらわれるから 多くの人は心が働いていると思う。前にも言ったとおり 水道の蛇口をひねったら水が出てきたから 水道の蛇口が水を湧かしたっていうような議論をする者はないだろう。この現象世界にある水蒸気が結局水の根本であるということを考えてごらん。何もかもすべてが<気>です。この<気>というものは理屈じゃないんだ。
人間ばかりじゃないよ。冬の霜に凍てつく地面から 春 水ぬるむと 草や あるいはその他の芽生えが双葉で地面から出てくる。これ<気>じゃねえか。<気>がそういうふうにしてる。天地陰陽の<気>によって そういう自然の働きがでてくるんだぞ。
だから どんなことがあっても<気>を汚さない。<気>を始終きれいなものにしておくためには 感情のとりこにならないで 始終 <気>を大事にするという気持ちを忘れちゃだめだ。そうすりゃ 生まれる先の父に会ってることになる。
そうすると これからもう全然人間が違ったような 気高い人間になって生きることができますよ。その結果はというと あなた方の人生 招かずして 健康的にも運命的にも どんな場合にも颯爽として生きられる 頼もしい力がどんどん生命にでてきます。
何がなし <気>を守りなさい <気>を。観念要素の更改をし 積極観念の養成をし 神経反射の調節をすると同時に 日常 常にどんなことがあっても 明るく朗らかに 生き生きとして勇ましく。<気>を汚しさえしなきゃいいんだ。
スモッグで空気が汚れていても お互いの生命を保つ<気>さえきれいであってごらん。どんなスモッグだって びくともしやしない。
どんな場合があろうとも 終始一貫 ハッと思ったら<気>を大事におし。
はい それじゃこれで終わります。 <378頁−6行>
強靭の篇 第八章 生き生きと勇ましく 、、、、終、、、、
―第九章へ 続くー
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