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<心に成功の炎を>82 

2018年07月11日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 そもそも人間の命ができるのを 考えていこう。
 科学的にいうと 人間の一個の生命ができるのは 女にはない男だけが持っている睾丸の中に存在している精子というものが 女性の体の中にある子宮という特別な装置の中に受け入れられたときに 我々の生命は働く。
 ただここで考えなきゃならないのは 男の睾丸の中の精子が 女の子宮の中に送られるときに いいかい あなた方が一人で行ったんじゃないぜ。精密な数はいまだに医者でもわからないが 一回の交接によって 男の体の中から女の体の中に 射精せられる精子の数は一億内外ある。その一億内外の中から 女の子宮の中の卵子が 入学試験と同じように 一億の中から これにしようかあれにしようか 試験するんだよ。それで あ これだと思うと そいつが入っていく。あなた方みんなは その一億の中から選抜された人なんだ。 
 だから 我は尊しやという信念に生きなきゃならないじゃねえか。あなた方の兄弟は 何千万 みんな溶けて流れて どこかへ行っちゃったんだ。それで残ったのが あんた方一人なんだ。うちに帰って鏡を改めてご覧なさい。自分は何億かある精子の中のたった一の選ばれた人かと。そうなんだよ。僕はいつでも鏡を見ながら <ああ おれの兄弟もずいぶんいたんだろうけど みんな水に流れちまいやがった。おれだけが残ったのか>と思うと なんとなく頼もしいわね。
 そして パッとくっついた瞬間 受精という言葉で形容する事実が生じるんだ。
 受精が始まると 受精卵が分裂する。受精卵の分裂が繰り返されると そこに葉っぱのようなものが三つできる。紙でいえば 三枚重ねたようなもんだ。それでこの三枚がね 一番上が外胚葉というんだ。それから真ん中が中胚葉 一番奥にあるものが内胚葉。
 そして このできた三つの葉っぱみたいなものが だんだん背中のほうの皮が厚くなって そして厚くなったらだんだん縮こまって 板みたいになる。板みたいになって ひとつの糸のような状態になって 真ん中がくぼまって 管ができる。これを神経管といいます。
 これが発達するにつれて 神経菅の一番頭のところがグウッと膨れてきて 脳になる。その続きはというと 菅のほうは脊髄になるんです。そいて 前にいった膨れた部分が だんだんだんだん 今度はいろいろなふうに形が変わって 最初は二つのくびれができるんです。二つのくびれができて 一方のくびれを前脳胞という。それからもう一つのほうを中脳胞という。さらに ひし形のようなものができて これを菱形脳胞と呼んでます。
 それでこれが後に前脳 中脳と間脳という名前をつけたものに分けられる。そしてそれが だんだんと脳髄組織の根源になってくる。
 さあ そこで考えよう。これだけの話で考えてみよう。人間ができたのは 一番最初に 心の働きを行おうがためにできたんだなあ と気がつかない?
 私はこの胎生学を研究して 始めてハッと気がついたのは この目に見える肉体がこういう形にできる一番最初は この心の働きを行うところの神経系が先にできたんだ。それをまあ 形のある肉体がこ現象界へ出たら そのもとを忘れちゃって ただもう形の見える肉体ばっかりを考えてきた愚かさを本当に気がつかずにいたというのは何と阿呆だろうと思った。

         *

 さて もう一歩進んで 哲学的に考えてみよう。科学はそれだけだ。科学はそれだけだが さて 男よ 考えろ。どこから子種を仕入れてきた。
 それをインドでカリアッパ師から聞かれたんです。
 <おまえ 子供あるか>
 <はあ 顔は見てませんけれども 私が戦に出る前に家内が身ごもっておりました>
 <おまえの子だろうな>
 <私はそう思っております>
 <おまえのこしらえたその子供は どこから子種を持ってきた>
 <どこからもってきたって 覚えてません>
 <ばか ないものがあるか>
 インドじゃこういうことをまじめに話してくれるんです。
 <おまえが細君と子供をこしらえようとするときに おまんま食べるときと同じようなふうに 何かその細君としようという気が出なかったか>
 <それはでましたよ。でたから 家内の腹の上に乗ったんですよ>
 そんなむずかしい顔するんじゃない。あなた方もやっぱり乗られてでてきたんだから。
 男の体は 物心ついて発育するにつれて その子種を探す気分が我々の大脳の中に働きだすんだよ。これを性欲といいます。
 尊いかな 人間の世界ばかりでなく 動物の世界にはこうした欲望が三つあるんです。その三つの欲望を原始欲望といいます。三つとは何だ。性欲と食欲と睡眠欲です。

―続くー



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