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<心に成功の炎を>76 

2018年07月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 俗に 多くの人が心 心といってるのはこの大脳だというふうに科学は断定してるんですが これは大間違いだってことはあとから言いますがね。
 次は小脳です。
 この小脳は 特に肉体の筋肉運動を調整して かつまた 一定の行動を続けてやっていると それがドンドン ドンドン 潜在意識のほうの監督に申し送りをして それで我々の人生の生活を極めてスムーズにしてくれるという ありがたい働きをもってるんです。
 あなた方が今晩ここに来るときに はじめて来た人は別として はじめてでない人は道を聞かずに来たでしょう。それとも 表門の交番へ行って<護国寺というのはどこでございますか><この奥です>と聞いて 歩き出したとき<ああ これはゆうべも来たことがあるわ>と思い出した人とある? あったら 医者に診てもらいなさいよ。
 小脳はちっちゃなものだが ちゃんとあなた方が昨日来た道を覚えさせてるわ。どんなあわて者でも 夢中で話でもしてないかぎりは 護国寺の前でおりようと思っていたのに目白まで行っちゃったなんてことはないでしょう。
 ですから 小脳のことを記憶の倉庫というのはこれなんです。小さなこの小脳のおかげで 私のようにこれだけ長く生きていても 三つ四つの子供のときのことも 忘れずに覚えてる。そうして こうやっておしゃべりしながら いろんな複雑な記憶があるのは みんなこれ小さな小脳の中だ。
 それから いま言った記憶。タイプライターひとつだって 最初二,三日は これはCか これはEかというふうに拾わなきゃならない。子供が豆拾うようにしてやってる。それが一週間もたつと タッタッタッタッと打てるようになるのも これは小脳のおかげ。
 慣れた仕事や慣れた運動だと 極めて簡単でしょう。たとえば ピアノを弾くんだって 三味線を弾くんだって 笛を吹くんだって ギターを弾くんだって はじめ習うときにはそうとう頭を使わなきゃならないけれども 慣れちまえば わき見しながらも 話しながらでも弾けるようになる。小脳のおかげだ。みんなあるんだよ。
 なれない仕事がたいへん面倒で 受け入れるのに非常に困難を感ずるのは 最初大脳を使って その行動を意識的に綿密に支配していかなきゃならないから 非常に困難を感じる。
 ところが 同一行動を繰り返し繰り返しやってると 小脳が支配権を大脳から受けとってしまいます。受けとることを強制しなくても ひとりでに流れこんじまうように受けとるわけなんだ。そして小脳に受けとられてしまうと もう大脳は支配しなくたっていい。小脳に任せときさえすりゃいい。小脳に任せてしまうと 小脳は無意識的にその事柄や行動をわけなく片付けてしまうわけなんだ。
 だから なるべく我々の人生の諸般の仕事は 大脳を使わないで 小脳に手っとり早く申し送りして 支配権を大脳から小脳に譲り渡すようにする。そうすれば お互いの人生生活が極めて簡単にできるようになる。しかし そうするためには すでに聞かれた精神統一が必要なんだ。
 だから あだやおろそかに聞いちゃいけないんですよ。ただもう そういう理由を知らないで<何か知らないけれど 精神統一というのはわかったような わからないような 変な話だな。なんだって? 急ぐこと おもしろくないこと 慣れたこと 価値のないこと そういうことをやるときもはっきりしろ?ふん それがどうなる>なんてことを思ってた人 いるんじゃねえか。冗談じゃないよ。

―続くー



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