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＜心に成功の炎を＞７４　

2018年07月02日 ナビトモブログ記事
テーマ：中村天風＜心に成功の炎を＞

　その組織というものを解剖的に考えると　中枢神経と自律神経と二色ある。
　中枢神経は　一名を脳脊髄神経ともいう。この脳脊髄神経と称する中枢神経は　脳髄および脊髄ならびに脊髄を中心とした体の各所に散らばって存在しているんです。ただ知らないだけなんだ　みんなあるんですよ。
　それでこの神経は　主として各種の感覚や感情　さらに複雑な思想というようなものをも生み出す働きを司る。詳しくいうと　人間の肉体に存在する五官感覚と称する　目　鼻　耳　舌　それから皮膚というものに存在してるそれぞれの感覚を　脳に伝達して　知覚やその他の意識状態を発生せしめて　そうしていろいろな観念や思想を作成する作用を司っている。
　現在　あなた方が私の話を聞きながら　あなた方の目は私の様子を見てるわね。耳は私の言葉を聞いている。そして　時によって黒板に書く字を目で見て　耳で聞きながら　あなた方のほうじゃいろんなことを考えてるだろ。
　その一人　一人の聞き方によって　いろんな考え方が違いますわ。そして自分の考えの中に誤りがあるのを正したり　あるいはわけがわからないでもって　ただもうおもしろさに食い入ったり　なかにはおもしろくなく食い入ってたりというふうになるのも　結局要するにそれは中枢神経の働きの状態によるんだ。
　そしてそのうえに　この神経は　ありがたいかな　我々の生命の命令指揮者となって　我々の肉体を我々の心の欲するままに動かす　あるいは　処置してくれるという　ありがたい働きをしてくれるのであります。
　＜ごはんだよ＞といわれると　お膳の前へ座る。目で見て＜あ　きょうはお刺身があるな。うまそうだな＞と思って　手を出して　お刺身を食べようとしたら　たくあんをつまんでしまって　けっして刺身に手がいかなかったということはないでしょう。お刺身ならお刺身　煮物なら煮物　必ず心が思うとおりに手が箸でつかんでくるのは　この脳脊髄神経のおかげなんです。
　とくに　人間の感謝すべき点は　この神経の中の最も重要な部分ともいうべき　いわゆる脳髄の組織の状態なんです。そもそも　人間が万物の霊長であるといわれている点は　この脳髄組織が一切の生物をしのいで　きわめて複雑以上の高等な組織でできているからなんです。これは見逃すことができない重大な事柄です。
　そこで　参考のために　脳髄およびこれに付帯する脊髄の神経作用をもうちょっと詳しくお耳に入れておきたいと思う。もっとも　あんまり詳しいとわかりません。素人諸君にわかる程度の詳しさでいうからね。

　脳髄と一口といっても　人間の脳髄というものは三つに分かれております。大脳と小脳と延髄という三つの部分に分けられる。

―続くー



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