たそがれ爺のよちよち川柳

言志四録(二)言志後録/31-50 

2011年01月02日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


---------------------------------------------------------------------- 15年以上前に買った本なのですがずっと「ツン読」でした。 何故もっと早く読まなかったと今頃後悔してます。---------------------------------------------------------------------- リタイアした年寄りがボツボツと更新しております。またのお越しを……。m(__)m----------------------------------------------------------------------言志四録(二)言志後録/51−70 ----------------------------------------------------------------------50.老荘を評す老荘(ろうそう)は固(も)と儒(じゅ)と同(おな)じからず。渠(か)れは只(た)だ是(こ)れ一箇(こ)の智字(ちじ)を了(りょう)するのみ。老子(ろうし)は深沈(じんちん)にして、荘周(そうしゅう)は別(べつ)に機軸(きじく)を出(いだ)せり。○機軸:からくり、転じて工夫、しくみ。【付記】「一箇の智字を了するのみ。」というのは、智慧があるだけで実行力がないということであろうか。老荘に対する一斎先生の批評は少し浅いのではなかろうか。----------49.尚友益あり余(よ)常(つね)に宋明人(そうみんじん)の語録(ごろく)を読(よ)むに、肯(うけが)う可(べ)き有(あ)り。肯(うけが)う可(べ)からずあり。信(しん)ず可(べ)きに似(に)て信(しん)ず可(べ)からず有(あ)り。疑(うたが)う可(べ)きに似(に)て疑(うたが)う可(べ)からざる有(あ)り。反覆(はんぷく)して之(これ)を読(よ)むに、殆(ほとん)ど諸賢(しょけん)と堂(どう)を同(おな)じゅうして親(した)しく相(あい)討論(とうろん)するが如(ごと)し。真(しん)に是(こ)れ尚友(しょうゆう)にして益(えき)有(あ)り。○宋明人の語録:宋代の朱子(しゅし)語録や明代の王陽明(おうようめい)の伝習録を指す。○尚友(しょうゆう):尚は上である。さか上りて古人を友とすること。孟子。万章下に「孟子は万章にいった。『一郷村の善士つまり優秀な人は、その郷村の善士を友とし、一国の善士はその国の善士を友とし、天下の善士は天下の善士を友とする。天下の善士を友として、満足できなければ、更に進んで古人を評価する。古人の詩を吟じ、古人の書を読んで、そのひととなりを知らなくてよかろうか。そこで彼の活動した時代を論じる。これ尚友(古人を友として交わること)である。』とある。」。----------48.史書を読め人(ひと)の一生(いっしょう)の履歴(りれき)は、幼児(ようじ)と老後(ろうご)とを除(のぞ)けば、率(おおむ)ね四五十年?(ねんかん)に過(す)ぎず。其(そ)の聞見(ぶんけん)する所(ところ)は、殆(ほとん)ど一史(し)だにも足(た)らず。故(ゆえ)に宜(よろ)しく歴代(れきだい)の史書(ししょ)を読(よ)むべし。上下(しょうか)数千年(すうせんねん)の事迹(じせき)、羅(つら)ねて胸臆(きょうおく)に在(あ)らば、亦(また)快(かい)たらざらんや。眼(め)を着(つ)くる処(ところ)は、最(もっと)も人情(にんじょう)事変(じへん)の上(うえ)に在(あ)れ。○羅:羅列すること。○胸臆:胸中。----------47.易経と書経易(えき)は天(てん)を以(もっ)て人(ひと)を説(と)き、書(しょ)は人(ひと)を以(もっ)て天(てん)を説(と)く。【付記】 一般に経書は天理をもって人事を説き、史書は人事を述べて天理を示しているともいわれよう。----------46.実学と読書実学(じつがく)の人(ひと)、志(こころざし)は則(すなわ)ち美(び)なり。然(しか)れども往往(おうおう)にして読書(どくしょ)を禁(きん)ず。是(こ)れ亦(また)噎(えつ)に因(よ)りて食(じき)を廃(はい)するなり。○実学:実際を貴ぶ学問。またその人。○因噎云々:淮南子、説林に「噎をもって死する者あり、天下の食を禁ずるは則ち悖(もと)るなり」とある。むせぶからといって食を廃する。些少の障害によって、必要な大事を廃することにいう。【付記】 書物を読むことなくしては、実行の基礎を養うことができない。また実行しなければ知識が役に立たない。本則は知行合一の半面を教えるものと思う。 なお、後録83条参照 のこと。----------45.難事に処する道凡(およ)そ大硬事(だいこうじ)に遇(あ)わば、急心(きゅうしん)もて剖決(ぼうけつ)するを消(もち)いざれ。須(すべか)らく姑(しばら)く之(これ)を舎(お)くべし。一夜(や)を宿(しゅく)し、枕上(ちんじょう)に於(おい)て粗(ほぼ)商量(しょうりょう)すること一半(ぱん)にして、思(おもい)を齎(もた)らして寝(い)ね、翌旦(よくたん)の清明(せいめい)なる時(とき)に及(およ)んで、続(つづ)きて之(これ)を思惟(しい)すれば、則(すなわ)ち必(かなら)ず恍然(こうぜん)として、一条路(じょうろ)を見(み)、就則(すなわ)ち義理(ぎり)自然(しぜん)に湊泊(そうはく)せん。然(しか)る後(のち)に徐(おもむろ)に之(これ)を区処(くしょ)せば、大概(たいがい)錯?(さくご)を致(いた)さず。○硬事:面倒な事件。○急心:あせること。○剖決:はっきり決める。○消:用。○一夜を宿す:一晩留め置く。○商量:はかり考える。善き程に計らう。○思を齎す:考のまとまらないままにして考える。○恍然:うっとりと。○就則:二字ですなわちとよむ。○湊泊:あつまる。○区処:区別して処理する。○錯?:あやまり。【付記】 本文の主旨は大抵の問題は「必死になって考えれば必ず活路を見出すことができる」ということであろう。大問題に出会ったら徒に逃げずに、まともにぶつかって解決すべきことを教えている。----------44.下情通達の真意下情(かじょう)に通(つう)ずるの三字(じ)は、当(まさ)に彼我(ひが)の両看(りょうかん)を做(な)すべし。人主(じんしゅ)能(よ)く下情(かじょう)に通達(つうだつ)す。是(こ)れ通(つう)ずること我(わ)れに在(あ)り。下情(かじょう)をして各(おのおの)通達(つうだつ)するを得(え)しむ。是(こ)れ通(つう)ずること彼(か)れに在(あ)り。是(か)くの如(ごと)く透看(とうかん)すれば、真(しん)に謂(い)わゆる通(つう)ずるなり。○下情:下々の状態。○透看:見抜く。 なお、言志録84条 を参照されたし。----------43.養生の道養生(ようじょう)の道(みち)、只(た)だ自然(しぜん)に従(したが)うを得(え)たりと為(な)す。養生(ようじょう)に意(い)有(あ)れば則(すなわ)ち養生(ようじょう)を得(え)ず。之(これ)を蘭花(らんか)の香(か)に譬(たと)う。嗅(か)げば則(すなわ)ち来(きた)らずして、嗅(か)がざれば則(すなわ)ち来(きた)る。○養生:心身を存養する。【付記】 貝原益軒の養生訓有名であるが、これに類するものはかなり沢山あって、まさに応接にいとまがない。養生の極意を一言で云えといわれれば私は当座にこういおう。 「心、平(たいらか)なれば、寿(いのちなが)し。」 白楽天。 どうしたら、この Perfect Peace of Mind が得られるか。これが大問題なのである。----------42.直をもって怨みに報いる「直(ちょく)を以(もっ)て怨(うら)みに報(むく)ゆ」とは、善(よ)く看(み)ることを要(よう)す。只(た)だ是(こ)れ直(ちょく)を以(もっ)て之(これ)に待(ま)つ。相讎(そうきゅう)せざるのみ。○直:公平無私。正義・道理にかなったこと。○以直報怨云々:論語、憲問篇に「或人曰く、徳をもって怨みに報いば如何? 子曰く、何をもってか徳に報いん。直をもって怨みに報い、徳をもって徳に報いん。」----------41.明朝の衰退鈔銭(ちゅうせん)出(い)でて明(みん)衰(おとろ)え、鈔銭(しょうせん)盛(さかん)にして明(みん)亡(ほろ)ぶ。○鈔銭:明の貨幣には宝鈔(紙幣)と鋳鈔(硬貨)との二種あり。ここでは紙幣。【付記】 つまり、物の生産は以上に紙幣を乱発して亡びたわけである。要するに財政の失敗である。----------40.明史読後感余(よ)明記(みんき)を読(よ)むに、其(そ)の季世(きせい)に至(いた)りて、君相(くんしょう)其(そ)の人に匪(あら)ず。宦官(かんがん)宮妾(きゅうしょう)事(こと)を用(もち)い、賂遺(ろい)公行(こうこう)し、兵馬(へいば)衰弱(すいじゃく)し、国帑(こくど)は則(すなわ)ち空虚(くうきょ)となり、政事(せいじ)は只(た)だ是(こ)れ貨幣(かへい)を料理(りょうり)するのみ。東林(どうりん)も党(とう)せざるを得(え)ず、闖賊(ちんぞく)も蠢(しゅん)せざるを得(え)ず。終(つい)に胡満(こまん)の釁(きん)に乗(じょう)じ夏(か)を簒(うば)うことを馴致(じゅんち)す。嗟嗟(ああ)、後世(こうせい)戒(いまし)むる所(ところ)を知(し)らざる可(べ)けんや。○明記:明朝の記録歴史。六十巻。清の陳鶴(ちんかく)父子の撰したもの。○季世:末期。○君相:君主と大臣。○匪:非。○宦官:去勢されて宮中の奥に仕える小官。○宮妾:宮中に仕える女官。○賂遺:賄賂を贈ること。○国帑:帑は貨幣を蔵す倉、転じて国家の財産。○東林:宋の揚時の書院。明の神宗顕皇帝の時顧憲政(こけんせい)が同志高攀龍(こうはんりゅう)等と学を東林書院に講じた。ここに人物が集まり、朝士も相応じ、遂に東林の党議が起った。○闖賊:無頼の賊。ここでは李自成(りじせい)等を指す。賊党は自成を推して闖王(ちんおう)とした。○胡満:北方満州の胡(えびす)。愛親覚羅(あいしんかくら)氏。後の清王朝。○釁:隙。○夏:中夏、即ち中国。○馴致:次第に移りかわる。だんだんそのようにさせる。----------39.政治上の心得其(そ)れ難(な)んじ其(そ)れ慎(つつし)まば、国家(こっか)に不慮(ふりょ)の患(かん)無(な)く、惟(こ)れ和(わ)し惟(こ)れ一なれば、朝廷(ちょうてい)に多事(たじ)の擾(じょう)無(な)からむ。○難:大事をとり、軽率にしないこと。【付記】 本文は国家や朝廷に例をとっているが、家庭、団体、会社など皆然りというべきである----------38.「一」の字と「積」の字一の字(じ)、積(せき)の字(じ)、甚(はなは)だ畏(おそ)るべし。善悪(ぜんあく)の幾(き)も初一念(しょいちねん)在(あ)りて、善悪(ぜんあく)の熟(じゅく)するも積累(せきるい)の後(のち)に在(あ)り。○幾:きざし。機に通じる。【付記】 白楽天の「?仏(しゅうぶつ)の偈(げ)」に曰く  「善は一念に始まり 念々相属し   ?は一縷に始まり 縷々相属し   功徳円満 相好具足す」 これは本条の一の字に外ならない。(加藤咄堂『修養大講座』B第二巻 四五頁) また、積に字に関するものをあげると次のことばがある。  「積善(せきぜん)の家には必ず余慶(よけい)あり   積不善の家には必ず余殃(おう)あり」(易経、坤、文言伝) 殃は災禍。37.地の徳人(ひと)は地(ち)に生まれ地(ち)に死(し)すれば、畢竟(ひっきょう)地(ち)を離(はな)るる能(あた)わず。故(ゆえ)に人(ひと)は宜(よろ)しく地(ち)の徳(とく)を執(と)るべし。地(ち)の徳(とく)は敬(けい)なり。人(ひと)宜(よろ)しく敬(けい)すべし。地(ち)の徳(とく)は順(じゅん)なり。人(ひと)宜(よろ)しく順(じゅん)なるべし。地(ち)の徳(とく)は簡(かん)なり。人(ひと)宜(よろ)しく簡(かん)なるべし。地(ち)の徳(とく)は厚(こう)なり。人(ひと)宜(よろ)しく厚(こう)なるべし。○地の徳:地の恵(めぐみ)。地は陰であるから、敬・順・簡・厚をその徳とする。敬は22条参照。 順は柔順でおとなしいこと。簡は簡単、単純。厚は人情などの厚いこと。【付記】 吉田松陰のことばに「地を離れて人なく、人離れて事なし。凡(およ)そ人事を究(きわ)めんとせば必ず地の利を究むべし」とある。本条を考え合わせるとその意味が明らかになるよに思われる。----------36.経験少なき人との応待人(ひと)は往往(おうおう)にして不緊要(ふきんよう)の事(こと)を将(もっ)て来(きた)り語(かた)る者(もの)有(あ)り。我(わ)れ輒(すなわ)ち傲惰(ごうだ)を生(しょう)じ易(やす)し。太(はなは)だ不可(ふか)なり。渠(か)れは曾(かつ)て未(いま)だ事(こと)を経(へ)ず。所以(ゆえ)に閑事(かんじ)を認(みと)めて緊要事(きんようじ)と做(な)す。我(わ)れ頬(ほお)を緩(ゆる)め之(こ)れを諭(さと)すは可(か)なり。傲惰(ごうだ)を以(もっ)て之(こ)れを待(ま)つは失徳(しつとく)なり。○閑事:急を要しないこと。○緩頬:おだやかな顔をする。転じて臂喩(ひゆ)を引いて徐(しず)かにいう事をいう。史記、魏豹伝に「頬を緩め往(ゆ)いて魏豹を説き能(よ)く之を下す」とある。○失徳:不徳な行為。----------35.寸言四則 その四操(と)れば則(すなわ)ち存(そん)するは人(ひと)なり。舎(す)つれば則(すなわ)ち亡(ほろ)ぶは禽獣(きんじゅう)なり。操舎(そうしゃ)は一刻(こく)にして、人禽(じんきん)判(わか)る。戒(いまし)めざる可(べ)けんや。○操則云々:操は持守して放さないこと。孟子、告子上篇に「孔子曰く、操れば則ち存し、舎つれば則ち亡ぶ」とある。この意味は「人間には本性の善はあるが、これは執(と)り守っていれば存在し、打ちすてておけばなくなってしまうものだ」ということ。----------34.寸言四則 その三克己(こっき)の工夫(くふう)は一呼吸(こきゅう)の間(あいだ)に在(あ)り。○克己:克は勝で自己の私欲に勝つこと。論語、顔淵篇に「己に克ち、礼に復(かえ)るを仁と為す」とある。○一呼吸:ほんの一瞬間、私欲に勝つことを重ねて一生終わればよいということ。----------33.寸言四則 その二春風(しゅんぷう)を以(もっ)て人(ひと)に接(せっ)し、秋霜(しゅうそう)を以(もっ)て自(みずか)ら粛(つつし)む。【付記】 大変によい教訓である。これで思い出すのは山本玄峰禅師(三島市竜沢寺、昭和三十六年歿、九十六歳)の次のことばである。  「人には親切、自分には辛切、法には深切であれ」  法は仏法、真理である。----------32.寸言四則 その一申申(しんしん)夭夭(ようよう)の気象(きしょう)は、収斂(しゅうれん)する時(とき)、自(おのずか)ら能(よ)く是(か)くの如(ごと)きか。○申々夭々:第22条参照。 ----------31.精神を収斂する時精神(せいしん)を収斂(しゅうれん)する時(とき)、自(みずか)ら聡明(そうめい)を閉(と)ずるが如(ごと)きを覚(おぼ)ゆ。然(しか)れども熟後(じゅくご)に及べば、則(すなわ)ち闇然(あんぜん)として日(ひ)に章(あきら)らかなり。機心(きしん)酬酢(しゅうそ)の時(とき)、自(みずか)ら聡明(そうめい)通達(つうたつ)するを覚(おぼ)ゆ。然(しか)れども稔(じ)して以(もっ)て習(しゅう)と成(な)れば則(すなわ)ち的然(てきぜん)として日(ひ)に亡(ほろ)ぶ。○収斂:ひきしめる。その他収穫とか租税をとりたてることなど○機心:機知を働かせる心。いつわりたくめる心。○酬酢:杯のやりとり。応対。○通達:物事の道理を明らかにさとり知る。○稔:熟すること。○的然:明らかなる貌。---------- 言志四録(二)言志後録/15−30 ----------------------------------------------------------------------

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