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<心に成功の炎を>47 

2018年05月31日 ナビトモブログ記事
テーマ:中村天風<心に成功の炎を>

 生きるのに必要な本能心やあ植物心や理性心だから これは必要に応じてだすがいい。だすがいいけれども それに全生命を託しちゃだめなんです。全生命は霊性心にお任せしなきゃいけない。
 こういうと <むずかしいなあ。その霊性心というものが 天風さんみたいにでれば 何にも苦労はないよ。それがでないんだよ。でない者が 今の話を聞いたら 悲観するわ>と言うだろうが これが一番だしやすいんだよ。あなた方は 一番出しやすい心を出しにくいように思って 迷わずといい人生 苦しまずといい人生を 迷ったり 苦しんだりしてるんですよ。
 こういうと <へえー だしやすいのか 霊性心が。それじゃあ何ででてこないんだろう。だしやすいなら さっさとでそうなもんだ>とすぐ言うね。どんなにだしやすいもんでも でるようにしてやらなきゃでませんよ。
 ちょうど非常にややこしい煩雑な符牒でかけられた金庫の中にいれたものみたいだ。この符牒がわからないと 金庫の鍵が開かないから 中にどんなにお金があっても使えないということになる。それとおなじことだね。
 このごろ ケチャップの瓶の口が非常に大きくなって 昔と違ってだしよくなった。あれだって 瓶にかぶせてあるキャップを取らなかったらでやしません。でにくいケチャップのキャップを取っといて でやすいほうの瓶のキャップを取らずにおいて 両方ふってごらん どっちがでるか すぐわかるね。

 この間も東京の修練会で 私が鶏の動きを自由にあやつって みんなに見せたらね 女の人なんかね 泣いて感心してるんです。
 <もったいない。今まで先生のお手を頭の上に乗せてもらっても 何も感じもしなかったんですけれど ああやってちょっと手を出しただけで 暴れてる鶏がすぐ静かになったしまうというだけのお力がある。本当にちっとも知らなかったもんですから もったいない>というから
 <もう一つ お前 知らないことがあるぜ>
 <何でございます?>
 <おまえにもああいう力がある>
 <あら とんでもない。私なんかにそんなものはございません。ねずみ一つだって逃げられてしまいます>
 <今はそうだ。けれども おれと同じような訓練をしてみろ。きっとそういう力がでてくるんだよ>
 <ほんとですか>
 <それはでてくる>
 <何年たって?>
 <そんなことは言えやしねえよ。とにかく 心がけ一つだ>といったんです。
 その人は襟を正しゅうしてからに <ああ そうですか いや 存じませんでした>といって 非常に喜んでくれたんですけれども。
 私が講演会や また修練会で 昔から今日まで 誰も考え出せなかった いろいろの心の作りかえの方法をあなた方に教えているのも 結局この霊性心を出せるような人間にしてあげたいがためなんです。だれでもだせるんですからね。本当の人間に生まれてきたんだからね あなた方。家に帰って 裸になって鏡の前で すっかり自分の体の表 裏を見てごらん。どこにも偽物のところはないはずでしょ。
 とにかく 心というものは普通一般の人が考えているような小さなものじゃないんです。もっともっと偉大な作用をもつものだということを自覚しなきゃ。同時に その作用を完全にこうやって生きてる心身 毎日の人生に応用すれば けだし人生はその生涯を通じて極めて生きがいのある状態で生きられることになるんです。
 人生の三大不幸である病や煩悶や貧乏というものを乗り越えて 天地の終わるまで いわゆる寿命の来る日まで 極めてこれはもう 形容もできない楽しさとうれしさを感じながら生きられるようになれる。
 その真実のありがたさをあなた方に味わわせて 本当に万物の霊長として生まれた幸福というものを握らせてあげたいという存念で もう私の知ってる限りの心の訓練法をお教えするということを 私は自分のモットーとしていますから。
 そして 霊性心という心は 何も非常に修行をつまなきゃでないとか 特別に何か知れない努力をしなきゃでないなんて ややこしいものじゃないんです。人間生まれながら 人間に与えられた心で しかもその心でもって人生を正しく統御して生きろと言う思し召しで 造物主が 人間に与えられてくれたんです。人間は自分自身を助けうる力を持っているんですよ。
 だから やるべきことをやらないで ただ神や仏に救いを求めるなんてことは間違いだってことが おわかりになりますでしょう。
 たとえば あなた方が 店の従業員 あるいは家の手伝いの人を雇った場合 とにかく月々 そういう人たちに報酬をやってますわね。ところが 月末になってその使われている人が
 <相すみませんけれども 家賃と米代と住居費だけちょうだいしたいんですが>とたのんできたら
 <月給やってんじゃねえか>とまずいうでしょう。
 <月給はまるごと貯金してありますので 足りません>といってきたら
 <ああそうかい>といって かねをだすかい?
 <そのために月給やってあるんだか 月給使いなさい。月給でやって その月給でどうにも足らなきゃ またご相談にも応じるけれども>と あなた方はこう言うでしょう。
 造物主は 人間を万物の霊長として生きろと言う思し召しで 霊性心というありがたいお力をあたえたんです。そして われわれ人間はこの力をもってこの世にでてきたんです。それをまるっきりさっきの使用人と同じように その力を全部使わないで 神様 仏様といっても助けてくれませんよ。<天は自ら助くる者を助く>なんです。
 少なくとも人間の心に意識の東雲(しののめ)が明けそめし頃から この霊性心はあったに違いない。どうもその証拠には 昔の人間のほうが霊性心をだしてる場合が多いもんな。それをあなた方は だしゃだせるようになってる心を でないような人生の生き方をしてるから でませんよ。
 それじゃあ どうすればでてくるか。わけありませんがな。雑念 妄念を心の中にできるだけ燃やさないようにすることだ。さっきから何べんも言っている。心の中に消極的な観念をだす度数を少なくしてごらん。霊性心は 心が純粋無雑のときに出てくる。

 私はそれをね 難行苦行中に発見したんですよ。

―続く―



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