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むぅびぃ・とりっぷ
アクションへの愛に満ちる「悪女」
2018年05月13日
テーマ:テーマ無し
「悪女」という映画は、一部でアクションがスゴイと評判になった。しかし、その完成度の高さの割に目の前から知らぬまに、消えてしまった。映画を観た直後は、映画が気に入り、ぜひ感想を書こうと思っていた。でも、他の事が優先され、気が付けば『悪女という映画を観た』という記憶すら、はるか遠い過去にあった事のように思えている。● 映画「さそり」の世界に共通映画はいきなりテレビゲームの殺しの場面のように、手と拳銃だけが見えて、その手が拳銃を使い人を撃って撃ちまくり、敵がどんどん死んでいく。人の死がまるで実態を伴わない数値のみになったかのようだ。哀しいと思う間もなく死体の数だけが増えていく。だんだんその女性の殺人鬼の顔を見たいという欲求不満が高まっていく。その想いがようやくかなったころには、今度は体を使ったアクションが入り、一人対大人数での戦いの場面が続く。この映画は、理由があって犯罪組織の殺し屋として育てられた女性・スクヒが、とにかく人を殺しまくる。それに彼女は無口で、服装も黒っぽくコートも黒での立ち姿は、まるで日本映画の梶芽衣子主演・「さそり」の世界に共通する。 また、恋愛映画の要素もうまく加味されている。新たな運命の男性と出会い、幸せを誓ったスクヒの結婚式当日に組織から暗殺者としての使命が下される。キム・オクビン演じるその女性スクヒが、犯罪組織の殺し屋としての訓練所から逃げ出そうとするシーンがシュールでよかった。敵との追いかけっこの場面といえば、凶器に繋がるナイフや包丁がある調理場がよく出てくるのだが、この映画では逃げているうちにバレエの稽古の教室に紛れ込む。レッスンを受けている生徒は裕福そうな綺麗な女の子ばかりだ。どこか世間と隔離された別世界のようにも見える。いきなり逃げて入ってきたと思われる女性に子供たちはいつもの事で慣れている光景なのか、冷めた目で、彼女を見つめる。その他、狭いトンネルの道をバイクで爆走し、それを追いかけてくる敵と刀で戦うのだが、狭いがゆえに何かおきたら、「誰かが確実に死んでしまうのではないか?」と、思える緊迫感の中でのアクションが忘れられない。チョン・ビョンギル監督の「悪女」の作品としての質は、ジョン・ウーの「マンハント」よりもかなり上だと思った。● キム・オクビン「吐いた日もあります。」当映画を忘れられないものにしているのは、主演のキム・オクビンの手抜きのない徹底したアクションによるところが大きい。彼女へのインタビューの中でも、こだわりがうかがえる。以下、メールインタビューでキム・オクビン自身に同作の役作りやトレーニング、アクションチームとの絆や作品への想いなどを訊いた記事から、抜粋。 ――テコンドーの黒帯をお持ちだそうですね。始めるきっかけは何だったのですか? また、武道の経験は映画でのアクションに役立ちましたか?子どもの頃に合気道とテコンドーを体力づくりと精神修行の目的で始めました。素質があったみたいです。アクションをするときには、運動が好きなことがとても役立ちました。そのおかげでケガもほとんどしなかったんだと思います。――アクションシーンの撮影に向けて、具体的にどのような準備を、どのくらいの期間をかけて行われたのでしょう?ソウルアクションスクールで4カ月間、毎日一日中トレーニングしました。吐いた日もあります。毎日くたくたになって帰宅しました。また、中国朝鮮族の方言も習ったりして忙しく過ごしていました。――スタントダブル、あるいはスタントマンの方もかなり危険なアクションをされています。あなたにとって、スタントマンとはどういう存在ですか?スタントの方がいらっしゃらなかったら、映画界は回りません。俳優同士でアクションシーンを撮るとよくケガをするのをご存じですか? 専門的に訓練していないからです。現場ではスタントの方に絶大な信頼を置いています。ずっと一緒に練習をして、どんなに危険なシーンもカッコよくきめてくれます。スタントマンなしには1シーンも安全には撮影できません。――『悪女/AKUJO』続編や前日譚の可能性はあると思いますか? もしご出演されるなら、どんな物語がいいでしょう?そうですね。続編が製作されるなら本作のエンディングの微笑みからつながる、世界に類を見ない無慈悲な悪女を演じたいと思います。自分が愛するすべてのものを奪われ利用された女性、そのためにあらゆる感情を失ってしまった本当の悪女です。参照:『悪女/AKUJO』キム・オクビンインタビュー「スタントの方がいらっしゃらなかったら、映画界は回りません」危険な撮影の裏側を語るPR:悪女/AKUJO [DVD]
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