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吾喰楽家の食卓

進化している菊之助 

2017年12月06日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日、国立劇場で『隅田春妓女容性』を見た。
「すだのはるげいしゃかたぎ」と読めるのは、歌舞伎が好きな方でも、少ないかも知れない。
私は、「すみだのはる」と間違えて読み、その先は皆目分からなかった。
副題に“御存知梅の由兵衛”とあるが、今回の公演は、四十年ほど前に復活上演して以来らしいので、御存知の方は僅かだろう。

吉右衛門が、由兵衛を演じた。
大詰の梅堀由兵衛内の場では、吉右衛門の背後に黒衣が張り付いていた。
黒衣が、台詞が書いてあると思しき紙を、懐にしまうのが見えた。
昨日は開演三日目、台詞の多い役だから、覚えきれていないのだろう。

由兵衛の女房小梅を、義理の息子である菊之助が演じた。
菊之助は、立役も女形もこなすが、今まで、若侍や娘役を見て来た。
今回のように、女房を演じるのを見るのは初めてだ。
人妻の色っぽさを、巧みな所作で表現していた。

錦之助と雀右衛門が、駆け落ちしたカップルを演じた。
年齢的にいえば、吉右衛門と雀右衛門、錦之助と菊之助が、お似合いと思える。
ところが、菊之助は小梅だけでなく、弟の丁稚長吉との二役である。
女形の雀右衛門では、駄目なのだろう。

狂言を簡単に云えば、由兵衛が旧主の許から盗まれた重宝を取り戻す物語だ。
知らなかったとはいえ、由兵衛は義弟を殺して金を盗る。
それなのに、何の咎めも無いまま、大団円を迎えるのを、後味が悪く感じた。
これを知った女房の小梅が、身代わりになろうとするのも、無理がある。

とはいえ、菊之助の新しい女形を見られたのは、大収穫だった。
スッポンでの演技も、間近で楽しめた。
新春は、『世界花小栗判官』を、実父菊五郎と共演する。
今度は、どんな菊之助を見せてくれるか、今から楽しみにしている。

   *****

写真
12月5日(火)の国立劇場玄関と昼餉



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パトラッシュさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

黒衣に頼る台詞は、勢いがありません。
でも、スッポンでの見得は、素晴らしいものでした。
自然に、体が反応するのでしょうか。

忠臣蔵では、三日目に居た黒衣が、千穐楽は消えていました。

2017/12/06 09:19:55

三日御定法

パトラッシュさん

の、その三日目とのこと。
黒衣が張り付くのも、仕方ないところです。
でも、吉右衛門、三日で済むのでしょうか……
最近とみに、セリフの入りがよくない。
これを、播磨屋の衰えだと、こう言う人も居ます。

それを確かめに、七日目くらいに、行って見ようかしら……(冗談です)

2017/12/06 08:52:37

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