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吾喰楽家の食卓

古典と新作 

2017年09月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

落語家になるのには、直接、師匠に会い、弟子入りを願い出るのが一般的である。
ところが、五代目圓楽は、アルバイトで鞄持ちをしていた学生を、スカウトして落語家にしたという。
その学生こそ、六代目圓楽で、入門後は楽太郎を名乗った。
生前、五代目圓楽は、楽太郎に圓楽を継がせることを決めた。
自分の名前を、弟子に継がせるのだから、問題はない。

ところが、五代目圓楽は、師匠である六代目圓生の名前を、一番弟子の鳳楽に継がせようとした。
六代目圓生の一番弟子とはいえ、五代目圓楽の独断に、弟弟子の圓窓と円丈が異を唱え、圓生襲名に名乗りを上げた。
五代目圓楽は、六代目圓生の没後、落語協会に復帰した二人に、圓生襲名の資格は無いと考えたのだろう。
順番から云えば、孫弟子の鳳楽よりも、直弟子の圓窓や円丈が上位であることは、云うまでもないのだが。
六代目圓生が、もう少し長生きをし、自らの口でそれを云ったら、鳳楽は七代目圓生を襲名できただろう。

鳳楽ファンとしては、鳳楽の七代目圓生襲名を、妨げる者は好ましくない人物である。
当初、圓丈の高座を避けていたのは、新作落語を余り好まないだけでなく、襲名問題も影響していたかも知れない。
初めて圓丈の高座を、後ろめたい気持で観たのは、昨年の国立演芸場九月中席である。
その時、『円丈落語全集1』を買い、ツーショットを撮って貰い、握手をして別れた。
だからという訳ではないが、「圓丈は意外と良い人ではないか」という、思いが頭をかすめた。

今回の九月中席は、二回目に観る圓丈の高座である。
双子の姉妹だから当然だが、金さんと銀さんという極めて似たキャラクターを、巧みに演じ分けた技量は、中々のものだった。
今さらではあるが、新作落語も悪くないと思った。
そして、ロビーで『円丈落語全集2』を買う遣り取りを通じて、「圓丈は意外と良い人ではないか」という思いが、以前に増して強くなった。
何故だかは、自分でも、よく分からない。

   *****

帰路の電車の中で、八月風流寄席で鳳楽が、「圓生は誰も継がないことにした。自分の芸は、大師匠には程遠い」と、云った言葉を思い出した。
圓窓、圓丈、鳳楽の三人が、仲直りしたということだ。
このことで、圓丈を観ることの、鳳楽に対する遠慮が無くなったのかも知れない。
とはいえ、鳳楽が演じる、『文七元結』、『柳田格之進』、『紺屋高尾』、『濱野矩随』、『淀五郎』、『芝濱』など、古典落語の素晴らしさが色褪せる訳ではない。
しかし、どんな古典落語も、当初は新作落語だったのである。

   *****

写真
9月11日(月) 圓丈師匠と(国立演芸場にて)



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パトラッシュさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

朝から笑わせて頂きました。

貫禄があるように見えるのは、腹が出ているからですよ。
昨年も撮ったので、今年はパスしようと思ったのですが、お弟子さんの申し出を、断るのも悪いと思いました。

2017/09/13 09:12:55

貫禄

パトラッシュさん

写真で見る、吾喰楽さんの姿は、堂々として、立派です。
顔のモザイクを外したら、きっと師匠に見えるでしょう。
するってえと、横で、Vサインしている人は、鞄持ちでしょうかね……

2017/09/13 09:05:35

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