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吾喰楽家の食卓

宿題三題噺 

2017年07月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

落語の形態の一つに、三題噺がある。
客席から出して貰った題目の中から三つを選び、その言葉を落語に取り入れ、即興で噺を作り、披露する芸である。
昔は、ラジオやテレビの落語番組に、よく登場したが、最近は見かけない。
毎月、上野の黒門町で開催されている『初演の会』に通い始めたのは、近年、珍しい三題噺が聴けるのも、理由の一つだ、
今月は、都合が悪く、行かれなかった。
三人いる出演者の一人が、自身が管理する掲示板に、今月の落語会の様子を投稿した。
以下は投稿の一部だが、それを読んで、違和感を覚えた。

>基本的に「凶事」は出さないのが暗黙のルールです。
>今回の「乳癌」が出た時に、選ばれ無いと思いましたが・・・。
>それは、演者の責任では無く、その場のお客様の責任です。
>責任のがれでは無く、皆さま 題を選ぶって大変な事なんです。 (原文のまま)

人情噺の名作である『芝浜』は、異説もあるが、元々は圓朝が作った三題噺だと云われている。
本来、三題噺の題目は、「人の名前」「品物」「場所」で構成され、どれか一つをサゲに使わないといけない。
『芝浜』の場合、「酔漢」「財布」「芝浜」が題目である。
外には、季節に相応しい題目を選ぶのも、ポイントかも知れない。
ここまでは承知していたが、「凶事」を出さないという、暗黙のルールは知らなかった。
今回の題目は、「乳癌」「詰将棋」「心霊スポット」だ。
歌舞伎俳優の妻が亡くなったばかりだから、「乳癌」が提案されたのは、想像に難くない。

『初演の会』では、三人の噺家が、毎月、順にトリを務めている。
トリの当番は、開口一番、前月に決まった題目で三題噺を口演する前に、翌月の題目を決める。
だから、即興ではないから、宿題三題噺と称しているのだが。
題目を、提案したのは客に間違いないが、決めたのは月番である。
だから、月番の責任というわけではないが、乳癌は凶事ですから止めましょうと、一言云えば済むことだ。
投稿者は、題目を決めたのでも、今月の演者でもないが、先月の落語会に同席していたので、座頭格として、決定を覆すことは出来たのではないか。
噺家は落語のプロだから、客が暗黙のルールを知らないのなら、それを教えるのがあるべき姿だと思う。

   *****

写真
7月19日(水)の昼餉(トマト素麺)



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つゆさんへ

吾喰楽さん

おはようございます。

私は、妻を乳癌で亡くしています。
今月は『初演の会』へ行っていませんが、もし、三題噺を聴いたとしても、笑えなかったと思います。

『片棒』ですね。
落語協会の会長、柳亭市馬の十八番です。
私も好きな噺の一つですよ。
「私が死んだら、どんな弔いを?」と、当人が息子に訊くのだから、笑えます。

2017/07/20 09:29:36

乳癌

さん

内容は分かりませんが、現在進行形の人が大勢いて、今も苦しんでいると思うと、どうなのでしょうね。

ピンクリボン活動の人たち(過激らしいですよ)が知ったら、怒るでしょうね。

ケチな親父か死んだとき、棺桶はオレが担いでやる、なんて、噺は好きですが。

2017/07/20 08:45:01

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