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吾喰楽家の食卓

師匠と立ち話 

2016年10月16日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

昨日、『第311回 銀座風流寄席』に行った。
落語を楽しんだ後の宴席でのことである。
いつものように、鳳楽師匠は、グラスを片手に客席を回っていた。
近くに来たので、私は立ち上がり、お酌をした。
その時、少し長い立ち話になった。

「師匠、10月に登場しますね」
「えっ」
「来年のカレンダーですよ」
「ああ、国立さんのですね。随分、早く手に入れましたね」
「はい、国立演芸場へは、よく行きますから。いい男に写っていますよ」
「ありがとうございます。実は国立さんから、六枚ほど写真を送って来たんです」
「その中から、ご自分で選んだのですか」
「ええ。何年か前にも、カレンダーに使って頂きました」
「そうですか。ところで、今日の『濱野矩随』(はまののりゆき)は、良かったですね。」
「ありがとうございます」
「マクラで、昭和の三名人に触れました」
「桂文楽、古今亭志ん生、三遊亭圓生のことですね」
「私は、子供の頃から落語が好きで、ラジオで聴いていました。小学校に入学する前からです。圓生が一番好きでしたよ。ヨイショとは、違いますからね」
「大師匠が、もう少し長生きしてくれたら、私は圓生を継げたんですが」
「そうでしたか」
「圓生は他の二人に比べ、沢山の録画が残っています。お陰さまで、シネマ落語にも登場しています。文楽や志ん生の噺を聴くと、カチカチと雑音が入っています。入れ歯の音なんですね。良く合っていないのでしょう」
「私、シネマ落語は、観たことがありません」
「機会があったら、是非」

「ところで、最近の若手噺家さんは、今風ですか」
「いや、昔と同じです。例えば、先輩に酒を誘われて、断ったりしたら、この世界では生きて行けません」
「そうなのですか。近年、会社などでは、先輩と後輩の付き合いが減っています」
「酒の席こそ、落語の勉強をする良い機会です。私は先代の馬生さんに、可愛がって貰いました。ある酒の席で、『今度、稽古を付けて下さい』と、お願いしたんです。そしたら、『分かった』と、即答してくれました」
「惜しいことに、早死になさいましたね」
「そうなんです。酒の飲み過ぎですよ。私は馬生さんほど、酒を飲んだ噺家を他には知りません」
「弟さんも、早かったですね」
「惜しい人を亡くしました。志ん朝さんが生きていたら、78歳かな」
「そうですか」
「先代の圓楽は、酒を飲めなかったんです。だから、弟子の私たちは“師匠の前では、酔い姿を見せない”が、決めごとでした」
「圓楽さんが飲めないとは、意外でした」

「PRで恐縮ですが、今月と来月、国立に出演しますから、是非、来て下さい」
「10月の一門会は、チケットを買ったのですが、野暮用で行けなくなりました。こちらの○○さん(パトラッシュさん)は、ご夫婦で行きますよ。最前列です」
「それは、それは。宜しくお願いします」
「11月の独演会は、行きたいと思っています」
「チケットなら、少しですが残っていますよ」
「既に持っています。先月、師匠から買いました」
「そうでしたか。失礼しました」

話は尽きなかった。
師匠を独占しては申し訳ないので、話を切り上げた。

*****

写真
10月15日(土)のご馳走



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