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北軽井沢 虹の街 爽やかな風
小説その20
2016年04月15日
テーマ:テーマ無し
何も知らない、誰も知る人のいないところへポンとやってきたというのも、考えてみればずいぶんと無謀な行動に違いないが、爽太も千恵子も決してそんなに無謀だとは思わなかった。
この地にどんどん融け込んでいく二人は、むしろ毎日が楽しく、一日があっという間に過ぎていく毎日だった。65歳からの移住生活は、やってみなければわからないが、爽太にとってはどうやら成功するのでは、と思えるようになっていた。何も知らない場所だから毎日が発見だった。生まれて初めて見る絵のような紅葉も終わりごろ、ある日爽太は一人でスズランの街を歩いていた。人影もなく寂しい森の中だが、さまざまな形の別荘があり、それぞれの地形に合わせて工夫されて建設されている建物を見るだけでも楽しい。ただ何もせず森の中にポツンと建っているものもあるが、庭木を植えて手入れされている別荘もあった。
何度か歩いているうちに、いつも美しい色とりどりの紅葉を楽しませてくれた建物を見上げていた爽太は、ふと足元をみて驚いた。何と落葉したモミジの葉がびっしりと庭中を覆っていたのだ。その美しさに感激した爽太の眼はその庭に釘づけになった。枝の上でその美しさをこれ見よがしに誇っていたモミジの葉は、落葉してもしばらく地面の上でもその色鮮やかな姿を見せてくれる。ここでは、上と下で二度の紅葉を楽しめることを知った爽太だった。
スズランの街をぐるっと一周して家の近くまで帰ってきた爽太は、もう一度驚いた。近くの別荘に一本の大きなモミジがあり、見事な黄葉を見せていた葉が、すべて地面に広がり、黄色一色の庭の地面が夕日にてらされて光っていたのだ。そしてその時、自然がこれほどに美しいものとは考えも及ばなかった爽太の前に、少し冷たい風が吹いた。そしてその風はビューという音とともにカラマツの葉を落とす。少し風が強くなって、そのカラマツの葉が雨のようにばらばらと落ちてきた。「リーフシャワー」だ。爽太はその時とっさに思った。
リーフシャワーは、数分間爽太を襲って舞い降りる。まるでシャワーのように降ってくるカラマツの葉の中で爽太の胸はワクワクしてくる。カラカラと足元の落ち葉が道路を転がっていく。強い風が吹くと落ち葉は集団となって舞い上がる。カラマツの葉に混じってまだ落ちていなかった広葉樹の葉も飛んでくる。叫びたいような気持を抑えて爽太はリーフシャワーに打たれ続けた。爽快だった。嬉しかった。楽しい。「もっと降れ!」誰もいない夕暮れの森の中で、ついに爽太は叫んだ。
その日の夜、爽太はリーフシャワーのタイトルでブログを書いた。すると郷里の友がメールを送ってきた。彼はリーフシャワーという言葉に感嘆し、初めての言葉ではないかと調べたらしい。そしてそれが惜しくも二番煎じだったので残念がっていた。何日か前にその言葉を使った人がいたというのだ。後にこのリーフシャワーは、生活の上では厄介者になるのだが、爽太には忘れられない思い出となっている。秋も終わり季節は初冬へと移り始めていた。
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