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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その3 

2015年12月18日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し













12月11日 http://blogs.yahoo.co.jp/yktsp534/65287616.html の続き
 
翌朝、目が覚めた爽太は、しばらくここがどこなのかわからなかった。薄暗い天井を見つめているといつしかまた睡魔がやってくる。何かわけのわからない夢がぐるぐると回り、自分を呼んでいる声でまた目が覚めた。そしてここが移り住んできた新しい家だと気づき、
階下から呼ぶ妻の声に布団をはねのけ、勢いよく起き上がった。
下に降りるとさっそく妻の小言が始まる。
 
「この際、言っておきますけど、ここに来たらもう何もしなくてもいいからと言って、いつまでもぐずぐず寝てたらだめよ。ちゃんと、規律正しい生活をしてください」
妻の千恵子は、実業家の娘で厳しく躾けられて育ち、道理の通らないことには徹底的に自分を曲げない性格である。
時計は10時を回っていた。初日からガツンとやられ、爽太はやれやれと食卓に向かった。
 
爽太は、この別荘地・クイーンランドについて何の知識もなかったが、この別荘地にはゴルフ場、ホテル、遊園地もあり総面積は330万平米、総区画数4300で、地内道路は何と延べ60kmにおよび、2000棟の別荘が建設されている浅間高原最大の別荘地だった。330万平米といっても見当がつかないが、東京ドーム70個分の広さと聞けば、何となく想像できるような気がする。クイーンランドには爽太が住んだ「スズランの街」のほかに「カッコーの街」「カラマツの街」「アカシアの街」「流星の街」「月光の街」「宇宙の街」と名付けられた7つの街がある。
数日かかって引越しの整理を済ませた爽太は、管理事務所で手に入れたクイーンランドの地図をたよりに少しずつこのクイーンランドを歩いてみることにした。
 
はじめは妻千恵子も興味津々で、一緒に行くという。6月の半ばを過ぎたこの時期は、高原に自生する植物が今を盛りと花を咲かせていた。千恵子は珍しい花を発見するたびに歓声を上げて駆け寄り、それが野生の花であることを爽太に説明する。別荘地の道は、直線部分はほとんどなく曲がりくねった道が続く。進んでいると、後戻りしているのではと錯覚をおこす場面もたびたびあった。ある時は、歩いていて出会った老夫婦に「スズランの街○○はどう行けばいいのでしょう」と質問され、こちらに来たばかりなので分からないと答えるしかなかった。後で分かったのだが、たまにしか来ない別荘の持ち主が、歩いているうちに自分の家が分からなくなる人がいるという。こういう人のことを「クイーンランド難民」というのだと後に聞かされて、まったくと合点した爽太だった。
誰一人知り合いのいない場所に来た爽太は、この先どうやって生きていくのか、さっぱり何もわからないまま、家の周りの落ち葉を片付けたり、歩く範囲を少しずつ広げていく毎日が続いた。
 

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