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私家版・日豪の比較文化人類学 〜群れから抜け出した羊が見たもの〜
2−3 我家、一軒家からユニットへ(その1)
2010年12月10日
テーマ:テーマ無し
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<b>新しい我家は植物園</b><br />
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海外に移住するという場合、どこのどのような家に住むのかという事が大きな問題の1つといっても良いでしょう。私たちがしたような事前の調査・検討それに具体的なプランがなければ雲をつかむような話です。幸いなことに、私たちは偶然の経緯でバデリムに素晴らしい家を見つけて、そこを借りることにしました。当初は集合住宅で家具付きという希望でしたがそのような賃貸物件が少なく、家賃や周囲の環境など様々なことも考えて、家具は備わっていませんでしたがその家に決めたのです。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/760162/img_760162_33714100_0?1291965973" alt="&#x0030a4;&#x0030e1;&#x0030fc;&#x0030b8; 1" class="popup_img_370_277 clearFix alignLeft"> 敷地は1000平方メートル程ありますが平坦ではなく、道路に沿って幅6メートル程の芝生があって、その端から奥へとかなりの急勾配で下がっているので、家は道路から屋根が見える程度です。道路側の正面は少し東に振って北に向いていますが、北半球のオーストラリアでは陽の光は北から射すので、明るくお洒落な家の雰囲気が損なわれません。玄関のドアは道路から少し下がった地面のレベルですが、さらに南の裏庭に向かって下がっているので家の南側は斜面から支柱が立ち上がって床を支えています。このような造りなので、居間に続くベランダは南の裏庭から6〜7メートル高い位置になるのです。バデリムの中でも「オン・トップ」と呼ばれる標高の高い所ですが、残念なことに地形の関係で海を眺望することができません。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/760162/img_760162_33714100_1?1291965973" alt="&#x0030a4;&#x0030e1;&#x0030fc;&#x0030b8; 2" class="popup_img_277_370 clearFix alignRight"> 日本では考えられないようなこの広い敷地にはヤシ、ユッカ、ソテツを中心に亜熱帯の珍しい植物がまるで植物園のように美しく植栽されて、南の裏庭の周りは竹も多く日本の竹林のようで心が安らぎます。また、高さ10メートルはあろうかというベンジャミンの大木が枝を広げ、7月に実が熟すと野鳥が群れをなしてついばみにやって来るのも壮観です。近所の人たちが我家の庭を見て「ビューティフル!」「ラブリー!」と羨ましがるほどですが、賃貸契約の過程でその訳が分かりました。<br />
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この家のオーナー、大家さんはトニーという30代の陽気なオージーで、この家を借りることを決めて初めて会った時、彼は例のベランダから植物に水を撒いていました。その姿を見て私は「まるで庭師さんのようですね」と言うと、「私はここで働いているんです」とシャツの胸に刺繍されたナーサリー(苗木を中心にした園芸店)のマークを指差しました。植木の扱いは本当にプロ。道理で庭の造りが行き届いていたのです。<br />
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余談ですが、庭の手入れは私たちが表の道路に面した芝生だけ刈り、裏の芝生や植木の手入れはすべて彼がすることになっていました。プロにまかせておけば間違いありません。しかし、私たちも庭いじりが大好き。ヤシの大きな枯れ枝を片付けたり雑草を取ったりしているとトニーは安心したのかさっぱり手入れに来ません。枯れ木で作ったお洒落なポストも郵便物が雨に濡れたり風に飛ばされたりするので、彼はその憎めない笑顔で「すぐに取り替えますよ。2〜3日待ってください」と言ったものの1年過ぎてもまだ換わりませんでした。でもこの典型的なオージーのトニーと話していると、なぜかこちらまで細かなことは気にしないおおらかな気分になってしまうから不思議です。<br />
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<b>ベランダがお気に入りの我家</b><br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/760162/img_760162_33714100_2?1291965973" alt="&#x0030a4;&#x0030e1;&#x0030fc;&#x0030b8; 3" class="popup_img_370_277 clearFix alignLeft"> 言葉での説明ではなかなかイメージがつかめませんが、その我家はトタン葺きの平屋で3ベッドルーム、床は濃いブラウンの木、壁はレモンイエロー、天井は白で全体にカジュアルなデザインの家です。玄関のドアを入ると左が主寝室でアンスイートと呼ばれるトイレ、洗面台がそろったバスルームとウォークイン・クローゼットが備わっています。玄関ドアから右の通路を進むとその右手がカウンターつきのキッチンで、オープンプランの居間・ダイニングに続きます。居間に続いて広さ10畳ほどのベランダがあって、裏庭を見下ろすことができるお気に入りの快適な空間となっています。<br />
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その奥はランドリーを除いて子供や来客用に使うスペースとなっており2つのベッドルーム、バスルームと独立したトイレが配置されています。来客があった場合、主寝室と他のベッドルームは居間をはさんで距離が保たれ、バスルームを共用しないのでお互いに無駄な気を遣うことがありません。この他に、別棟で無線操作シャッター付の2台分の車庫があります。オーストラリアでは、1軒にベッドルームが3つ、バスルームやトイレがそれぞれ2か所あり、車2台分の車庫、それに給湯設備を持つのが標準的な家です。<br />
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家具付きではなかったので冷蔵庫、洗濯機、食卓テーブル、ベッド、じゅうたんなど生活に必要な家具を買い揃えなくてはならず、予定外の出費となってしまいましたが、幸いカティアがソファーと使わなくなったテレビとステレオをプレゼントしてくれたので大助かり、ありがたく使っています。<br />
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<b>ご近所づきあいは淡白</b><br />
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インターネットのグーグル・アースをインストールしている方ならBuderimの地名で宇宙からの映像をご覧いただけますが、我家の周辺は空から見ると建物の屋根・敷地より周囲の緑の面積の割合の方がはるかに広くなっていることが分かります。実際、緑が多いのは我家の庭だけでなく周辺は道路沿いも含めて本当に緑が多く、しかも美しい景観となっており、日本の軽井沢や蓼科などの高級別荘地でもとてもかないません。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/760162/img_760162_33714100_3?1291965973" alt="&#x0030a4;&#x0030e1;&#x0030fc;&#x0030b8; 4" class="popup_img_370_277 clearFix alignRight"> 我家の裏庭の先はどこからが境界なのか分からないような状態で森林になっていて、そこはバデリム・フォレスト・パークの敷地となっています。渓流に沿った熱帯雨林の広大な公園ですが上流の滝と下流の木道、それにバーベキューの設備がある程度で土産物屋さんがあるわけでもなく、有り余る自然と静寂な空間をもったいないと感じるほどです。このような豊かな自然の中ですから動物も多く、我家の裏庭にもワライカワセミや大きなブッシュ・ターキーがやってきます。ただ、住所の名前になっているポッサムは猫ほどの大きさの有袋類の動物で民家にも現れるそうですが、夜行性のためか我家の周辺ではお目にかかっていません。動植物の知識が乏しいので、勉強して興味が深まれば楽しさも何倍かになることは間違いないでしょう。<br />
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肝心なご近所ですが、住んでいる人たちの日常的なお付き合いは日本に比べて希薄なようです。もちろん、顔が合えばニコニコ顔で挨拶をするし、片方が車でもお互いに手を振り合います。しかし、町内会の会合があったり、近所の奥さん同士が長々とあれこれ噂話をしたり、子供達が集団で登校したり、お惣菜をお裾分けしたりする光景は、知らないだけかも知れませんがほとんど見たことがありません。<br />
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我家のお隣は右隣が子供のいない若い夫婦、左に私たちより年上の老夫婦が住んでいます。私たちの英語のレベルや、外出は車庫から出て帰って来ると車庫に入ってしまうという構造にもよるでしょうが、お隣と顔を合わす機会が少ないのです。しかし、私たちが長期間家を留守にする時は老夫婦の方に郵便物の保管をお願いして出かけますが、喜んで引き受けてくれます。そして住民として、隣人としてつらく不愉快な思いをしたことがありません。近くに住む人たちはお互いにあまりベタベタと干渉し合わない方が気持ちよく生活できるのかも知れません。<br />
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この項は(その2)へ続きます。<br />
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>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)
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