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私家版・日豪の比較文化人類学 〜群れから抜け出した羊が見たもの〜
2−2 オーストラリアでの手続き(その1)
2010年12月10日
テーマ:テーマ無し
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<b>家の賃貸契約</b><br />
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住む家の探し方は前の項でご紹介した通りですが。良い所が見つかると賃貸か売買の契約をしなければなりません。不動産を購入することはもちろん出来ますが、事情の分からない国でいきなり買ってしまうのはいかにも無謀ですから、まずは賃貸にした方が良いでしょう。<br />
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契約書は注意深く読んでおくことが大切ですが、用紙にあらかじめ印刷されたところは一般的に共通した内容で、後からタイプ・アウトされた部分はその物件に関する事項ですから分かりやすいでしょう。契約の期間は6か月か1年が普通で、家賃は最初に提示されて決まっていますが、次の契約更新時に値上げしてくるのが普通です。契約書は家主と不動産屋の分を入れて3部作り、夫婦の場合は連名でサインをします。<br />
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契約書を取り交わすとすぐに敷金にあたるボンド(家賃の4週間分)と家賃など(2週間分)を支払いますが、以後の家賃の支払は毎週なのか何週間ごとなのか不動産屋と相談して決めます。日本のような毎月の支払は、週単位で考えるこちらでは混乱の原因になりますから避けたほうが良いでしょう。私は、4週間毎にインターネット・バンキングで支払っています。<br />
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契約が終わると不動産屋からコンディション・リポートと呼ばれる書類が来ます。これは入居時の家の状態、例えば床にしみがあるとか壁に釘穴が残っている、ブラインドが古く汚れがあるなどをチェックしてあるものです。これが退去時に修繕費などの支払が必要かどうかの証拠になりますから、注意深くチェックする必要があります。もしそのコンディション・リポートに不都合な点や事実と異なる点、さらに他に気付いた不良か所があればコメントを記入して不動産屋に渡します。こうしておいて退去時に問題がなければ第3者の公的機関に預けてあったボンドは全額戻って来る仕組みになっています。<br />
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<b>電気・ガス・水道など</b><br />
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住む所が決まったら一日も早くしなければならないことがたくさんあります。まず、何をするにしても自分の連絡先の電話番号が必要になりますから、電話とインターネットの開設を申し込みますが、これについては後で別途紹介します。<br />
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<b>[電気]</b><br />
まず電気は州によって取り扱いの会社が異なるので、不動産屋で連絡先の電話を聞いておいて電話で申し込みます。住所と名前と開設の日付ぐらいのことで電話開設に比べれば比較的簡単に手続きは済みますが、不安な場合は通訳サービスの電話で申し込むことも可能です。また、電気はいつでも使えるように通電していて入居するとすぐに使える状態になっていますので、電力会社への開設申し込みの時、使用開始日を賃貸契約で決まった入居日に指定します。 <br />
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電気料金の請求は3か月に1度来ますが、この中にクイーンズランド州では救急車の料金が1日あたり26セント、3か月で23ドル(2300円)ほど含まれています。以前は救急車を利用すると800ドル近くの高額料金を支払わなければならなかったのが、これによってカバーされるようになったのです。一種の保険ですね。<br />
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<b>[ガス]</b><br />
ガスは都市ガスは無くプロパンとなり、やはり電話での申し込みとなります。ただ、キッチンのコンロが電気の場合、お風呂の湯もほとんど電気を使うタンクで沸かすのでガスの使用を申し込む必要はありません。問題は電気のコンロです。注意していないと吹きこぼれたり、強い火力で一気に火を入れる料理は出来なかったりして、ガスの調理に慣れた人にとっては腹が立つほどのストレスになります。住む家を探す時この点はあまり気にしませんから、あらかじめ知っておくことが大切です。<br />
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<b>[水道]</b><br />
水道の使用料については賃貸の場合、家賃に含まれていることがほとんどです。ただ、定められた使用料を超過した場合入居者が超過分を負担すると言う条項が賃貸契約書に定められていると、支払の義務が生ずることがあります。<br />
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<b>[その他]</b><br />
この他、ベッド・布団などの寝具、冷蔵庫や洗濯機、食器など当座の生活に必要なものを早く揃えなければなりません。家探しで走り回っている間にも、どこにどのような店があるか見ておく位のことはしておくべきで、高価な買い物は数軒見て回るようにします。こうした買い物は、こちらのお客としての立場がはっきりしているので難しくはありません。<br />
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<b>在留届の提出、住民登録は?</b><br />
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生活の基盤を整えながら、これからここに住むのだからこちらの役所に転入届を出して住民登録をしなくてはならないハズだが……、と私たち日本人はつい心配に思ってしまいますが、こちらには戸籍や住民登録の制度はありません。ですから特に、「私はここに住んでいます」と届け出ることはなく住んでいれば良いのです。<br />
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それではこの国や州の人口の動態や選挙権など行政の基本的な情報はどうしているのかと言うと、5年毎のセンサス(国勢調査)を基本にしますが、出産と死亡、それに結婚はいずれも登記所に届け出、18歳になると国の選挙人名簿に登録して選挙権を得ることになります。これらはオーストラリア国籍を持つ人に関してのことですが、唯一センサスは8月の調査日の午前零時をまたいでこの国に滞在している人は全て調査対象になります。一時居住者で外国人としての私たちも2006年、オーストラリア国民と同じ調査用紙に詳細を記入して提出しました。<br />
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<b>[在留届]</b><br />
3か月以上海外に滞在・居住する日本人は現地の大使館や領事館に在留届を提出しなければなりません。邦人保護や年金の現況届の必要書類となる在留証明書などの基本データになり、パスポート切り替えや各種の届出に必要ですから早めに提出した方が良いでしょう。在留届はインターネット上でも出来ますから大使館等が遠く離れている人は利用すると便利です。管理社会日本の面目躍如とした制度ですが、手続きや資格の面などでつまずいていてはいやですから是非届を出しておきましょう。<br />
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<b>医療保険と病気などの治療</b><br />
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<b>[医療保険]</b><br />
私たちの退職者ヴィザはすでに紹介した通り、取得の条件としてこの国の民間医療保険に加入しなければなりません。日本の国民健康保険に相当するメディケアには市民権か永住権を持っていないと加入できないからです。民間医療保険へは日本でヴィザ取得の過程で加入手続きをしますから、この国に入国後なるべく早く最寄りの保険会社の窓口へ行き保険の開始日を決め、加入者証のカードをもらいます。毎年保険金を納める時、どのような保険に加入しているかを証明する書類を書いてもらって保管します。ヴィザの更新時にこれが必要となるからです。<br />
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<b>[病気・怪我の治療]</b> <br />
病気や怪我で医者にかかる場合、日本とはかなりシステムが異なります。救急車で運ばれるなど緊急ではない場合、まずGP(General Practitioner)と呼ばれる一般開業医に診療の予約を入れて診てもらいます。このGPはファミリー・ドクターや主治医のような役割があって、内科や産婦人科、小児科など全ての分野の診療をしますから、普段から評判の良い先生を探しておくと良いでしょう。このGPがさらに高度な治療や手術・入院が必要と判断すれば専門医や公立病院を紹介してくれ、そちらで診療するという手順を踏まなくてはなりません。日本のように患者が自分の病気などの診療科を独自に判断して、いきなり専門医や大病院へ行くというようなことは出来ない仕組みになっているのです。<br />
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診療で支払った費用は、その領収書を持って保険会社の窓口へ行き払い戻しを受けます。私たちの場合、雅子の血圧が若干高めでGPにかかっていますが、費用の七十佑曚匹保険で戻って来ています。歯の治療は特に高額です。<br />
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ところで、オーストラリアは高度な先端医療はとても発達して注目されていますが、GPの次の段階の医療が医者と病院の不足で問題が大きくなっているようです。特にサンシャイン・コーストは人口が急激に増加しているにもかかわらずその対応が遅れているのが心配です。友だちのヒロミさんの娘マリーナが転んで手の骨にひびが入った時、救急で公立病院へ行きましたが、診てもらうまでに4時間かかり、やっと手当てしてくれたのが応急程度のことでした。ヒロミさんは待合室にあふれるほどの患者が悲痛な様子で順を待っているのを見て、恐ろしくなったと言います。<br />
こうした事情があることも心に留めて、健康や安全には十分に注意したいものです。<br />
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この項は(その2)に続きます。<br />
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