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私家版・日豪の比較文化人類学 〜群れから抜け出した羊が見たもの〜

3−3 芸は身を助ける 

2010年12月08日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し

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<b>歌は世界共通の楽しみ</b><br />
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 「芸は身を助ける」と言う言葉があります。本来は道楽として身につけた芸が落ちぶれた時に収入の手段となって生計に役立つという意味ですが、私たちの移住生活でも「芸」が大きな役割を発揮しています。別に落ちぶれてしまったり、稼ぐつもりではありませんが、また趣味などは本来自分自身の楽しみのためにするものでしょうが、こちらの生活や友だち作り、それにコミュニティーにとけ込んで行くのに大いに役立っています。<br />
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 これから海外や異なる土地で生活をしたいと考えている方は、何か芸や趣味、特技を作っておくと、きっと役立つと思いますので是非お勧めします。新しい土地で新しい友だちが出来なければ、移り住む意味が無いと言っても過言ではありません。共通の趣味や共に楽しむことが出来る芸や特技は人との新しいつながりを作る強力な手段、特効薬にもなると言っても良いでしょう。同じことに興味のある人はどこにでもいるものです。海外移住の場合でも特に日本的なものに限る必要はありません。<br />
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 次の「メンタル・ハーモニー」の項で触れますが、私の「芸」のひとつに歌・合唱があります。移住前からこちらではどこか合唱団に入って歌を楽しむのと同時に、友だち作りのきっかけにしようと考えていて、それを実行しました。学生時代に男声合唱をたしなんでいたのと、音楽は世界共通語と言われるように瞬時に理解し合えるので、私は苦も無くオーストラリア人ばかりの合唱音楽に参加することが出来ました。<br />
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 自分で言うのもおこがましいのですが、今では私はその合唱団「バデリム・メイル・クワイアー」の無くてはならないファースト・テナーになって(いると思)います。またそのおかげで、夫婦で親しく お付き合いできる仲間が出来ました。若い頃からの趣味が移住という言わば非常事態の生活を助けてくれた訳です。退職後の自由な時間を有意義に使うと言う意味でも歌、音楽という趣味を持っていて本当に良かったと思います。<br />
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<b>人気の日本文化、生け花</b><br />
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 妻の雅子は生け花が好きで、日本では長い間お稽古に通って楽しんできました。その生け花は奈良に家元がある山村御流という小さな流派ですが、自然のものを楚々と生けるそのスタイルは生け花の原点とも言え、根強い人気があります。しかし、移住をするので日本の文化をひとつでも身につけ、準備しようという考えは全くありませんでした。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/781161/img_781161_33699350_0?1291771638" alt="イメージ 1" class="popup_img_370_270 clearFix alignLeft"> 移住後半年ほど経った8月頃、州都のブリスベンで日本領事館が中心となって日本の文化を紹介する日本文化週間が開かれ、お茶やお花などが紹介されるというので私たちも見学しに行ってみました。そこで、生け花のデモンストレーションをしていたブリスベン在住の先生にお会いし、その先生の紹介で我家のすぐ近くでお花を教えているご家族とも知り合うことが出来、さらに生け花の国際的な組織「生け花インターナショナル」にも参加をすすめられてお花の関係の友人が一気に増えたのです。<br />
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 そして、サンシャイン・コーストで開催されるマルチカルチャリズム(国際的な多文化)のイベントで生け花の実演を依頼されたり、図書館の行事に花を飾ったりする機会が増えて来ました。自分の趣味が観る人に喜ばれ、日本の文化を僅かでも伝えることが出来ればやりがいも出て来るというものです。日本で教えていただいていた先生はこうした雅子の活動を温かく見守ってくれ、こちらに遊びに来てくれた時には我家で臨時のお稽古をしてくれたり、こちらから生けたお花の写真を送って、ご指導をいただくなど海を越えた師弟関係が続いていて嬉しいことです。<br />
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<b>日本人女性のための生け花</b><br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/781161/img_781161_33699350_1?1291771638" alt="イメージ 2" class="popup_img_370_284 clearFix alignRight"> こうして雅子の生け花はこちらでの活動や友だち作りに大いに役立つ結果となっていますが、少し異なった意味でも興味深い結果を生んでいます。それは、こちらに住む若い日本人の女性と生け花を通した交流が始まったことです。近所に住むお友だちのヒロミさんから、ある時「私も生け花をやってみたい。他の日本人も興味があるようよ」と協力を頼まれ、雅子は「一緒に楽しみ勉強するということなら」と引き受け、結局サンシャイン・コーストに住む若い日本人の女性8人が隔週で我家にやって来るようになったのです。<br />
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 興味深いと言うのは、彼女たちのほとんどがオーストラリア人と結婚してこちらに住んでいるのですが、若くして日本を離れて来てお茶やお花、書道など日本の文化を身に付ける時間がなかったので今習うということもあるのでしょうが、異国に住む日本人として相応しいたしなみを持っていたいという願いがあることだと思います。日本文化を外国で外国人に伝えることも大切です。しかし、こうした形で生け花が役立つのも意外でしたしが、本当に嬉しいことですね。   <br />
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 その我家のお花の会に来ているキヨミさんが年配のオーストラリアのお友だちを連れて来たことがあります。その人は、今はシドニーに住んでいますが、かつて奈良に28年間住んだことのあるシスターです。雅子は、奈良に住んでいたのなら自分のお花の流派もご存知かも知れないと思って尋ねたところ、彼女は山村御流はもちろん家元のお寺さんの名前も場所も良く知っていて、さらに「山村のお花はとても日本的で、私の一番好きな生け花です」と言うのです。生け花の関係者ですらその名前を知らない人が多くいますから、雅子が感激したのはもちろんですが、一緒にいたお花の会の人たちもびっくりしたり、嬉しいやら恥ずかしいやらだったようです。<br />
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<b>フルートで「天城越え」</b><br />
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 友だちを作るための手段として身に付けたことではありませんが、この他に私は自己流でフルートを吹き、雅子は書道と茶道を多少たしなんでいます。しかし、すでに私たちは趣味を通して知り合った友だち以外にも同じユニットの住人、モーニング・ティーなどに招かれて知り合った人たち、それにゴルフの仲間など本当に多くの友だちができ、ありがたいことにそのお付き合いで結構忙しいのです。招いたり招かれたりする場合はいつも雅子がケーキなどを作りますが最近では週に3〜4回ほど焼くことがあるほどです。日本で子供たちが小さかった頃でもそんなにケーキを焼いたことはありません。<br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/781161/img_781161_33699350_2?1291771638" alt="イメージ 3" class="popup_img_360_270 clearFix alignLeft"> 友だちが多いに越したことはありませんが、それによってお付き合いが雑で散漫になったりしてはいけないので、今のところ「未使用の芸」は友だち作りの手段に使わず、私たち自身の楽しみのためにとってあります。<br />
 とは言え、私がフルートを吹くことが何故か友だちの知るところとなってしまって、日本語教室の新年会やお友だちのクリスマス・パーティなどで演奏を頼まれ、何度も「出演」して喜ばれました(たと思います)。日本では家の窓を閉め切って自分だけの楽しみのために吹いていたフルートが、一転して日の目を見れば正直悪い気はしません。私のレパートリーはバッハやモーツアルトなどクラシックの地味な曲が多いのですが、この時ばかりは「さくら、さくら」や坂本九の「スキヤキ・ソング」、石川さゆりの「天城越え」など万人受けする曲も入れて、目いっぱい表情豊かに演奏したのです。<br />
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 余談ですが、私はフルートの趣味に付随して、かなり昔からフルート演奏用のカラオケ、マイナス・ワンをシンセサイザーを使って自作して来ました。今でこそ、こうしたフルート用のカラオケは各種市販されていますが、それがほとんど無かった頃から作り始めたので、そのコレクションは膨大な量となり、コンピューターでデータベースを作って管理しているほどです。これも私の宝物のひとつです。<br />
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 このように、趣味や特技などはそれが共通していたり興味を持ってくれる人との新しい出会いを演出してくれます。その趣味とか特技はご紹介したような歌や生け花、ゴルフといった特別な努力と時間をかけて身に付けたものでなくても良いのです。何もなければ、例えば日本語でも料理でもジョギングでも良いのです。バード・ウオッチングや植物の観察、それに犬を飼うことだって友だち作りのきっかけになります。要は、新しい土地で友だちを作り、コミュニティーにとけ込んでいくことを望めば、自ずと道は開けてくるもので、その潤滑油を持っていれば更に効果的に目的が達成できると思うのです。<br />
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