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私家版・日豪の比較文化人類学 〜群れから抜け出した羊が見たもの〜
3−5 嬉しいゴルフ天国(その1)
2010年12月07日
テーマ:テーマ無し
<div class='wiki'>
<b>ゴルフの天国へ来た</b><br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/781161/img_781161_33692984_0?1291688811" alt="&#x0030a4;&#x0030e1;&#x0030fc;&#x0030b8; 1" class="popup_img_370_277 clearFix alignLeft"> 最近でこそ若い人たちもゴルフを楽しむ機会が増えてきましたが、私が社会人になった1960年代末ゴルフはまだまだお金持ちの道楽でした。その頃ゴルフ・トーナメントの開催と放送がテレビ局の大きなイベントとなり、就職先の東海テレビ放送も「東海クラシック」を開催する事になりました。社を挙げてのビッグ・イベントで、ゴルフを知らなければ中継や取材も出来ないというので、若い私たちも道具を買い揃えて練習場通いから始めたのです。とは言え、コースでプレー出来るのはせいぜい月に1回。「ツキイチ」の日は嬉しさもあって朝暗いうちに起きていそいそと出かけたものです。<br />
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こういう訳ですからゴルフ歴は40年近くになりますが、スポーツなのに月に1回程度、それもかなりの出費という何か割り切れない気持ちがあったものの、少し贅沢でなかなかプレー出来ないという事情が「あこがれ」にも似た思いに転化して来たと思います。ゴルフをすることがその人のステータスになっていたこともあるほど日本人にはある種特別な意味を持ったスポーツですね。<br />
<br />
ですから、移住するにあたって「ゴルフが存分に楽しめる」という期待があったことは確かです。こちらで一緒に楽しもうという魂胆で妻の雅子にも日本ではゴルフ練習場のスクールに通うことを勧めたほどです。「移住の準備と各種手続き」でも触れたように道具は他の荷物と一緒に日本から船便で送りましたが、クラブや靴に土が付着していると検疫に引っかかり消毒や燻蒸などの処理が必要になる場合があります。その手続きや費用の支払に余分の労力を払いたくなくて、荷造りの前に丁寧に水洗いをしたものです。<br />
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そのような具合ですから、移住後に家探しのためあちこちドライブしていても美しい芝生のゴルフ・コースがあると、「早く落着いてゴルフを楽しみたい」と気が焦ったものです。<br />
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<div class='wiki'>
<b>庶民のスポーツ・ゴルフ</b><br />
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オーストラリアは日本の21倍もの国土に6分の1の人口ですから広い土地を必要とするゴルフ場がいくつあっても問題にはなりません。確かにプレー費や入会金は日本に比べると文字通り桁違いに安く、この国を訪れる日本人の多くは時間さえあればゴルフを楽しむようです。ゴールド・コーストなどリゾートの超一流コースでもビジターとして100ドル前後のグリーン・フィーでラウンドできるのですから、ゴルフ好きにはたまりません。ローカルのコースでは30ドルから50ドルと言うところでしょう。<br />
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こんな事情ですから、オーストラリア人にとってゴルフは日本人が持つような特別な感慨はなく、多くのスポーツの中の1つとしか思わないようです。仕事前や帰りの人がトラックからキャディー・バッグを降ろして、その場で靴を履き替えてプレーして行くと言うような光景をよく見かけます。ついでながら、こちらではキャディーさんはおらず、自分でカートを引くか乗用カートを利用し、ロッカーで着替えすることはほとんどありません。前半終わったところで休憩があってビールと昼食をとることもありません。プレー後に入りたいと思ってもお風呂はまずありませんが最近のコースでは更衣室に大きな浴槽のお風呂があってジャクージのようになっているところも出てきました。日本のコースの真似でしょうか。<br />
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オーストラリアの人も、日本人がゴルフ好きのことを知っていて「どうしてそんなにゴルフが好きなの?分からないね〜」と不思議そうな顔付きで聞いてきます。そんな時、私は答えようが無くきっとやや困惑気味の顔付きをしているでしょう。移住後の生活が地域の人たちともお付き合いできず、ゴルフ三昧の毎日で周りから顰蹙を買っている人もいることを知っているからです。<br />
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<b>コースにカンガルーが</b><br />
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移住した当初私たちは暇ができるとパー3ばかり9ホールのコースに出かけました。ウイークデーは予約なし、1人12ドルで9ホールを2回プレーできるのです。そのコースで私は初めてホール・イン・ワンを達成しました。一緒にプレーしていたのは雅子だけ。グリーンに行っても私のボールが見つからず、カップを覗いてみると私のボールが入っているではないですか。「やったぞー、これがホール・イン・ワンというのだ!」と妻に叫びましたが、彼女は「あっ、そう?」と涼しい顔。他に祝ってくれる人もなく拍子抜けでしたが、帰りに鯛を買って、尾頭付きの塩焼きとワインで無理やりささやかなお祝いをしたのです。<br />
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移住後の生活にもゆとりが出来たころ、私たちはバデリムにあるゴルフ・クラブに入会を申し込みました。クラブ・ハウスから遠くに海が望め、適度な高低さがある美しいコースは手入れが行き届いていて、「こんな所で思いきりプレーしたいなあ」と思っていたコースです。人気のゴルフ・クラブのようで、ウエイティング・リストに載せてもらって、会員になるには数か月待たなくてはなりませんでした。肝心の費用は、入会金と年会費合わせて2人分で30万円ほど。これでもローカルのクラブとしては高いといいます。しかも、日本では会員でもプレー毎のグリーン・フィーが必要ですが、こちらでは何度プレーしても無料なのです。日本の事情に比べると信じられないですね。 <br />
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<img src="http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/9a/60/shigemi_akamatsu/folder/781161/img_781161_33692984_1?1291688811" alt="&#x0030a4;&#x0030e1;&#x0030fc;&#x0030b8; 2" class="popup_img_370_286 clearFix alignRight"> アジア人としては稀な会員となって、2人で初めてここでラウンドした時、コースのあちこちでカンガルーが草を食んだり、寝そべっているのにびっくり。動物園にいるようなオウムや極彩色のロリキート、それにカルガモ(?)などものんびりしていて、美しいコースとあいまって感激しました。ショットの方向にカンガルーがいると「危ないから、ちょっと向こうへ行ってね」と移動してもらってから打つと言う楽しいゴルフなのです。<br />
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コースはバデリムの山裾にあるので起伏が多く、なるべく平坦な土地にコースを作るこちらの流儀からすると少し変わっていて、どこか日本のコースの趣もあります。クロスバンカーが無く、OBもほとんどありませんが距離はたっぷりあってセカンド・ショットにスプーンを使っても2オンできないミドル・ホールがあるほどです。<br />
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朝起きて天気の様子を見て、午後からのプレーを予約して出かけると言う贅沢なことをしていますが、スコアは腕前上達より技量の低下スピードの方が速く100を切れば上出来というありさまです。存分にゴルフが出来るのが少し遅かったかなと思いますが、血糖値高めの私と血圧高めの雅子としては、健康のためにも出来る限り多くラウンドしたいと思っています。でも、プレー後に簡単に汗をぬぐってクラブ・ハウスで飲むビールは最高です。料金は最後に受付でまとめて支払うのではなくて、カウンターで現金と引換えに食事や飲み物を買いますが、いずれもとても格安でビールはグラス1杯3ドルでお釣りが来ます。これがなかなか止められません。<br />
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この項は(その2)へ続きます。<br />
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