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占い師のコーヒータイム

小説「結婚物語」No.2　

2014年09月27日 ナビトモブログ記事
テーマ：暮らし

その後、間もなくNさんからお問い合わせの
電話がかかってきた。
紹介いただいた女性社長とは信頼している仲らしく、
当サロンのことも全面的に信用してくれている様子。
既に入会を決めているような口調であった。

次の休日、彼はそれでもやや不安げな顔つきで、
当サロンにやってきた。
Nさんは当サロンの結婚情報のシステムを説明する
私の話しをしっかりと聞き、差し出した入会登録用紙に
氏名・住所・家族構成・学歴・勤務先などなど、
淀みなく記入していく。
これが会員として全国2000か所ほどある
結婚相談所の結婚情報の閲覧が可能となる
基本的な資料になるのである。
（仲人連合会、仲人協議会、仲人連盟などが大元の
組織であった）

その他にこの業界は、男性会員には「収入証明書」の
提出が規定となっている。
そして、提出資料に一番大事なのはが顔写真。
ところがNさんが持参したものは証明写真の愛想も
何もない小さな写真のみ。
書類への記入を書き終えたNさんは、人懐っこい顔を
上げ、ほっとした様子で私との雑談タイムに
応じ出した。
これからが、結婚カウンセリングの第一段階である。

私：「ご両親は京都で呉服店を営んでいらっしゃる
　　　のですね」
　　「次男さんなんですね」

Nさん：「家は兄が継いで、僕は次男ですから
　　　　今の会社でサラリーマンを続けます」と、
次男であることを強調していた。

運勢的にもNさんは12年に一度巡ってくる幸運期に
あたっていた。
年齢も30歳直前である。
会社名も一部上場企業、収入も充分。
学歴の欄を見ると関西の国立大卒と。
主人の後輩にあたるじゃないかと…、私は目の前の
新しい会員となった彼が一気に身近に感じられ、
‘何とかしてあげなければ!‘と、いつも以上に
張り切ったのは言うまでもない。
ただ難点として、Nさんの風貌は一言、ダサい、
イケてないのである。
体格は中肉中背で健康・健全そのものであるが、
今も一世代前の四角ばったぶ厚い黒縁メガネ。
おまけにヘアースタイルは真っ黒、多くて硬め
ときている。
手入れに気を配っているようでもなく、見た目に
暑苦しい…。
おまけに、昭和初期の髪型「七・三分け」である。
おせいじにもモテるという雰囲気はどこにもない。

私は「う〜ん…」と唸っていた。

結婚仲介業の仕事は、まず、出会っていただか
なければ先に繋がらないものである。
お見合いは相手あってこそ成立するものであり、
お見合いが設定ができなければ、その先へは行か
ないのである。
会員同士が閲覧できる結婚情報ファイルの写真は、
いつでも追加更新できるようになっているので、
私は彼にこんな提案をしてみたのである。

「Nさんの良さをそのまま出せるよう、
ヘアースタイルなど軽快にしてみません!?」と、
切り出した。
一瞬、ビックリしたような顔をしたNさんだったが、
‘ここに来たからにはまな板の鯉‘だと思ったのか、
「僕もこの量の多い髪をどうにかしたいと思いつつ、
どうしたらいいのか分からなくって…」
「お任せします！」と、明るい顔で潔くそう
いってくれた。
物事の始まりには何事もキッカケというものが
あるはず。
彼は私の元に、その「キッカケ」を探しに来た
はずなのだからと、彼との間に早くも信頼関係が
成立していくようで嬉しかった。

Nさんが書かれた資料の趣味・嗜好の欄には
「テニス」となっている。
休日には会社の寮のテニスコートで友人たちと
汗を流す、なかなかのスポーツマンだったのだ。
「七・三分け」の黒縁メガネで、学生時代はさぞ
ガリ勉型のコチコチ真面目人間であったであろう。
しかし、今のままのイメージではまず見た目で
お見合いのオファーは入らない。

かくして、彼の了解も得て大改造計画を
任してもらい、始まることになった。
土曜日のその日、彼は新宿に出て友人と会うと、
足取り軽く帰っていった。

その後、私と運命学の弟子でもある有能な
スタッフの中ではNさんの風貌の話しになり、
四角ばった顔に「七・三分け」にした頭から
「食パン君」とネーミングし、そう呼び出した。
今までも他の会員さんにもあだ名をつけ、密かに
呼んでいたことはあったが、Nさんに関しては
ユーモラスでピッタリだった。

兎にも角にも会員登録していただいた後は一刻も
早く、この食パン君を2000か所に及ぶ結婚相談
事業所へのお披露目を急がねばならない。
取りあえずの形でも、食パン君が持参した
証明写真付きのファイルを本部に届けなければ、
全国の婚活中の女性会員さんたちの目に触れない。
彼の婚活さえ開始できないからだ。
後は彼のイメージチェンジ作戦が終わった後、
写真は入れ替えれば良いと思ったのだ。
（当時、この業界はまだまだアナログで
連盟本部への届け出は郵送であった。）

正式登録会員の申請を終えた後、食パン君を
いかにイメージチェンジするか、少し迷ったが
そのテーマを健康的な明るさをアピールして
もらおうと決めた。
彼の持ち味をきちんと打ち出せば「チャラ男」
にはならず、食パン君本来の誠実さは十分
残ってくるはずである。
メガネを変え、ヘアースタイルも変えることが
先決である。
人の印象というものは出会って数秒で決まると
言われるもの。
なんだかんだ言っても、外見というものは
大切な要素である。
その次の土曜日には、食パン君の
「改造計画その第一」の実行日と決め、
彼は来所の予約を入れて帰っていった。

その頃、季節は初夏に入ったばかりであった。


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彩々さん

ウイールマンさん

なかなか面白いですよ。
次回が楽しみです。

2014/09/29 11:55:40

マリーさん、こんばんわ

彩々さん

細木さんの本から、運命数を
計算してご自分の星を出すアレですか？

生年月日で見ると1951年7月6日で
間違いがなければ、マリーさんは
確かに木王星のマイナスですが…
0学占術は干支（生年星座）も重要視しますので
＋・−といった呼び方はせず、12支配星に
分け、それぞれの支配星名を持ちます。

なのでマリーさんは「兎座の海王星」と
なります。
それとマリーさんの本の見方が違うか
細木さんの本そのものが間違っているのか
解りませんが、今年は「生長年」となりますので
12年に一度の幸運期と言われる「人気年」では
ありません。
確か細木さんは、

500字を超えて消えたのでミニメールに入れました。

2014/09/28 22:21:50

再び

さん

細木数子さんの六星占術によると木星人マイナスは１２年に一度の幸運期とあったのですが違うのでしょうかね。

彩姉さんてついノリでなれなれしく呼んでしまってごめんなさい。

2014/09/28 20:38:37

お帰りなさい！

彩々さん

パト師匠、おはようございます。
お疲れさまでございました。
ご帰還後、お疲れでしょうに…
弟子たちのBlogを訪ねてくださって、
ありがとうございます。

弟子の末席を汚しておりますのに
私メの二作目の「お話」に
甘すぎませんか！？（笑）

今回は全編通しで書いていないので
汗と恥をカキカキしながらの作業です。
暖かく見守ってやってくださいませ。

2014/09/28 08:35:35

さすがに・・・

パトラッシュさん

人間観察が、しっかりなされています。
「食パン君」のあだ名もいいですね。
さすがに彩々さん、文がしっかりしていて、綻びというものが、見えません。
（見つけてやろうと、鵜の目鷹の目で探したのですが）

2014/09/28 07:53:19

マリーさん、こんばんわ

彩々さん

お読みくださってありがとうございます。

マリーさんのプロフの生年月日を拝見して
診させていただきましたが、

＞私も１２年に１度の幸運期に当たるの…

春の運勢下にはおられますが、
運勢の流れを春夏秋冬のそれぞれを3年づつ
として12年で巡る周期を診て行きますが
今年は12年に一度の幸運年では無かった
ですが？
↓
ここで再度、生年月日を入れてみてください。
http://fortune.yahoo.co.jp/zero/

2014/09/27 21:47:49

彩姉さん

さん

滑らかで楽しく興味を持って読ませていただいています。
私も１２年に１度の幸運期に当たるのだけれどさっぱりだわ。
イメチェンしないとダメかしら？

2014/09/27 20:52:44

忙しい喜美さんへ

彩々さん

私の拙いこちらの作品にもコメント残して
いただいて、恐縮です。
さぞ、目まぐるしいことでしょう！？

大手の結婚情報サービス会社と違い
いわゆる街の結婚仲介業者はお世話させて
いただく側は会員さんに、ともすると親戚の
オバサン、親子、と言った関係に似た気持ちに
なることも多く、お見合いが上手く行くように
しっかりサポートさせていただいてましたよ。

思い出すと楽しく遣り甲斐のある仕事でした。

2014/09/27 18:18:05

Soyoチャンへ

彩々さん

返コメント前後しちゃったけど、
ありがとね！
NO.１．２・・を入れました。

食パン君は「キッカケ」を造った後、
彼の結婚物語が如何に変化して行ったか
…乞うご期待！

2014/09/27 18:08:33

食パン君

彩々さん

澪さん、ありがとうございます。
結婚仲介業は、それぞれの「結婚物語」を
紡ぐお手伝いをする仕事だと思います。

まだ物語としては助走段階だと思いますが
飽きない程度に、食パン君にスポットを
当てたいと思っている所です。

2014/09/27 18:04:18

吾喰楽さへ

彩々さん

吾句兄い、助言を入れていただき
感謝です。
午前中の陶芸教室から体調に
だるさを感じていたので、帰宅後
ベットに入り、寝ておりました。

先ほど起きて、手を入れました。
確かにアドバイスいただくと、
その通りだと思えますね。
ありがとうございました。
今回は最終話まで書ききらない内の
見切り発車となってしまいました。
何話まで続くか、未定ですがタイトルを
「結婚物語」としてしまったし、
登場人物も、これから多少増えるしで
書き手自身が混乱しないよう書き進めますわ。

また、チェックしてくださいね。

2014/09/27 17:58:11

結婚仲介業

喜美さん

何の仕事も大変ですけれど
髪型からメガネまで色々直すのね
又素直に皆守るのかしら
食パン君どうなるか楽しみだわ

2014/09/27 15:46:44

いいですね〜♪

澪つくしさん

彩々さん　おはようございます(o^∇^o)ﾉ

こちら秋晴れの清々しい朝です。
休日の朝は全てがスローに流れて･･･
私にとってはゆったり感満喫の至福の時間です。

２話のゆっくりとした展開に、期待が徐々に膨らみます。
私的にはとても読みやすくて、違和感なく感じられる文章ですd(^-^)ﾈ！

明日が楽しみです！　

　　　ｐ(*^-^*)ｑ がんばっ♪

2014/09/27 10:13:09

昨日の物も

さん

ブログの編集から入って、No.1を付け加えたら、スッキリするんじゃない？

2014/09/27 08:44:30

いよいよ

吾喰楽さん

おはようございます。

いよいよ、本題に入ますね。

三点ほど感想を。

「固い」は、他に「硬い」と「堅い」がありますよね。
髪の場合、どうなんでしょうか？
硬い髪では・・・

体言止めが多いですね。
勿論、適度に使うと強調される効果があります。
余韻も残りますが・・・

後半の食パン君の下り、少し冗長すぎるような気がします。
実は、私がいつも師匠に指摘されていることです。

2014/09/27 08:25:34

Soyo姫へ

彩々さん

そうよね。
私も迷ったのだけど…
やっぱりNo.2にしました。
「No.1」が無いのにNo.2も変かと
思うのだけど。まぁ、イイか。

2014/09/27 08:23:46

追伸

さん

タイトルの後のつづきは第２話とかNo.2とかにしないと、まだ続くから、読者が見逃した時混乱するかもよ？

2014/09/27 08:14:55

結婚相談所

さん

彩さん　おはようございます。

結婚相談所って、今は皆PC経由でしょうが、昔は郵送だったのね。
とか、そこだけでなく、色んな所と提携、情報を共有していたんですね。

さて、食パン君、いかなる変身を遂げるか？
アプローチは来るのでしょうか？
何だか、応援したくなりますね。＾＾

2014/09/27 08:11:17

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