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このマンガの迫力にたじろぐ 卯月妙子「人間仮免中」 

2014年09月06日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し





「一日は一撃だ」
という言葉から卯月妙子の『人間仮免中』という漫画は始まる。
そして、一人の女性が自宅を出て歩道橋の階段を上がり、歩道橋から飛び
降り自殺をする。

そこまでの動きに合わせて、寺山修二の「ロング・グットバイ」の詩が
マンガのコマに重ね合わせて書かれている。

一日は一撃だ クビと雇用 愛と裏切り 二日酔いと生命保険 鬼ばばと
一人息子の駅から駅へ! 
ポー!ポー!ポー! ポー! ポー! 

自殺は、顔面から地面に突撃した形で、未遂で終わる。これが本人の実録
マンガであるところが、マンガの表現自体はヘタの部類に入るのだが、異様
な迫力を感じさせている。

その自殺の結果を、マンガの中間で医者はこのように説明する。
「口から落ちたので衝撃で粉砕骨折しました。 顔面が数十か所、複雑骨折
していて衝撃で鼻の奥の骨が砕けて出血が止まりません」
「幸い頸椎と脳には損傷がありません 体はどういうわけだか無傷です。
ですが急いで処置しないと確実に死にます」

ストリーは2年前にさかのぼる。
なじみの客が集まっている酒場で、みんなでワイワイ乗せて、一人の客を裸
にする。
その後、卯月は「まんだら屋の良太」のマンガをその男の肌に描く。
ボビーと呼ばれる遍歴すぎたおっちゃんも、卯月のマンガに「『まんだら屋
の良太』は名作ですね〜」
と言いながらその男性のお尻に「野菊のバカ 伊藤左千夫 」と落書きをする。

卯月は何でこうセンスが合うんだ・・・と、ボビーの落書きに感激し唐突に
「どうかわたしめと交際してください」と懇願する。
ボビーは「血迷うな卯月さん・・・・ こんなクソジジイなんかと」と、た
めらう。年が25歳も離れているから。ちなみにボビーは愛称で、石原という
日本人。

卯月は「おいらは五体満足だけど頭の中が病気で能力はとっくに遍歴過ぎて
いる」と答えて、その年の差を気にしない事を伝える。
その年の差での恋愛もすごいと思うが、そもそも卯月妙子の人生そのものが、
波乱万丈もいいところ。

最初の自殺は中学3年生だったという。
歩道橋でのダイビング自殺の前には、ストリップでダンサーをしていた時に
客の見ている前で、ナイフで首を切る自殺も起こしている。これには、スト
リップ劇場の客は相当に驚いた事であろう。

卯月妙子は、AV女優もやっていて、排泄物を食べるビデオにもでている。
それは、みごとな食べっぷりで、お金の為というより、普通に生きることを
どこかで放棄しているような、迫力を産んだ映像だった。

ちなみに、そのスカトロビデオは、今「ロボ・ゲイシャ」などの一般映画で
も活躍している井口昇が監督していた。
その件は、マンガの中で卯月がボビーとケンカする場面にも会話に出てきて、
なかなかせつないものがある。

酒に酔った二人がタクシーに乗る。
機嫌の悪いボビーが「おいこら小僧 おめーどうせ 前衛だとか思って 
うんこ喰っていたんだろ?! ああ?! 卯月妙子!!」と、つっかかる。
卯月は「・・・んだとコラァ てめえに俺の何がわかる?! ああ?!」
ボビーもさらに「女に啖呵切られたのは初めてだ!?」と、やり返し、家に
帰るとボビーに「出てけ目障りだ!?」と言われてしまう。

卯月は、再度、家を出てタクシーに乗る。今度はタクシーの中で卯月がタ
バコを吸っていたことから、タクシーの運転手とケンカになる。
彼女は運転手を殴って、運転手が警察に駆け込む。アパートに戻った卯月、
「薬いっぱい飲んで死んでやる」と、薬をガブ飲みし、救急車で運ばれる
騒動となる。

一つ一つのエピソードがまた、激しくて一般の人の何倍も濃い人生を送って
いるかのようだ。
ボビーは、彼女が歩道橋から自殺した後に結婚を申し込みんでいる。
お母さんが「こんな・・・・障害者の娘をもらって下さるなんて・・・・」と恐縮
すると、「障害なんて関係ありません どうかお嬢さんをください!!」

ぼくは、自分の妻と結婚するときにどうしてもてれくさくて、妻の父親に
この正式な「お嬢さんをください」を言えなかった。妻の両親は優しい人
で、そのことをとやかく言う人達ではなかったが、未だに悔やまれる。
まさに、ボビーの正当な心のこもった「お嬢さんをください」には、本当に
頭が下がるし、今までの経過を読むと涙ぐんでしまうようなワンシーンで
あった。

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