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人生日々挑戦
津軽りんご「ふじ」は世界のスーパースター
2013年12月25日
テーマ:人生
古来、富士のお山は、日本一の山である。富士山は、古くから日本人の信仰の対象であり、さまざまな芸術作品の源泉であり続けてきた。
その富士山が、2013年6月26日、世界文化遺産に登録された。世界文化遺産として対象となった「構成資産」は、山頂の信仰遺跡群や富士五湖などを含む25件で、その正式名称は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」である。
日本人を魅了し続け、世界中でも日本のシンボルとみられている富士山が世界文化遺産に登録されたことは、喜ばしく、かつ、誇らしい。
しかし、世界において広く知られ、愛されているのは、富士のお山ばかりではない。
例えば、地球上で日本の反対側に位置するブラジルのサンタ・カタリーナ州は、ブラジル一のりんご生産地である。冬になると、ブラジルのスーパーマーケットで、りんごの「FUJI」がよく売られていて、人気が高い。
今や、全世界で最も多く生産され、販売されているりんごは、「FUJI」つまり「ふじ」である。世界のメジャースポーツはと言えば、サッカーであるように、世界のりんご界で、「ふじ」は、メジャーであり、スーパースターである。
今から75年前、1938(昭和13年)、農林省園芸試験場東北支場が青森県南津軽郡藤崎町に開設された。藤崎町は、日本一のりんご産地である津軽の中心都市、弘前市に隣接し、津軽平野の中央部に位置する。
翌1939(昭和14年)、東北支場では、りんごの「国光」×「デリシャス」の交配を行い、種子が得られた。
1941(昭和16年)に太平洋戦争が始まり、研究員たちが次々と召集され、研究の継続は、困難を極めた。しかし、交配で得られた多くの実生(みしょう)は、残る研究員と善意の人々の努力で守られた。戦争が終わり、研究員たちが徐々に復員し、研究が再開された。
1958(昭和33)年の園芸学会春季大会において、くだんの実生が東北7号として発表されて注目を集めた。
この東北7号が「ふじ」と命名され、リンゴ農林1号として品種登録されたのは、1962(昭和37)年のことであり、1939(昭和14年)の「国光」×「デリシャス」の交配開始から、実に23年の歳月が流れた。
今日における世界中のりんご「ふじ」の木は、すべて、青森県南津軽郡藤崎町で生まれた「ふじ」の原木の枝を直接、間接に接木をして増殖されてできたものである。
藤崎町で生まれ育ったりんご「ふじ」が「ふじ」と命名された由来は、いくつかある。
一つ目は、津軽の藤崎町で生まれ育ったことから、藤崎町の町名の一字を貰って「ふじ」とつけた。
二つ目は、研究員たちが、日本に生まれた世界一級のりんご品種と確信したことによる。
世界一級のりんご品種として後に認められることになるかどうか、命名当時には誰も分からない。しかし、研究員たちは、そうなることを自負した。
世界一級のりんご品種を、日本を代表する富士山の裾野の広さにあやかり、広く普及して欲しいという願いを込めた。
そして、三つ目が面白い。研究員たちのうちに女優の山本富士子の熱烈ファンがいた。
山本富士子は、1931年(昭和6年)12月生まれの82歳。1962(昭和37年)のりんご「ふじ」命名時は、31歳だ。なにせ、1950年(昭和25年)、第1回ミス日本の選考において、700人近い応募者の中で、満場一致でミス日本の栄冠に輝いたほどの美女だ。
山本富士子は、女優としての演技力だけを見れば、トップ女優とは言い難いが、演技力プラス華やかな美貌で見れば、絶世の美人と言える。
その山本富士子にあやかってというのは、りんご「ふじ」にはいい迷惑だが、熱烈ファンの研究員の気持ちは、よく分かる。
そこで、りんご「ふじ」に、経緯を説明したうえで、命名をめぐる気持ちを聞いてみた。
まず、開口一番、りんご「ふじ」は、「ふじ」という名が嬉しいと述べ、縷々説明する。
「ふじ」は、津軽平野の中央部に位置する藤崎町で生まれ育った。国光」×「デリシャス」の交配開始から、命名まで、実に23年の歳月がかかった。
「ふじ」が23年間、春夏秋冬がめぐり来る中で目にしたのは、津軽平野の秀峰、岩木山だ。
津軽の人々は、古来、岩木山に信仰心を抱き、畏敬の念を込めて、お岩木山(いわきやま)と呼ぶ。人々にとって、お岩木山は、津軽の富士のお山だ。
津軽の人間も、りんごも、津軽富士、お岩木山に見守られて生きる。だから、りんご「ふじ」は、「ふじ」と命名されたのがことのほか嬉しいと言うのだ。
津軽富士、お岩木山に見守られて、津軽で生まれ育ったりんご「ふじ」は、その後、日本全国はもちろん、世界中を股にかけて活躍している。今や、全世界で最も多く生産され、販売されているりんごは、「FUJI」・「ふじ」だ。
日本一のりんご産地・津軽出身の「ふじ」は、日本一のりんごから世界一のりんごになっている。
日本一の富士山が、2013年6月26日、世界文化遺産に登録されたとき、誰よりも、富士山に感謝しつつ、そのことを喜び、祝福したのは、世界のりんご「ふじ」である。
津軽から出発のりんご「ふじ」が世界中で知られ、愛されていることは、実に素晴らしく、津軽のシニアブロガーには誇らしい。
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ふじの歴史
ふじの誕生から命名まで、興味深く拝読させて
頂きました。
あの甘さとシャキシャキ感は、国光とデリシャスの
交配の賜物なんですね。
りんごは好きではない私ですが、「ふじ」だけは別です。
こちらでも、たくさんの「ふじ」が売られていますが、
ニュージーランド産が特別美味しいです。
2013/12/27 00:13:00
富士
wasaoさん、おはようございます。
私は中国で富士と書いてあるりんご箱を見ました。
中国にもふじりんごがあるようです。
『富な士』だから、お金持ちな人の意味で、縁起のよい名前が大好きな中国人はふじりんごも富士山も好きだと思います。
2013/12/26 08:45:45
そうですか
ブラジルで「FUJI」とはびっくりです。
日本での命名も地域からは納得ですが、女優さんからもとは意外なエピソードですね。
確かに「ふじ」は一番美味しいと、私も思います。それと意外に人気のない「王林」も好きです。
2013/12/26 00:36:28